厚生年金と国民年金に加入し保険料を納付していた人は、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金をもらうことになります。
老齢基礎年金は、20~60歳(40年間=480月)の間すべて納付済みとなっている場合は、786500円(H24年度)もらえます。
納付済み月数に比例するので、例えば30年間分しか納付していなかったら、786500×30/40=約59万円となります。
すなわち、老齢基礎年金は、支払った年月に応じてもらう年金なので、支払い月数が同じであれば、皆同じ金額です。
国民年金の第一号被保険者として支払った1月と第三号被保険者として保険料はかからないけど納付済み扱いになる1月は同じ価値です。
一方、老齢厚生年金は、報酬比例年金で、その計算式は、前に示した
報酬比例額=平均標準報酬月額×5.481/1000×月数(すいません、前回の係数を7.125→5.481に訂正します)
という式で定められます。(もうちょっと複雑なのですが、わかりやすくするために単純化しています)
この式で確認できるように支払った月数は同じでも、平均標準報酬月額が2倍であれば、もらえる年金額は2倍になります。要は給料20万円の人と40万円の人では働いた月数が同じであれば、報酬比例年金は2倍の差が出ます。(支払う保険料も2倍になります)
離婚による年金分割の対象となるのは、この報酬比例の老齢厚生年金のみです。老齢基礎年金はまったく関係がありません。老齢基礎年金の分割はありません。
それでは、この平均標準報酬月額は離婚分割によってどれだけ影響を受けるでしょうか?
妻はこれまでまったく働いたことがないと仮定します。そして3月分だけ婚姻期間があり、この期間を分割対象と考えてみます。
夫は、生涯で30年間のみ厚生年金に加入し、ずっと20万円の給料だったと仮定します。
もし、分割がなければ夫が将来もらえる厚生年金の報酬比例額は、
報酬比例額=20万円×5.481/1000×360月=年間394,600円
です。
もし、3月の婚姻期間があり、3号分割をしたとするなら、この3月は20万円でなく10万円として計算することになるので、平均標準報酬月額は20万円から下がることになります。どれくらい下がるかというと、3月なら199,167円になります。よって、分割後の厚生年金報酬比例額は、
報酬比例額=199,167円×5.481/1000×360月=年間393,000円
です。よって394.600-393,000=1,600円(年間)が減額される金額となります。
妻は分割によって、10万円の月が3月あることになるので、
報酬比例額=10万円×5.481/1000×3月=年間1,600円
がもらえる金額となります。
この例では単純化しているので、夫の減額分と妻の増額分が一致していますが、たまたまと考えて下さい。
たいてい、他の厚生年金期間があったり、夫の給料が一定でないことの方が多いので、実務上で一致することはほとんどありません。
一方、老齢基礎年金は二人とも何も変わりません。それぞれが納付済み月数に応じた年金額となります。
お礼
国民年金を納めるより、厚生年金を納めた方が将来の年金が多くなるのですか? 私としては、もし結婚しなかったとして、毎月国民年金を納めていた場合より、減らないのであれば、請求はしたくないのです。 でも未婚で国民年金を納めていた時より減額されるならちょっと考えます。