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宇宙コロニーの軌道共鳴とは?速度の問題とは?
- 宇宙コロニー設定で注目されている軌道共鳴とは、地球の内側でまわること。
- 宇宙コロニーが安定した軌道を保つためには、どの程度の速さで地球をまわればいいのか?
- 月は地球のまわりを約27日で回るが、宇宙コロニーはどのくらいの速度でまわるのか?
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御質問文中に貼られているURLのページに書かれております様に、軌道共鳴とは、重力源の周囲を公転する大質量の天体が公転する周期に対して、小天体ないし小物体が公転する周期が2:1とか3:1、3:2等々の単純な整数比になっている場合において、大天体と小天体の公転周期の比が維持され続けるというものです。 ですから、只単に月と軌道共鳴の状態にあるというだけの場合には、人工衛星が月よりも遠い所を回っていて、月が2回公転する間に人工衛星が1回公転するという関係になっている場合でも軌道共鳴は成り立ちます。 但し、スペースコロニーの軌道を月との共鳴軌道とする目的は >交互に月と地球に近づき、双方に低エネルギー(安価)で接近できる2:1の共鳴軌道を使用することが提案されている。これにより、原材料と市場の双方を素早く、かつ安価に利用することができる。 と書かれている様に、地球に近づく事もある事が重要なのですから、地球に最接近した時には月よりも地球に近い所を通過する様な軌道でなければならず、そうすると地球の周りを月よりも速い周期で回る方の共鳴軌道しか選択肢はありません。 ところで、円軌道を回る場合には、地球までの距離や月軌道までの距離は概ね一定ですから、地球と月の双方に近づくという事は、円軌道ではないという事です。 つまり、スペースコロニー用の共鳴軌道とは、楕円軌道であるという事になります。 ケプラーの第三法則からも判ります様に、同じ重力源(この場合は地球)の周りを回る物体の公転周期は軌道長半径(軌道が描く楕円形の長軸方向の長さの半分の長さ)の3/2乗に比例します。 ここで月の軌道長半径の「2の2/3乗」分の1の長さの軌道長半径を持つ軌道を回っている人工衛星を考えてみます。 軌道長半径が「2の2/3乗」分の1の場合、「『2の2/3乗』の3/2乗」は2ですから、その軌道を回る人工衛星は月の公転周期の2分の1の周期で地球の周りを回る事になります。 そして、この人工衛星の公転周期は月の公転周期に対して1:2という単純な整数比の関係になっていますから、月との間に軌道共鳴が成り立つ事になります。 さて、一口に軌道長半径が「2の2/3乗」分の1の長さ(月の平均軌道半径の約0.62996倍)と言っても、その楕円の離心率の違いによって地球や月に対して接近した時の各々の距離は大幅に異なります。 例えば、離心率が0の円軌道の場合、月の平均公転軌道半径の「2の2/3乗」分の1の半径を持つ円を描いて回る事になりますから、地球までの距離は月⇔地球間の約63%にもなりますし、月に最も接近する時の月までの距離も月⇔地球間の約37%までしか近づきません。 一方、離心率が0よりも大きく1よりは小さい場合、人工衛星は楕円を描いて回る事になりますが、ケプラーの第一法則で示されている様に、軌道が描く楕円にある2つある焦点の内の片方の位置は重力源の位置と一致しますから、離心率が1に近い細長い楕円を描く軌道程、人工衛星は地球に接近します。 とは言え、地球に接近し過ぎて大気の抵抗で減速する恐れが生じて来る程では人工衛星として長い間地球の周りを回り続ける事は出来ませんから、地球に最も近づいた時の距離も、ある程度は地球から離れた所までに留めなければなりません。 10年にも満たない短期間だけ周回するだけで良い普通の人工衛星であれば、地表から100km離れているだけでも成り立ちますが、地表から1500km離れた所でも極々僅かながら大気が存在していますので、100年以上に亘って使い続けられるであろうスペースコロニーの場合は、地表から1000kmくらいは離しておいた方が良いのではないかと思います。 スペースコロニーが近地点に達した時の地表との距離を仮に1000kmとしますと、地球の赤道半径は約6378137mですから、地球の中心からの距離は約7378kmになります。 一方、遠地点に関しては、月の平均公転半径が約384400kmなのですから、その「2の2/3乗」分の1の長さの2倍から「近地点距離である7378km」を差し引いた476900kmになり、この時の月軌道までの距離は平均して92500kmになります。 