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法学部での学びについて具体的に教えてください。
高校の政治経済では、「法思想史・憲法条文等を勉強する」イコール基本的に暗記、というように、「学び」というより、無味乾燥な「暗記という作業」のイメージが強かったため、大学において「法律を学ぶ」ということの具体的なイメージが掴めないでいます。 もちろん高校の公民なんかよりもっと高度なことをされているのは理解できますが、どう高度なのでなのか・・・。まさか暗記のレベルが上がるだけ、なんてわけではないでしょうし・・・。 「法解釈」は、テレビでやってる法律クイズ的なもの(この場合のAさんの訴えは認められるか否か?というようなもの)を漠然とイメージしています。 ちなみに私は受験生で、資料集に掲載されている裁判の判例が読むのが好きで、法学部に興味をもっていましたが、上のように「法律を学ぶとは具体的に何をすることなんだろう」と、ふと疑問を持ちました。 その類の中でメジャーそうな本を探し、Amazonのレビューに「法学入門者向け」とあった、「法学入門」(末永博 編)と「現代法学入門」(伊藤正己・加藤一郎 編)を図書館で借りてきましたが、やや堅い本で読むのに時間が掛かり、なおかつ読む時間もあまりとれず、まだほとんど読み進められていない・・・という状況です。 具体的な進路では教育学部と法学部で迷っています。双方の教授の研究テーマ一覧もチェックしましたが、教育学部に比べ法学部はザックリした研究テーマばかりで具体的なイメージが掴めませんでした(「ヨーロッパにおける刑法の比較」とか・・・)。 そこで、抽象的な質問で申し訳ないのですが、「法律を学ぶとは具体的にどういうことなのか?」、「法学部ではどういう手法を通して法学を勉強しているのか?」といったことを教えていただきたいです。 何か法学部での学びについて具体的なイメージの沸くようなコメントを下さるだけで構いません。どんな些細なことでも構いませんので、法学部生の方、学部卒の方、詳しい方々に、なるべくたくさんのお話が聞きたいです。よろしくお願いします。
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- TANUHACHI
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コメントありがとうございました。将来のご希望として家裁の調査官もしくは教職を志したいと仰るのですね。 でしたら法学部に殊更に拘泥される必要もないでしょう。家裁調査官の仕事が、少年審判や離婚調停のための手続きを行うための材料集めであって審判そのものに関わることもありません。そうしたこともご存知でしょう。 むろん準備に関する材料を集める仕事ですから、聴き取りや他の幾つかの方法で青少年の生活歴や心理状態を観察しますが決して矯正や立ち直りを促すことは許されてはいません。それを判断するのは法廷の専権事項です(広い意味ならば、関連するともいえるでしょうが)。 具体的に家裁調査官の試験に関して少しお話ししますが、専門領域として三つの分野の何れかから選択する形です。一つは社会学、そしてもう一つは心理学(青少年心理学・発達心理学、心理測定を含む)、残る領域が教育学ですが、この教育学には教育学概論・教育心理学・教育測定が含まれます。 何れの分野でも法学部での専門教育とは異なります。むしろ教育学部の方が適切かと存じます。その教育学部といっても教員養成系ではなく、教育学そのものを扱うコースを選択することになります。とはいっても臨床心理学の様に具体的な分析手法のテクニックを伝授すると考えられても困ります。そうしたテクニックなどは扱いもしません。むしろその手法を通じて何を読み取る事ができるかとの理解の仕方に重心が置かれもします。 逆に法学部で教員資格を取得するならば、高校の公民もしくは中学社会科の免許となります。むろん中学で社会科全体を扱うのですから地歴分野に関する単位科目を取得することも義務づけられます。法学部に在籍する学生からすればかなりハードでタイトなスケジュール編成を組むことも覚悟しておく必要はあります。 