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年金税制化
失礼します。 知識不足で申し訳ないのですが、年金を完全に税制化に移行するとどのようなメリットがあるのかと言うことを聞きたくて質問をしに来ました。 なるべく具体的に教えていただくとありがたいです。 宜しくお願いします。
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「完全に」というのは微妙です。今話題になっている税制化とは、「基礎年金部分」についての議論です。 全額税負担制度といって、国民年金の全額と、厚生・共済年金の基礎年金部分をすべて税で賄おうじゃないか、という議論です。 メリットは実はたくさんありまして、まず国民はいわゆる年金保険料を支払う必要がありませんから、月額15000円に届かんとする保険料を負担しなくてよくなります。つまり、国民一人当たり月額15000円の余剰財産が生まれるわけですから、その分を消費に回すことが可能になります。しかもそれが毎月ですから、年間にしてみると国民一人当たり18万円もの余剰資金が生まれることになります。 これが消費に回されれば、当然資金の回転力が上がりますから、景気経済の活性化にもつながります。貯蓄に回されれば、銀行が国債を購入する原資が増えるわけですから、日本の国債のより強固な安定性にもつながってきます。 また、現在の年金の問題点として、「国民年金を24年間以上納めた実績」がなければ現在では国民年金を受給することが出来ません。一部期間で免除を受けていたとしたら、その分支給金額から削られます。 ところが、全額税負担にすると、このルールがなくなりますから、国民は誰でも等しく年金を受け取ることが出来るようになり、いわゆる「無年金者」や「低年金者」が居なくなります。 現在ですとこの無年金者や低年金者は、それ以外に収入がない場合、生活保護を受給している人も多いですが、この生活保護費もいらなくなります。その分財政に対する負担も軽減されますね。 一見するとよいことしかないように見えます。 ところが、この全額税制度。いくつか問題点があります。(どのようなメリットがあるのか、という設問ですから、デメリットを述べるのは誤っているかもしれませんが、上記文章だけを見て、「じゃあ全額税制度にするのがいいじゃないか」と考える人が増えるのは困りますので) それは、まず第1点。全額税制度にすると、1/2負担の現在に比べて、さらに総額で10兆円以上の税負担が必要となります。 現在、「税と社会保障の一体改革」で増税するといわれている税の割合が5%分。現行の負担割合と合わせて総額10%の増税になる、と議論されています。 ですが、全額税制度にするのであれば、その増税分に加えて、さらに5%の増税が必要となります。このことを民主党の連中は誰一人として口にしませんね。全額税制度にするのを前提とするのなら、そのことをちゃんと国民に向けて発信するべきです。 「私たちは消費税を15%(もしくは16%~17%)にするつもりでいます」と。 そうなったとき、この国に何が起きるのか。10%の段階で既に言われていますが、まず多くの企業が消費税増税分を価格に転化するしかなく、結局利益が削られて、従業員の給与を支払えなくなり、倒産。この道をたどります。 結果、失業者が大幅に増え、当然生活保護者が急増します。また自殺者も増えるでしょうし、倒産を防ぐためや失業者に対する補てんのための財政出動もまた必要となってきます。 たかが老後の7万弱の生活費を保証するために、一生を棒に振らざるを得なくなる人が大量に発生することを、民主党はまず説明すべきです。 またさらに、年金に関しては、今まで支払っている人が存在します。現在でも払い続けていますね。仮に全額税制度に移行するとすると、この「すでに支払っている人」が不公平に感じないようにしなければ大問題になります。今まで支払った年金返せ~~~ってことになるでしょう。(計算したことないですが、実際にそうなった場合、現在の積立金では足りないんじゃないかと思います。また、そこから国債に充てられている資金もありますし、返済するための新たな組織も作らなければならなくなったりで、まず現実的ではないと思います) ということで、保険料を納めている人がこの世からいなくなるか、もしくは極端に少なくなるまで待たないといけません。その移行期間が60年と言われています。 ですが、なぜ今ここまで年金が問題になっているのか、というと、戦直後に生まれた「団塊の世代」とその団塊の世代から生まれた「団塊ジュニア」の数が、それ以外の期間に生まれた人たちの数に比べて、圧倒的に多いことに原因があります。 ですが、そんな「団塊の世代」や「団塊ジュニア」にも寿命があります。 「特定年齢まで生存する者の割合」というデータが厚労省から出ているのですが、そのデータで見ると、どの世代の人たちも、男性で90歳、女性で95歳になるころには、その人口は全体の約2割にまで減少します。 つまり、団塊の世代で考えると、今から35年後、団塊ジュニアで考えても、今から約60年後にはそのほとんどがこの世からいなくなっています。 つまり、移行期間に60年もかかる制度を、今考えることは非常に無意味。非現実的です。 この2点から考えると、全額税制度を実行することは、かなり非現実的です。 それよりも、やはり現行の年金制度の中でどう制度をいじっていくのかということを考えた方が、よほど現実的だと思います。
お礼
とても丁寧でわかりやすく、理解できました。 やはり、メリットもある一方でデメリットも存在するのですね…。 こうしたデメリットにもしっかりと向き合うことも大事ですよね。 これをきっかけに年金について学んでいこうと思います! ありがとうございました!