【お礼を読んで】
○お客様の気持ちは尊重されないのでしょうか?また、お客様は自由に業者を選ぶ権利、自由は、無いのでしょうか?
→お客様は完全に自由です。自由に業者を選ぶ権利はあります。しかし、ただそれだけのことです。お客様の支持は市場では決定的に重要ですが、裁判所では少しも重要ではありません。
○元の会社と取引するなら、取引を辞める、○○さんとやって行きたい と言ってきます。
→だから、質問者様は、この顧客の声に応えていけば勝機があると判断して行動されたわけでしょう。その点は、それだけのことなのですよ。
戦場は2つありうるのです。それは、市場と法廷です。
○企業が競業避止義務違反を主張して、顧客を奪った従業員の行為を差し止める仮処分を求めたり、損害賠償を求めた場面で、裁判所が判断を下す際には、そのような顧客の支持があったかどうかは裁判官の心の天秤には載ってこないように思います。そこでは、競業避止条項が有効かどうか、当該従業員の行為がこれに違反しているかどうかが判断されることになります。憲法が保障する職業選択の自由を侵害するとして競業避止条項の効力が制限されることは少なくないです。質問者様の法廷での勝機はこのような判例の姿勢にあります。
○回答者は、質問者様を非難しているのではありません。質問者様にエールを送っているのでもありません。質問者様と元の勤務先の間に競業避止条項を含んだ約束事があったかどうかも全く不明なのに、そんなことが言えるわけがありません。
そもそもそのような約束事がなければ、質問者様の行為を非難することはかなり困難です。しかし、その場合でも、不正競争防止法違反があったとかいう攻撃はあるかもしれません。
そして、仮にそのような約束事があった場合に、その約束事が有効なものか否かが裁判所での主たる争点になります。
○企業間の競争あるいは商売の世界は修羅場です。今なら相手から顧客を奪えると判断したときに、挑戦者は勝負を挑みます。勝ったり、負けたりは、まずはその人の商才と運でしょう。
防衛者は、市場の中で、同じ条件で競って、攻撃者を打ち負かそうと努力することは当然です。そして、市場という戦場では最終的により多くの顧客の支持を得た側が勝利をえるのでしょう。
しかし、防衛者には、裁判所という別の戦場を選択して、そこで挑戦者のルール違反・契約違反を主張して闘う途もあります。裁判所という戦場では、ルール違反・契約違反の有無が判断されます。従業員として得た企業の内部情報・顧客情報等を用いて、もと従業員が当該企業を相手に競争することはフェアなことなのか。当該企業との間で、そういうことはしないと誓約していた場合にその誓約にどこまでの拘束力が認められるのかという問題の立て方になります。そして、裁判所では、時には市場での形勢を覆すような判定がされることもあります。
また、防衛者が最終的には裁判所で破れるような筋の事件の場合でも、攻撃者は裁判対応でエネルギーを消耗し、時間を失って、市場での勝機を失うことがあります。
そうならないためには、そうならないような闘い方をするしかないでしょう。修羅場に足を踏み入れたわけですから、何があっても驚かない、何があっても勝ち抜くという強固な意思を持つしかありません。
○それとも私があまい考え方なのでしょうか?再度お教え下さい。
→それは回答者には判断できません。
回答者は、質問者様が扱われている商品も知りません。もと勤務先との間に上のような競業避止条項があるのかどうかも知りません。もと勤務先の企業規模も知らなければ、質問者様への商品供給を遮断する実力があるかどうかも知りません。
そんな情報量で何かを言えるとは思っていません。
また、こういう問題に驚くほど寛容な業界・企業もあれば、非常に厳しい業界・企業もあります。全く無防備な企業もあれば、契約条項という形で、精緻な防衛網を構築している企業もあります。質問者様のもと勤務先が前者であるならば、全ては杞憂なのかも知れません。
回答者は、回答者が経験した非常に厳しいケースを念頭に置きながら書いております。
→回答者は、
(1)市場でも競争と、法廷闘争という2つの戦場がありますよ。
(2)法廷闘争で負けると、市場での勝利を台無しにされてしまうこともありますよ。
(3)法廷闘争で勝っても、そこで消耗し時間を空費させられると、結局、市場での勝機を失うこともありますよ。
ということを申しました。
そのことを前提にして、何種類もの展開を想定し、それぞれに応じた計画を練り、準備し、実施する。それだけです。
既に戦端は開かれたのだから、勝利をえて生き残るために前を向いて闘う以外に何があるというのですか。
では、お大事に。
お礼
なるほど、法というもの、市場、理解認識できました。 もう後戻りは出来ないことも、理解しました。 私は、私の理念を通し、邁進してゆきます。 本当に貴重なご意見とお時間を頂き、有難う御座います。 お客様の意思を大切にし、前を向いて闘って行きます。 有難う御座いました。