>住所もなく仕事もないことは犯罪なのですか?
>憲法によると住所もなく仕事もしていないことを
>軽犯罪の1つであると定義していると聞きましたが、
>憲法を調べてみてもよくわかりませんでした。
>本当ですか?
微妙な質問ですね・・・
まず、そもそも「憲法で犯罪を定義する」
ということはありませんので、
1.軽犯罪法で
「住所もなく仕事もないことは犯罪」
と定義しているのは本当か?
2.逆に憲法の趣旨によると、
「住所もなく仕事もないことは犯罪」
という法律を作ったとしても
違憲ではないのか?
という二つの点について問う趣旨の
質問だと思います。
1について
軽犯罪法1条4号においては「生計の途が無いのに、
働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、
一定の住居を持たない者で諸方をうろついた者」
と定義しています。
そこで、この場合、どのような者が
軽犯罪法1条4号で定義される者に該当するのかが
問題となると思います。
この点、軽犯罪法の趣旨は、
たとえ、軽微な道徳的な規律であっても
それを遵守しないことによって
いずれ大きな犯罪に繋がる虞があるため
安易に黙認しないようにする趣旨
とされていますので、
「いずれ大きな犯罪に繋がる虞」を明確化させるため
「積極的に職業に就く意思を有しない者」且つ
「積極的に一定の住居を持たない者」が該当する
と思います。
そうであるならば、
「住所もなく仕事もない」という者は
あえて住所を持たないというわけではありませんし、
あえて仕事をしないというわけでもありませんので、
軽犯罪法1条4号で定義されている者には
該当しません。
なので、
「住所もなく仕事もないことは犯罪」
というような定義は存在しないと
言えると考えます。
2について
「住所もなく仕事もないことは犯罪」
という法律は私は存在しないと思いますが、
たとえ「積極的に職業に就く意思を有しない者」
且つ「積極的に一定の住居を持たない者」
という限定的解釈を採っているものとしても、
憲法22条1項の居住及び職業選択の自由に
反しているのではないかという点は
問題になると思います。
これは、居住及び職業選択の自由が
居住しない自由及び無職の自由を含むかどうかに
かかるものと思われます。
この点、憲法25条では
健康で文化的な最低限度の生活を国民に保障していることから
健康で文化的な最低限度の生活をさせるよう勤めることを
国家の義務としています。
この文化的な最低限度の生活とは
主に衣食住のことを指しており、
大多数の人間にとって幸福追求に値する価値観であると
考えられます。
つまり、「居住しない」という
大多数の人間にとって不幸追求権ととれるような権利は
いずれ何らかの社会悪に繋がる虞があるため
憲法22条1項の文言において条件付けされている
公共の福祉に反する可能性が高いものと
考えます。
また、憲法は27条において、
「勤労の義務」を規定していますので、
無職の自由も含まれないものと
考えます。
私の個人的な見解ですが、
「働かざる者食うべからず」という言葉は
過大解釈されやすい言葉ではありますが、
逆説的には「働けざる者は食っても良い」
という意味を暗示しており、
決して労働そのものを強制させるような
趣旨ではないと考えます。
実際に、憲法でも
「労働の義務」でなく「勤労の義務」としてることからも
弱者から這い上がろうという努力義務を怠っていない者や
不労収入からの税金などで、国家に貢献している者にまで
絶対的に労働を強制するものではないと
解し得ます。
なので、職業選択の自由から
無職の自由を排除したとしても
何ら問題は無いと考えます。
よってこの場合、
「積極的に職業に就く意思を有しない者」
且つ「積極的に一定の住居を持たない者」
という限定的解釈を採る場合であれば
憲法22条1項の居住及び職業選択の自由に
反しないと思います。
長々と語ってすみません。
>だとしたらホームレスの方たちはみんな軽犯罪を犯している
>ということになってしまうのですか?
以上のことから、
ホームレスの方たち「みんな」が軽犯罪を犯している
わけではありませんが、
ホームレスが気楽でいいからやっていると自ら自白した場合や
その言動や客観的状況から明らかにその不居住や不就労の
積極的な意思が読み取れる場合には、
軽犯罪を犯しているということになります。
逆に言えば、もしあなたがホームレスになったとしても
家も奪われて仕事も無いというような場合であれば
罪にはなりません。
お礼
お礼が遅くなってしまいすいません。すごく参考になりました。あくまでその意思について言及するものであり、「住所もなく仕事もない」という現実自体に規制をかけたり犯罪として扱うというような性質ではないのですね。ご回答誠にありがとうございました。