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準用について
今民法の授業で意思表示のところを学んでいます。 ところで心裡留保の例外についての民法93条但し書きで「知リ得ヘカリシトキ」は<準用する>と習ったのですが、この準用という意味がよく解りません。 類推適用とはまた違うものなのですか? 民法93条但し書きは第三者に悪意があったとき、その意思表示は無効になるということですがもしそれを<準用>した場合は善意の第三者でも有過失があった場合は免責にならないということなのでしょうか? いまいちよくわからないのでよろしかったら教えてください。
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あれまあ、てっきりどなたか答えて下さるものと思っていたのに、答えまだでしたか。 では回答します。 「準用する」の意味は、この場合、深く捉えなくて構いません。 「類推解釈」と同義です。 以下、具体例を挙げながら、検討してみましょう。 例えば、私が税金滞納のための差押えを免れるために、私の土地をmukumukuさんに売ったことにし、登記を5年の約束で移したとします(税金の時効は5年ですから)。この場合、94条の通謀虚偽表示が適用されて、登記は無効となります。 しかし、その土地をmukumukuさんがほかの人に売ってしまったら、その人から私は土地を買い戻すことができない。これが94条2項ですね。 善意の第三者の立証責任は、第三者にあります。悪意の場合は、第三者の保護はありません。ただし、登記を見た段階で第三者の善意が立証されるのを相当とします(四宮・能見180) では、93条の事例で、同じく私が売るつもりがないのに、mukumukuさんに土地を売ろうと持ちかけます。そうすると、mukumukuさんが工面した金で、土地が正当に購入できるわけです(でなければ、工面した努力が水の泡になってしまいますから)。 では、mukumukuさんが「私が土地を売るつもりはない」ということを知っていた場合、あるいは私の本当の気持ちを知るべきところをうっかり見過ごした場合はどうなるか。これが93条但し書で、無効になるケースです。 その事例でmukumukuさんがお友達に土地を売った場合はどうなるでしょうか。これが問題の「94条2項の準用(類推適用)」ということになるわけです。 この場合、「取引の安全」という観点から、お友達を保護してやらなければかわいそうではないか、ということで、学説は94条2項の類推適用を主張しています。そうすると、取引が無効であったにも関わらず、私はmukumukuさんのお友達から土地を取り戻すことは、もはや不可能ということになるわけです。 なお、93条但書と94条2項が区別しにくい場合もありますが、結論が同じですので、詮索する必要はあまりありません(内田63)。 なお、前回の回答で第三者の立場を「善意・重過失でよし」としていましたが、学説は、無過失を要求しているようです(四宮・能見179)。判例は単に善意でよしということですが、学説とのずれがありましたので、学説は無過失要求ということで訂正いたします。 いずれ、代理や物権法で94条2項の類推適用は顔を出します。そのときは、「取引の保護」という観点から94条2項が使われるのだということを頭に入れておいて下さい。 参考文献 内田貴『民法1 総則・物権総論 第2版補正版』東京大学出版会 四宮和夫・能見善久『民法総則 第五版』弘文堂
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今大学の1年か2年の方でしょうか。 民法93条から96条は、民法解釈で一番重要なところですので、しっかり押さえましょう。 岩波書店『コンパクト六法』の「法令基礎用語例」は、次のように解説しています。 適用・準用・例による 「適用」はある特定の法律の規定をそのままあてはめる場合に用いる。例、「新法は、別段の規定のある場合を除いては、新法施行前に生じた事項にもこれを適用する」(民法附則4条)。「準用」は、ある事項に関する規定を、それとは本質を異にする他の事項について、必要な修正を加えてあてはめる場合に用いる。例、「第七百四十七条及び第七百四十八条の規定は、縁組にこれを準用する」(民法808条1項)。ある制度や法令の規定をさらに広く、他の同種の事項にあてはめる場合には、「例による」が用いられることが多い。例、「前項の手数料及び延滞金について、地方税の滞納処分の例により処分することができる」(地方自治法231条の2第3項) (法律の略称は正式名称に置き換え、丸数字は機種依存文字ですので表記をし直しました) という定義を書いて、ふと思いました。 民法93条には「準用する」という言葉が出てこないのです。 また、私自身も、どういう場合に「準用」するのか、分からないのです。 (ご質問の件は、善意・重過失でも準用されることはありません) 恐れ入りますが、「準用する」という言葉の出た文脈について、詳しく教えていただけますでしょうか。そうすると、納得の行く回答が出せると思います。
補足
これは「意思の欠缺」という所の「心裡留保」で習いました。 私が受けている民法の授業は教科書をあまり使わないのですが、先生の作成されたプリントで進めている感じの物です。 そのプリント部分を写したいと思います。 そこでsassyさんには謝らなければならないことがあります。 私は質問部分に「心裡留保」のみを聞いていましたが、その「心裡留保」内の「通謀虚偽表示」を質問内には入れていなかったのです。 これではsassyさんが困られるのも無理はないと思います。 申し訳ありませんでした。 さてそのプリント内容を紹介したいと思います。 この内容には私が先生が口にしたことを書き留めたものも中に入っています。 通謀虚偽表示 94条 善意の第三者 保護される 94条2項→制裁規定 虚偽表示の無効を主張できない(なお93条但し書きにも準用) 悪意の第三者 保護される必要なし 虚偽表示はそのまま無効 177条と同じ 94条2項の類推適用→不動産がらみで裁判で使われる場合が多い ここで94条の虚偽表示が93条但し書きにも準用されるとプリントに記載されていたのです。 教科書(有斐閣双書)にはそんな94条と93条2項但し書きについて「準用する」という言葉は記載されていないしどういうことなんだろう? そう思って質問させていただきました。 この場合、94条が93条2項に「準用する」ということはあるのでしょうか? もしあるとすればこの場合、どのように解釈をしたらいいのでしょうか? なんだか支離滅裂な質問ですみません。
お礼
こんな私の質問に答えていただいてありがとうございます。 sassyさんが紹介してくださった参考文献を見て、もう一度頭に入れなおそうと思います。