実際に家裁調査官の採用員数と教員の採用実数を比較しても、前者の方が後者に比較して少ないとの事実があり、あまり積極的にお勧めできるとは正直なところ申し上げることもできません。確かに社会的に意義のある仕事ですが、とても厳しいものを求められもします。観察し調査報告書を作ることだけに専念できるかといえば、質問者様の場合には少し思い入れが強いかなとも感じられ、職務遂行のための適性があるかどうか、僕には判断することもできません。優しすぎることがかえって、冷静な観察眼を曇らせてしまう危惧がありもします。 何れを選択するかは第三者であるこのサイトの回答者に決定する権限などありもしませんので、結論的には質問者様の判断に委ねられます。 最後に「国家基本法」との話をしましたが、残念な結果に終わってしまってもいました。普通の高校生ならば、これが「憲法」を指すことを僕は前提としていました。 調べてみます、とのことでしたが、日本国憲法と明治憲法の違い程度は既に理解されているはずです。法としての違いならば、憲法には硬性憲法もあれば軟性憲法との分け方もあります。そして「憲法とは何であるのか」を入学したての学生に教員は質問もし、年間最後の講義で同じ質問をします。一年間の間にどれ位の勉強をしたかを確認するための質問の仕方です。 法学部にせよ教育学部にせよ、個別具体的な事例そのものを扱うケースはそれほど多くありません。では個別具体的なケースを材料とするのはなぜかとの意味をお考えいただければ、それぞれの学部での学びの意義を見出していくことにつながると存じます。
- hekiyu
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「法律を学ぶとは具体的にどういうことなのか?」 ↑ 例えば憲法です。 国民代表、という概念があります。 ・代表という概念には、大きく分けて二つあります。 純粋代表と半代表です。 純粋代表概念を採ると、天皇も国民代表とする ことが可能になります。 ・国民という概念も色々あります。 現在する国民、有権者、過去現在未来を通じた 歴史的国民等々です。 ・現在する国民だとすると、これから産まれていくる 子供には、代表が造った法で規制することは できない、ということになります。 このように理詰めで思考を展開していくのが解釈論です。 ちょっと難しいですか。 こういう理論操作が法学の醍醐味です。 刑法だともっと厳格になります。 犬だと思って殺したら人間だった、という場合。 人間は自由な意思に基づいて犯罪を侵す、という 説と、そうではない、という説とでは 成立する犯罪が異なります。 こういう理論操作ができるようになるには、数年 かかります。 司法試験に向けて、真剣に勉強したひとでないと 出来ないでしょう。 いや、受験生にも理解していない人は多いです。 ということで、卒業するだけ、単位を取れればいいや という人にとっては法学はただの暗記になってしまいます。 本格的に勉強するなら、司法試験がお勧めです。
お礼
回答ありがとうございます。 ひとつひとつの概念の定義づけが厳格で、理論操作は非常に複雑そうですね。でも面白そうです(実際はそんなこと言ってられるほど生ぬるいものではないのでしょうが・・・)。 >卒業するだけ、単位を取れればいいや という人にとっては法学はただの暗記になってしまいます。 本格的に勉強するなら、司法試験がお勧めです。 法曹は現時点で目指す気持ちがなかったのですが、いずれにせよ法学部に進学するなら、ただの丸暗記にならない勉強をしたいと思います。 具体的なお話、ありがとうございました。 ご縁があればまたよろしくお願いします。
- BC81
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難しいことを言い出すとキリがないのでまずはシンプルに、 現行司法試験の予備試験や旧司法試験の、 論文式の過去問と解答解説を見てみましょう。 そういった問題を理解し書けるようになるには何をどう学べばいいか考えれば、 何となくイメージが掴めるかと思います。 入門書くらいはサクッと片付けましょう。 とりあえず厳密に読む必要はなく、流せばいいです。 堅い本を読むのに腰が引けていては、法律なんてやってられないですよ。
