スペースコロニーなんてSFや漫画に過ぎません。計画そのものに大きな矛盾があって、実現不可能と考えて置いた方が良いでしょう。
砂漠や南極に居住する方法を考案した人がいますが、巨大なドーム型建造物など、宇宙居住地と大きな違いがない構造物が考案されています。現実に実現した物もあるようです。
スペースコロニーが実現しない理由については、以下の通りです。
1.国際宇宙ステーションでさえ3兆円もの巨費がかかっているのに、宇宙居住地を建設するのに、最終的には、どれだけ膨大な費用がかかるかわからず、コスト面で現実性がない。
2.計画そのものが採算性を度外視しているなど、現実離れしたもので、たとえば、高度400kmの地球低軌道上に宇宙居住地を建設すれば、従来の有人宇宙船で往復出来るので1人あたり25億円ぐらいで済むが、月とのラグランジュ軌道上に建設すると、往復だけで、その5倍は最低かかる計算になる。建設費用に関しては単純計算でも5倍。放射線シールドの補強費用も加えると、数十倍の費用がかかる可能性があり、とても採算がとれるとは思えない。
3.計画そのものに主客転倒の論理展開が見られる。アポロ計画の成功後、余ったロケットを使ってスカイラブという巨大な宇宙ステーションを建設したように、恒星間飛行が実現した後に、同じ宇宙船技術を使って宇宙居住地を建造するのであれば理解出来るが、前提条件が無いままの宇宙居住地の建設は政治的に見てもあり得ない。
4.人口が増えすぎた場合には、環境が良い場所を求めて移住するのが人類の歴史であり、わざわざ環境から人工的に作らなければならない場所に移住先を求めることはない。宇宙居住地を作るよりも、近海に人工島を多数建設する方が、環境を作らずに居住出来るのでコストが安く、移動も簡単に出来るだけでなく、海底資源開発と一体化した計画ならば採算が合うので実現性が高い。
5.宇宙居住地が建設される理由を考えるとすれば、遠い場所にまで開拓地を求めるほど地球が豊かになった場合の話で、世界の貧困化が進めば、宇宙に夢を求めなくなった人々が増えて、テロや革命に理想を求めるようになるのが歴史の教訓である。
6.現在の宇宙技術では実現出来ないものを多く想定しており、たとえば、宇宙空間での溶接作業やコンクリート建設作業など、まだ実験室レベルの開発技術でしかないものが実現しなければならず、時間的に見ても、毎年、億単位で増え続ける人口増加率の伸びに追いつけないのが明白である。