電流(電気)が発生源であるというのが、今の定説ですが、量子論を境に意味合いが微妙に変わっています。
量子論以前の電磁気学のさらにその前においては、磁気と電気は別々の物理現象と考えられていました。その名残が磁気双極子(磁気モーメント)として電磁気学の中に残っています。
状況が変わったのは、アンペールが電流の磁化作用を発見したあたりからです。アンペール自身は磁石の磁力は、磁石内の渦電流(円電流)が原因だという仮説を立て、数学的に論証してみせます。
磁気双極子とは電子のように磁荷を持った粒子が物体内に存在し(電子の場合は電荷)、その結果として磁力が生じるという考えです。非常に接近したNとSの磁荷粒子のペアを、磁気双極子と言います。
自然状態ではNとSの磁荷粒子のペアはほとんど同じ位置にいて、磁力は発現しませんが、何らかの強制力がかかると、ちょっとだけずれて磁気双極子として発現し、磁石になると説明されていました。そのきっかけは、天然磁石を鉄などに近づけたケースなどです。
アンペ-ルは磁場の挙動を定量化し、無限小直径の円電流の作る磁場と、無限小距離にある磁気双極子の作る磁場が、全く同じである事を示します。磁場の程度は、同じ磁気モーメントという数学的量で評価できます。
原子内部に電子と原子核(陽子)が発見されてからは一時、渦電流(円電流)の実体は大雑把には、原子核を周回する電子の円運動だと考えられます(円とは限らないです(^^;))。これによる磁石の磁場は、「確かに存在します」。しかし詳しい計算の結果、それだけでは普通の永久磁石の磁場さえ作れない事が、後にわかります。全然足りないんです。
量子論に移行してからは、磁石の磁場は、電子のスピンやアイソスピンという(直感的には)訳わからんものから主に発生する事が明らかになりますが、それでも磁場の起源は電子(電気)だという事にはなります(^^;)。
量子論以前の古典電磁気学には、電荷を担う電子や陽子を表す項は登場しますが、磁荷(モノポール)を表す項はありません。現在でもモノポールは発見されいないので、基本的状況は同じです。磁気の起源は電気、という事になっています。
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よくわかりました。ありがとうございます。