皮膚といえども、タンパク質であることに変わりはありません。強い酸性やアルカリ性では破壊されます。ただ、pHとして4~10なら、おおむね大丈夫ですから、肌に使う物で「肌に優しい弱酸性」を説明できるわけではありません。
皮膚は外界から人体を保護しています。毛穴などはかなり皮膚の奥深くまでありますから、皮膚自体も守る仕組みが備わっています。
それが、皮脂です。脂質ですね。これは、脂肪酸と呼ばれるものです。脂肪酸が皮膚を覆い、皮膚、特に毛穴などへの有害なものの侵入を防いでいます。
脂肪酸という名前の通り、酸性です。弱い酸性ですね。皮膚へ弱酸性のものが触れても、脂肪酸にはあまり影響しません。脂肪酸が皮膚を保護する働きは、そのままです。
しかし、タンパク質としては安全な範囲の弱アルカリ性であっても、それが肌に触れると脂肪酸を中和し、脂肪酸は失われます。つまり、脂肪酸の保護を受けない肌が露出してしまうわけです。
そうなると、肌はダメージを受けやすくなります。弱酸性を謳う商品があるのは、そのためです。
P.S.
脂肪酸は、細菌の栄養にもなります。ニキビの原因になるアクネ菌も皮脂の脂肪酸を栄養として、顔などの皮膚に住みついています。頭皮にはフケ症の原因となる種類が決まった細菌がいます。
こういう細菌を常在菌と言います。繁殖し過ぎて、ときどき困り者になるんですが、それでも実は、人体の保護に役に立っています。常在菌は小さな害はあっても、命に係わる病気と言った、大きな害はありません。
常在菌が皮膚にくまなく存在しているため、皮膚は細菌で満員状態です。新たな雑菌が皮膚に付着しても、たいていは先住者の常在菌に勝てず、繁殖しません。そうして、空気中や他の物にある、もっと有害な細菌から人体を守っています。
常在菌を減らし過ぎると、たとえば皮膚の奥まである毛穴に有害な細菌が入ると、そのまま繁殖してしまい、危険です。清潔は大事ですが、あまりに潔癖なのは危ないわけですね。
皮膚上の脂肪酸、つまり皮脂にはそういう常在菌を適度に養って、人体を守る働きもあります。
お礼
なるほど、肌を守るためには、皮膚よりも、皮脂に優しいのが大切なんですね。 そして、皮膚と皮脂とでは、受け入れられるアルカリ性の強さが違うんですね。 常在菌の事も知れて、勉強になりました。 ありがとうございました。