楕円を描いて回っている人工衛星の速度は、速度をv、重力源までの距離をr、軌道長半径をa、重力源の質量をM、万有引力定数をGと置いた場合、 v=√(G×M×((2/r)-(1/a))) という関係になり、地球の質量は約5.972×10^24kg、万有引力定数は約6.67408(31)×10-11m^3 ・kg^-1・s^-2なのですから、近地点におけるスペースコロニーの速度は v=√(G×M×((2/r)-(1/a))) =√(6.67408×10^-11[m^3 ・kg^-1・s^-2]×5.972×10^24[kg]×(2/7378137[m]-2^(2/3)/(3.844×10^8[m]))) ≒10310[m・s^-1] になります。 一方遠地点における速度は v=√(G×M×((2/r)-(1/a))) =√(6.67408×10^-11 [m^3 ・kg^-1・s^-2]×5.972×10^24[kg]×(2/(4.769×10^8[m])-2^(2/3)/(3.844×10^8[m]))) ≒159.6[m・s^-1] になります。 又、月の平均公転周期は27日7時間43.193分ですから、このスペースコロニーの公転周期はその半分の13日15時間51.5965分になります。 尚、高度1000km弱辺りまでならアメリカが使用していたスペースシャトルでもギリギリ到達出来る高度ですが、スペースシャトルが地球の周りを回る速度と、遠距離から落下して来て地球に接近する人工衛星の速度との間には非常に大きな速度差がありますから、アメリカのスペースシャトルでは速度が遅過ぎるためスペースコロニーに移動する事は出来ません。 後それから、スペースコロニーは宇宙船とは違い外壁を厚くする事が出来るため、外壁の内側に月から打ち上げた土砂を厚めに敷き詰める事で簡単に放射線を防御する事が出来ますので、バンアレン帯とは無関係に建設する事が出来ます。 元々スペースコロニーは隕石やスペースデブリが衝突しても内部にまで影響が及ばない様にする必要から、外壁のすぐ下には厚い土砂が敷き詰められていますから、放射線防御はそれで十分なのです。 未来には月の開発が重要になって来ると考えられ、月は重力が弱いため長期に亘っての居住には適していませんから、どこかから人材を送る必要が出て来ますが、そうなると地球やその近くの低軌道からロケットを打ち上げたのではコストが掛かり過ぎますので、地球からよりもずっと低コストで月まで行く事が出来るスペースコロニーが、人材を供給する拠点としても使う事が出来るかも知れません。 又、他の惑星や小惑星等に人類が進出する際にも、重力のある地球や月からロケットを打ち上げるためには効率の悪い化学ロケットに頼らねばならず不経済ですので、無重力下で巨大な宇宙船を建造可能で、効率は極めて高いものの、推力の小さい電気推進ロケットで発進させる事が出来るスペースコロニーが、宇宙開発の拠点となるかも知れません。
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- SPROCKETER
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SF作家なんて、生活出来る商売ではありません。趣味で書くのならばともかく、仕事にするのはやめた方が良いでしょうね。最後は首を吊るか、ポルノ作家になるだけです。(実話です。) 宇宙コロニーなんて実現出来ない理由が山ほどあるアイディアです。宇宙開発の専門家でも無理だという人が多いです。思考実験としては面白いですが、現実性がありませんね。 仮に巨大な宇宙都市を軌道上に構築するとしたら、バンアレン帯の下で放射線被爆量が低く、打ち上げコストが安くて、地球への帰還が容易である、現在の宇宙ステーションが公転している地球低軌道しか無いのが実情です。 月軌道なんて、打ち上げコストが5倍にもなり、被爆線量は500倍にもなる軌道で、現実的とは思えません。 現在の宇宙ステーションがある軌道は、観光用にも最適地で、地球が大きく見えるので、お金持ちの観光客が宇宙旅行にやって来ています。今後、10~20人ぐらい一度に打ち上げられる宇宙船が打ち上げられるようになれば、コストが下がって、観光客の数は桁違いに増えるでしょう。 そうなれば、巨大な宇宙都市が必要になるかもしれませんが、どちらにしても、遠くの軌道に宇宙都市を作っても、コストが高くて見るものが無いので、観光客は来ないでしょう。 ラグランジュ軌道なんて、燃料代にコストがかかり過ぎて採算が合わない軌道です。考えるだけ野暮だと思いますよ。 米国でも宇宙コロニーのような巨大な建造物を宇宙に打ち上げるのに反対する動きが強くて、デススターを作ろうという運動を大統領が激しく批判する事件まで起こっています。 巨大な宇宙都市を作るのは、原子力潜水艦を宇宙に置くようなもので、地球を破壊出来る兵器が大量に配備される軍事基地化する危険が大きいからでしょうね。
お礼
ネット上のどこにもなかった詳しい情報、回答をありがとうございます。 助かりすぎて、感謝しかありません。 私も科学は好きでして、特に宇宙は毎月newtonを購読するほど好きなジャンルです。 本当にありがとうございました。