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放射線の基準値とは?海外の緊急時と中長期の規制値について
- 放射線の基準値について、緊急時と中長期の規制値の考え方について教えてください。海外では緊急時と中長期をどのぐらいの期間と考えているのでしょうか。
- 日本の暫定規制値では野菜(根菜類、イモ)は除くと書かれていますが、これは土中にあるので汚染レベルが低いという考え方でしょうか。また、食品や野菜は水洗いされ検査されているため、検出される汚染物質は土中にある放射性物質の影響が大きいのではと疑問に思っています。
- 国際機関のWHOやIAEA、ICRPなどを検索しましたが、放射線の基準値に関する緊急時や中長期の期間については具体的な情報が得られませんでした。
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■期間についての定めは、(確認したわけではありませんが)おそらくないと思います。 ちなみに米FDAの基準では、 「もしもその後、食品摂取における汚染された食品の実際の割合(f)が、地方の調査 によって証明することができ、それが高かったり、低かったりする場合には、影響の ある地域に対して、f の値を調整する(すなわちDILs基準値を調整する)のに十分な 時間もあるだろう。」 と説明していて、実際の状況に応じて基準値は調整できるとされています。 中長期対策の基本的な考え方については、ICRP Publication 111(日本語ドラフト) http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,15092,76,1,html で、詳しく述べられていますが、 どのような対策を定めるかは「総合的な便益」によるというのが基本ですから、 日本の汚染状況と、日本社会の実情により中長期対策を定める、ということになります。 (一般論はない、ということだと思います。たぶん時間軸についても。) 上記 publication 111の末尾に、いろいろな事故後に取られた対策の実例がありますので、 とりあえず、それをお読みになるのが一番参考になるかと思います。 たとえば、チェルノブイリ後のノルウェーでは、 「トナカイ飼育者(ならびにラップ人の文化と生活様式)にとって意味のある経営基盤を 維持するために、トナカイ肉の放射性セシウムに対する介入限度は1986年の秋に 6000Bq/kgに引き上げられた。これは、一般のノルウェー人によるこれらの産物の 平均消費量が低いことによって正当化された。状況が改善するに伴い、1994年に トナカイ肉に関する介入限度は3000Bq/kgまで引き下げられた。」 という事例が紹介されています。 トナカイ飼育者の生活と文化を維持するために、逆に基準を緩めることが認められた 特殊な例ですが、基準値が柔軟に運用されていることがお分かりになると思います。 ■日本の暫定規制値で根菜類、イモが除かれているのは「放射性ヨウ素」についてだけです。 今(そして今後も)問題になっている、「放射性セシウム」については除外されていません。 (仰るとおり、チェルノブイリ事故後、芋類のセシウム汚染は問題になっています。) ヨウ素の暫定基準について、根菜、芋類が除外された理由は、 「放射性物質により汚染された食品の健康影響評価等に関する文献調査」 (2006.3.31) http://www.fsc.go.jp/fsciis/survey/show/cho20060331054 (4-7, pdfのp.37) では、以下のように説明しています。 「放射性ヨウ素について、空気中からの沈着で汚染しやすい飲食物は、飲料水、牛乳、葉菜 及び果花菜などの野菜類であり、根菜と芋類は地中にあることで沈着による汚染がない。 そこで、放射性ヨウ素に関しては、根菜、芋類を除いた推定値が利用された」 ■尚、食品の暫定基準と中長期基準については、参考URLの質問の回答に書きました。
お礼
詳しく回答を頂きまして大変参考になりました! リンク先も参考になりそうで読んでみますね。 >日本の汚染状況と、日本社会の実情により中長期対策を定める 後手後手の対応にならぬよう期待いたします。 すでに飲んだり食べてからやっぱり・・・とならないよう 健康被害は後からですからね。 >日本の暫定規制値で根菜類、イモが除かれているのは「放射性ヨウ素」についてだけです。 今(そして今後も)問題になっている、「放射性セシウム」については除外されていません。 そうなんですか!見落としていました! 一つ安心致しました。 再確認しましたら確かにそうでした! http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e.html