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地球大気の温度構造
よく気象学ででてくる地球の大気の鉛直構造ですが、 地表面、成層圏界面、熱圏で温度が高くなっているのは、 地球大気は太陽放射に対して透明であり、太陽放射を透過するため、地表面では太陽からの放射エネルギーのうち約50%ほど地球に吸収される(残りは地表面での反射、雲や大気での反射、大気での吸収)ため地表面での温度が高くなっている。 成層圏界面では、高度25kmを中心にオゾンが分布している層がありこのオゾンによって紫外線が吸収されるため、オゾン層上層である成層圏界面で温度が高くなっている。 熱圏では、気圧は非常に低く大気は非常に薄い状態で、その大気の組成は空気の組成とは異なり、分子よりも原子の形で存在し、その原子によって紫外線やX線を吸収しているため温度が高くなっている。 以上のような解釈でよいのでしょうか?
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- kagakusuki
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少なくとも一部は違います。 >地球大気は太陽放射に対して透明であり、(中略)地球に吸収される(残りは地表面での反射、雲や大気での反射、大気での吸収)ため地表面での温度が高くなっている。 対流圏内では大気の対流が盛んであるため、地表付近で地面の熱を吸収した大気は、温度が上昇し熱膨張するために、密度が低下し、周囲の大気の浮力によって上昇します。 このため、対流圏内の大気は、鉛直方向にも、速やかに撹拌されて、地表近くの熱も、上空へ運ばれます。 しかし、高度が上昇する程、気圧が低下するため、上昇した空気は断熱膨張します。 気体は断熱膨張をしますと、温度が低下しますから、上昇した大気の温度も低下します。 一方、上空で遠赤外線を放射する等の機構によって、温度が低下した大気は、密度が増加して下降します。 低空の気圧は高いため、下降した空気は断熱圧縮し、温度が上昇します。 このため、対流圏内では、上空程温度が低くなります。 【参考URL】 対流圏 - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BE%E6%B5%81%E5%9C%8F 断熱過程 - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%AD%E7%86%B1%E8%86%A8%E5%BC%B5 >成層圏界面では、高度25kmを中心にオゾンが分布している層がありこのオゾンによって紫外線が吸収されるため、オゾン層上層である成層圏界面で温度が高くなっている。 概ねその通りですが、それだけではありません。 確かに成層圏では高度が高くなる程温度が高くなっています。 それは、質問者様が仰る様に、太陽が放射した光の中には、真空紫外線等の、空気に吸収され易い光が含まれていて、その光のエネルギーを吸収する事により、大気が加熱されるためというのが主な原因です。 空気に吸収され易い光は、大気層を通過する距離が長いほど、光の強さが弱くなりますから、成層圏では上空ほど強い光で照らされる事になり、上空ほど気温が高くなる訳です。(真空紫外線は、殆どが上空で吸収され尽くしてしまうため、対流圏には殆ど届きません) そのため、成層圏では、少しでも上昇した空気は膨張して、周囲より温度が下がって重くなり、逆に、下降した空気は圧縮されて温度が上がる事で軽くなり、結局、元の高度の付近に留まる事になりますから、対流が殆ど起きず、高度が異なる大気は混じり合い難いため、成層圏においては、大気の対流による熱の移動はあまりありませんし、対流が起きなければ断熱膨張による温度低下もない訳です。 しかし、オゾンは大半が成層圏内に存在していますが、少ないながら、中間圏の下層にも存在しています。 【参考URL】 オゾン層 - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%BE%E3%83%B3%E5%B1%A4 勿論、薄いオゾンが吸収出来る紫外線のエネルギーは少ないのですが、中間圏の大気は密度が非常に小さいため、少ないエネルギーでも、温度は上昇する筈です。 それに、酸素や窒素と比べ、オゾンは紫外線の中でも、波長320nm~210nm付近の光は良く吸収しますが、200nm以下の真空紫外線領域の光は、オゾンが無くとも、酸素や窒素が吸収しますし、より短い波長域では、酸素や窒素の方がオゾンよりも吸収率か高くなっている部分もあります。 【参考URL】 紫外線 – Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%AB%E5%A4%96%E7%B7%9A 真空紫外線 – Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E7%A9%BA%E7%B4%AB%E5%A4%96%E7%B7%9A 第5回大気化学勉強会 対流圏化学の基礎と将来展望 > 1. 地球変動とオゾン > 図 http://www2.nict.go.jp/y/y222/SMILES/MACS/5/OHP1.jpg 埼玉大学総合研究機構 科学分析支援センター > 機関誌 > 過去の機関誌 > 21号 > 大気環境化学 > 本文 (PDF:426KB) http://www.mlsrc.saitama-u.ac.jp/kikibun/forum/21/pdf/summer2.pdf そのため、中間圏においても、真空紫外線の吸収は起きますから、同じ質量の空気が吸収する紫外線のエネルギーは、必ずしも成層圏の最上部で最大となるとは限らないと思います。 中間圏では高度が高くなる程、温度が低下するのは、二酸化炭素や水蒸気といった、いわゆる温室効果ガスが熱を遠赤外線の形で放射しているからです。 