お礼
回答ありがとうございます。 司法試験の過去問を見てみるという発想はありませんでした! 早速法務省のHPで確認してみました。論文式の方は、ストーリー仕立て(?)の「事例」について検証するような形式なのですね。問題文からして高尚で、法律用語ばかり踊っているようなものを想像していましたが、かなり実践的な感じですね。しかし解説と合わせ読んでも、当然ながら、なんとなくしか理解できませんでした(笑)。 確かに、これを論述形式で回答できるようにするためには・・・と考えると、具体的なイメージが湧いてきます。 >堅い本を読むのに腰が引けていては、法律なんてやってられないですよ。 おっしゃる通りです(苦笑)。サクッと片付けてしまいますね。 具体的なアドバイスをありがとうございました。まだ公法系科目しかきちんと読めていないので、ほかの科目も一通り読んでみます。 ご縁があればまた回答よろしくお願いします。
- TANUHACHI
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>テレビでやっている法律クイズ これが法解釈であるとは断言できません。法には「条文」と同時に「判例」があります。そして日本の法制度で重視されるのは後者です。これを判例至上主義と呼びます。 法律の条文にこれこれと書かれているから、だけで裁判が成り立っているわけではなく、これこれのケースではこの法を適用し、そこにはかくかくしかじかの範囲で罪状に対する罰則の適用がなされている。そして過去の類似した事例に依ればうんぬんかんぬんであるから当該の問題に関しては、その判例を踏襲し被告人に以下の判決を下す、などとされます。 クイズ的な一問一答形式のものと考えられては困ります。それほど短絡単純ならば、法廷にパソコンを一題置いて杓子定規的に事務処理をすれば済む話と同じになってしまいます。「情状酌量」との言葉を聴いたこともあるでしょう。問題解決の中心には、常に条文と個別案件との間に横たわる溝があり、それをどうバランスを取っていくかが求められもします。 それぞれのケースに応じて判決を下すのが法廷の役割ですから、条文を暗記するとだけの発想は中高生が日本史や世界史の授業で5W1Hとの「データ暗記」に終始し、本質的な理解能力を持ち得ない形と同じです。 法学部といっても法律学科もあれば政治学科もあります。何れも法学部の専攻でありもすれば方向性が少し異なりもします。 共通する部分はといえば、なぜその法が作られたのかといった法の形成背景を知る必要もあります。質問者が仰る「法思想」や「法社会学」の部分です。 一方の政治学は具体性が前面にも出てくる場合も多々あります。民主主義を具体的に実現するための手段として「法規範や法制度」そして人間の意識までも領域に含めて考察していきもします。 たとえば「国家基本法」を貴方はどの様に定義しますか?。これは現在も国会や言論界で議論され続けている「古くて新しい問題」の典型です。 つまりは「法と社会」「社会と人間」それぞれのあり方とあるべき形を実現するために、法なり政治そして個人がどの様に関わっていくかといった極めて壮大なテーマを扱いもします。 >ヨーロッパにおける刑法の比較といったザックリとした研究テーマ 当然の話です。ヨーロッパといっても、単一的な価値観に基づく世界ではありませんよね?。日本史の授業で聴いているはずですが、明治維新期に「自由民権運動」との日本の近代化にとって最も重要な分岐点となる事象がありましたよね?。 この自由民権運動が意味するのは、近代国家としての日本がどの様なグラウンドデザインを目指すのか。そのために具体的な議会制度や国家基本法をどう構築するかとの課題に対し国論を二分した歴史的事象です。 先ずは「憲法制定」を巡り、欧米の様々な憲法制度に関する知見を求めるために、伊藤博文を始め政権中枢にあった人物が視察団として派遣され、君主権の強いドイツやオーストリア(プロイセン)憲法をはじめ、国民主権を志向するフランス憲法などといった様々な種類の憲法を実際に研究して帰国しました。 