先生のねらいがよくわからないのですが…
>瀬戸内海って立派な海ですよね?
要は「海」をどう定義するかという問題になりますね。
辞書をひいてみると,
「地球上の陸地以外の
部分で、塩水をたたえた所。地球表面積の約7割を占め、その面積3億6千万平方キロメートル。」(『広辞苑 第5版』)
のような説明があります。
このような意味の海なら,瀬戸内海は当然海になります。
また,「日本近海の環境問題を考える」などと書いてあった場合,瀬戸内海の赤潮は含まれないなんて言ったら,瀬戸内海の漁師さんたちは怒るでしょう。
さらには,瀬戸内海にいる魚は淡水魚か?といったら,そんなことはありませんよね。
その他,とくに限定がなければ「瀬戸内海も海」です。
ところで,瀬戸内海を海と扱わない場合もあります。
それは,領海とか経済水域など,国際的な海域を考える場合です。
「領海及び接続水域に関する法律」(通称・領海法)という法律があります(参考URL)。この第2条に「内水である瀬戸内海」と書かれています。
内水というのは,湖や河川など,その国の領土に含まれている水域です。
国の領海は,「海洋法に関する国際連合条約」によって,基本的には「海岸線(正確には低潮線)から12海里」と定められており,また日本の領海法もそれにあわせた規定になっていますが,東京湾・相模湾などは,湾の出口に直線をひいて,それより内側は内水だよ,というふうに扱います。
つまり,湾の部分では,「海岸線から12海里」ではなく,「出口にひいた直線から12海里」以内が領海になるわけです。
そして,瀬戸内海の場合,出口の3ヶ所(回答No.1で紹介されている海上保安庁のサイトを参照)に直線をひいて,その内側全体を内水として扱っています。
しかし,これはあくまでも「領海を考える際は,海として扱わない」というだけにすぎず,「瀬戸内海は海ではない」と言うのは行きすぎ(あるいはこじつけ,詭弁)に思えます。
ここでまた『広辞苑』で,
「内水」を引いてみると,その2番目に,法律用語として
「二つ以上の海峡によって公海から閉鎖されている海。沿岸が同一国家に属し、一切の入口が一定の距離を越えないときは、その国の内水を構成。」
と解説されています。
(一定の距離…実際には24海里。つまり,入り口にひく直線の長さが24海里を越えたら内水扱いはできない。)
ここでも,「……閉鎖されている海。」とあるように,扱いこそ陸地内の水域(河川とか,浜名湖など)と同様ですが,それでも「海」であることには違いないわけです。
さらには,No.1で紹介されている海上保安庁のページでも,「瀬戸内海の海域区分」という言い方をして,瀬戸内海全体を10の海域に分けています。
「海域」なんですから,海に違いありません。
百歩譲って,日ごろの授業で「私の担当科目では,海といったら,とくに断らない限り,領海及び接続水域に関する法律において海として扱われる水域のみを指し,内水面は含まない」と説明していたとか,あるいは試験問題にそのような注があったのなら,(偏屈な教師だとは思うけれど)「日本海と太平洋」が正解になるでしょう。
しかし,そうでないのなら,瀬戸内海を不正解とする理由はみあたらないと思います。
もしかしたら,教師からはこんな反論がくるでしょうか。
「それなら,神奈川県が面している海は相模湾,というか? あれは海の名称ではない。海の名称としては太平洋だ」
しかし,それもおかしな話です。
相模湾は「湾」ですが,瀬戸内海は「海」です。
なお,淡路島の南端も瀬戸内海に面していることは,既に出ている通りです。
また,「面している」という言葉の解釈については,No.6さんと同じ意見です。
考えようによっては,あくまで領海法にこだわるのなら,淡路島はまるごと瀬戸内海に囲まれているわけだから,これが「海でない(浜名湖などと同じ扱い)」としたら,正解は「日本海」だけ,というのもありかもしれない。
「瀬戸内海は相模湾と同様,太平洋の一部」という考え方をとれば,正解は「日本海と太平洋」となるでしょうが,私は瀬戸内海を太平洋の一部と考えるには無理があると思います。
それなら,No.6にあるように,日本海も東シナ海もオホーツク海も,みんな太平洋になってしまうのではないでしょうか。
これらは独立した海であって,瀬戸内海だけはダメ,という理由が分からないからです。
とりあえず瀬戸内海と他の海洋との違いというと,領海関係の扱いぐらいしか思い当たりません。
他に何かあるのかなあ。
補足
私も遠いむかしにそんな風に習ったような気がしてきました。なにしろこの一問を間違えたために、100点が取れなかったというのですから、結構大問題なんです(ーー;)でも、瀬戸内海って立派な海ですよね?