温室効果ガスは遠赤外線を吸収し易い性質を持った気体だという事は御存じの事と思います。 気体に限らず、物質は、温度が高い場合においては、吸収し易い波長の光を放出し易いという性質があります。 つまり、物質にはエネルギーを出し入れし易い電磁波の波長というものがあり、温室効果ガスでは、その波長が遠赤外線領域にある訳です。 温室効果ガスは、どの高度においても、遠赤外線の吸収と放出を、同時に行っていて、地面や周囲の大気から放出された遠赤外線を吸収しては、そのエネルギーを再度遠赤外線に変えて放出します。 温室効果ガスが放出した遠赤外線は、周囲の大気に再び吸収されては、再放出されます。 この周囲の大気が放出した遠赤外線を吸収する事で、大気の温度が保たれる訳です。 高度が比較的低い所では、上空にも厚い大気層が存在するため、上空の大気が放出した遠赤外線を吸収する事が出来ます。 しかし、高度が高くなる程、その上に存在している大気層は薄くなりますから、より上空の大気が放出した遠赤外線の量は少なくなるため、高度が高くなる程、吸収する事の出来る遠赤外線の量も少なくなるため、大気の温度が下がり易くなります。 【参考URL】 温室効果 - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%A9%E5%AE%A4%E5%8A%B9%E6%9E%9C この「温室効果ガスの影響で高度が高くなる程、温度が低くなるという効果」と「高度が高くなる程、大気に吸収され易い波長域の紫外線の量が増えるため、同じ質量の大気が吸収するエネルギーが多くな事により、高度が高くなる程、温度が高くなる、という効果」の2つの相反する効果が働く事で、 成層圏では「温室効果ガスの影響で高度が高くなる程、温度が低くなるという効果」は強くない上、オゾンが波長320nm~210nmの紫外線を吸収する事による加熱も加わり、高度が高くなる程温度が高くなりますが、 高度が高くなるに従って、「温室効果ガスの影響で高度が高くなる程、温度が低くなるという効果」が大きくなって行き、成層圏界面よりも上では、「高度が高くなる程、大気に吸収され易い波長域の紫外線の量が増えるため、同じ質量の大気が吸収するエネルギーが多くな事により、高度が高くなる程、温度が高くなる、という効果」を上回り、 中間圏では、それよりも高空には大気が殆ど存在しないため、「温室効果ガスの影響で高度が高くなる程、温度が低くなるという効果」が強く働き、高度が高くなる程、温度が低下する様になります。 【参考URL】 理科年表-オフィシャルサイト > 徹底解説 > 気象部 > 超高層大気 http://www.rikanenpyo.jp/kaisetsu/kisyo/kisyo_006.html そして、熱圏では、大気密度が非常に薄いため、気体の分子は疎らにしか存在せず、気体の分子同士が衝突する頻度が低くなるため、「酸素や窒素等の温室効果ガスではない気体の分子」のエネルギーが、分子の衝突によって「二酸化炭素や水等の温室効果ガスの分子」に移る頻度も低下しますから、大気の熱エネルギーが遠赤外線として放出される効率も低下します。 又、大気の密度があまりにも小さいため、太陽光には僅かしか含まれていないX線や、宇宙からやって来る宇宙線等の、紫外線以上に大気に吸収され易い(即ち、低空には届かない)光や放射線によって加熱されるため(勿論、真空紫外線によって加熱されます)、あの様な高温となる訳です。 確かに熱圏の中の気体の分子の一部には、分解して原子やイオンの状態となっているものもありますが、分子の状態でいるものの方が多数派ですから、 >その原子によって紫外線やX線を吸収しているため温度が高くなっている。 という効果は、熱圏の温度が高くなっている主な原因ではないのではないかと思います。 【参考URL】 熱圏 - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E5%9C%8F
- coralseaco2
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「地表面、成層圏界面、熱圏で温度が高くなっているのは」という点では合っています。 「大気の鉛直構造、温度構造」まで広げて考えると、いくつか抜けている所がありますので、補足します。 http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/whitep/1-1-1.html 地表は接する空気を暖め、蒸発で水蒸気を出し、水蒸気を含んだ空気は対流で上空へ上がって行きます。対流圏では100mで0.6度下がる湿潤断熱減率により、高さが高くなるにつれて温度が下がります。地球の放射平衡温度の-18度(標高5500m)と地表温度15度の差の33度が温室効果ガスの温室効果によるものと主張する人もいますが、それは誤りで断熱膨張によるものです。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%97%E6%B8%A9%E6%B8%9B%E7%8E%87 気温減率 地表温度は水蒸気や炭酸ガスのような温室効果ガスがあるから15度になっています。温室効果ガスが全くなくなったら、地球放射は全て直接宇宙まで出るので、もちろん夜間の温度はもっと下がるのですが、地表温度は放射平衡温度の-18度になるという通説は低すぎのように思います。 日射は雲がなくなって、途中の吸収もなくなり、2倍になりますから、日中の温度は現在よりもかなり上がり、夜はかなり下がるということなのでしょう。ちなみに太陽からの距離が同じ月面は日中は100度以上に上がり、夜は-100度以下まで下がります。 http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/01/01080201/03.gif 熱収支図