むろん日本国内でも植木枝盛の草案などをはじめ様々な草案が作られもしました。なぜ憲法制度が必要なのか、どの様な憲法が日本に相応しいかなどの議論が闘わされたのが自由民権運動の原点ともいえます。 社会科学領域であっても人文学領域であっても、大学での学びは高校までのそれとは格段に異なりもします。答の用意されていない問題に対し、自らが資料を集めそして分析することで一つの仮説を立てていく過程が重要な意味を持ってきます。このことだけは勘違いしたり忘れないでください。 同様に「教育学部」でも旧帝大系の教育学部の目的は「単なる教員養成」ではありません。むしろ「人間の発達過程」やらそれをサポートするための「学校や社会」と「教育」がどう関わっているか、そして実際にどの様なシステムを構築していくべきかといった枠組の問題を扱う教育法学や教育行政学そして教育社会学といった領域もあれば、教育心理をはじめ発達心理学といった「それを通じて、どう児童生徒や青年を育成し、どの様な効果をもたらすことができるか」といった人間観察的な領域に分かれもします。 この二つの学域の事例を通じてお話ししてきましたが、大学での学問スタイルが「問うことにある」そして「説明すること」を中心に置くことをご理解いただければ幸甚です。 もし質問者の様に甘い発想(答が最初からあるものだと勘違いしている)の学生が僕の講座にきたなら、容赦なくビシバシと落としますので、そのお覚悟の程を 笑
お礼
回答ありがとうございます。 >クイズ的な一問一答形式のものと考えられては困ります。それほど短絡単純ならば、法廷にパソコンを一題置いて杓子定規的に事務処理をすれば済む話と同じになってしまいます。 仰る通りです・・・。判例至上主義、という言葉は何となく聞いたことがある程度でした。法に対して「本質的な理解」をもった上で、「判例」により実際の運用のされ方を研究するのが法解釈なのですね。 >法学部といっても法律学科もあれば政治学科もあります。 私の志望大の法学部では学科に分かれていないので、あまり意識したことがありませんでした。入学段階で方向性を決めることなく広く学びたいと思っていました。双方に共通する「法思想」や「法社会学」、これが基盤なのですね。「国家基本法」については、お恥ずかしながら初耳でした。今軽く検索してみましたが、欽定憲法のようなもののことを言うのでしょうか。もう少し調べてみます。 将来は家庭裁判所調査官か教員を漠然と志しており、社会学や臨床心理系、教育制度系の学問を学びたいと思っていました。社会と人間の関わりについて興味があります。確かに私は質問内容でもそれ以外でも、用意されている答えを教えてもらうという姿勢でいました。進路決定にあたり焦りもありますが、何事においても問題が何なのかをもっと自分で考えて、自分なりの答えを出すと姿勢が大切なのだと気づけました。 >僕の講座にきたなら、 TANUHACHIさんは教える立場にある方なのでしょうか。こんな考えの浅い人間の質問に答えていただいて恐縮です。TANUHACHIさんの講座で落とされることのない学生になります(笑) 文章が長くなり申し訳ありません。このサイトを利用するのは初めてで、勝手がよくわからず・・・。 またご縁がありましたら、よろしくお願いします。
お礼
コメントに対してのお返事、ありがとうございます。 調査官についてのお話も参考になります。 確かに調査官という少年と関わる職に対して、個人的な思い入れはそれなりにあると思います。教員も含め。 ですがそれも現時点でのあくまで漠然とした志望ですあり、仰る通り、専門とする学問分野以外に自身の適性も大きく関わる職でもあるでしょうから、大学ではあまり将来の職業について「これしかない」と限定的に考えることなく、それ以前にまず自分が学びたいと思う分野を追求していきたいと思っていました。 法学部出身の調査官も普通にいらっしゃるので、調査官になることだけを前提とした教育学部選択はあまり考えていませんでしたが、専門性の違いは意識していこうと思います。 国家基本法についてもわざわざお返事して下さってありがとうございます。勉強不足が露呈してますね。もっと励みたいと思います。