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行政法について詳しい方お願いします。
現在、大学に通い行政法について学んでいるのですが、 マクリーン事件において採用された司法審査法式の限界というのが よくわかりません。 そもそも限界って? 詳しい方ぜひこんな私にでもわかるように説明してくださる とありがたいです。
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- Le-Livre
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前後の文脈が分からないので、よろしければ補足していただきたいのですが、 質問文のみから、思いつく範囲のことを述べますね。 一言でまとめると、 マクリーン事件の頃の司法審査方式は、状況が変化した今日では使い勝手が悪くなってしまったので、近年新たな審査方式が考案されてきています。 その意味で、マクリーン事件の頃の司法審査方式には限界がある、ということが言いたいのではないでしょうか。 マクリーン事件判決(最大判昭和53・10・4)をはじめ、 神戸税関事件判決(最判昭和52・12・20)、 足立江北医師会事件判決(最判昭和63・7・14)など、 当時の判例は、行政裁量の実体的適法性に関して、 判断代置型審査方式(※1)をほとんど採用せず、裁量権の踰越濫用型審査方式(※2)を採用していました。 【※1 判断代置型審査方式】 裁判所が、行政の適法性判断に対して自己の適法性判断を対置し、両者間に食い違いがあれば行政判断を違法と判定する審査方式 【※2 裁量権の踰越濫用型審査方式】 踰越濫用型の審査方式は、裁量権が踰越濫用した場合に限り違法であると判定する審査方式 判断代置型に比べると、審査の範囲が限定されます(これを「審査密度が薄い」、とも言います) しかし、今日では、専門技術性や政策的決断を伴う行政作用が増大したため、 ほとんどの行政作用に多少なりとも自由裁量が認められ、 同時に行為類型論的裁量論(※3)が説得力を失ってしまいました。 踰越濫用型の審査方式では、対応しきれなくなったのです。 【※3 行為類型論的裁量論】 覊束行為、覊束裁量行為、自由裁量行為に分けて、それぞれの類型ごとに行政裁量のあり方を検討する議論 覊束行為、覊束裁量行為に対しては全面的に司法審査が及ぶが、自由裁量行為に対しては裁量権の踰越濫用の存否に関してのみ司法審査が及ぶとするのが、かつての通説でした (さきほどの、踰越濫用型審査方式と合わせると、自由裁量に関して、踰越濫用しなければ行政の自由だけど、そもそも「自由裁量」のカテゴリーはしっかり枠づけされていて、その枠からはみ出る覊束行為や覊束裁量行為には、司法審査が及ぶようにしていた、ということです) 自由裁量の範囲が大きく拡大した今日、この議論をそのまま維持すると、司法審査の及ぶ範囲が極端に小さくなってしまうという難点があります そこで、審査密度を強化すべく、判断代置型と踰越濫用型の両極いずれにも偏らない中間型の裁量審査が、判例、学説の双方で模索され、発展を遂げています。 したがって、現在の目から見ると、マクリーン事件判決の司法審査方式には限界がある、ということになります。 以上の議論は、下記の文献を参照すると、より理解が深まるかもしれません。 ◆行政判例百選1〔第6版〕162頁以下〔三浦大介執筆〕…マクリーン事件の判例解説 ◆行政法の争点〔第3版〕116頁以下〔亘理格執筆〕…行政裁量についての論点解説 参考になれば幸いです。