英語が事実上の国際言語になっているのは、経済的に様々な分野でデファクトスタンダードになっているからです。
一番スタンダードなのはコンピューターやインターネットなどのIT分野でしょう。これは事実上アメリカが開発したものですから、英語が標準になるのは当たり前です。
しかし現在の社会はコンピューターがなければすべての経済活動が止まりますから、どの国でもIT技術者は必要ですし、最新の技術革新についていこうと思えば英語で吸収する必要があります。
同様に
・航空機産業や航空運送産業
・DNAなどを含む生化学産業
は間違いなく英語が中心になっています。
そして金融業が一番大きなお金が動く世界ですが、ここもITを駆使していることを含めて英語でビジネスを行うことが一般的になってから久しいです。
世界の主な金融市場はロンドン・ニューヨーク・東京・香港・上海・シンガポールなどがありますが、そのうち日本と上海を除き英語で取引が行われますし香港は英語と中国語が利用されています。
またほぼすべての学術論文は英語で英語の学術雑誌に掲載することにより、学位として認められることになりますので、英語で論文を書ける能力がどうしても必要になります。
学術論文や技術論文がどれほど世界に影響を与えるかについてですが、
もともと技術的な記述については、それができる言語自体がそれほど多くありませんでした。
第二次大戦以前は、英語・ドイツ語・フランス語・ロシア語・中国語・日本語ぐらいしか技術を著わすことができませんでした。もっともヨーロッパ諸国と日本を除いてほかはほとんど植民地でしたから、そもそも自国語で高度な技術を記述する必要はなかったといえます。
当時はドイツが最新の技術を有しており、航空機産業やロケット、暗号や原子力利用(原爆開発)においても先端を走っていました。当時は当然軍事機密に属していますし、最先端とは開発した新しい技術を記述する単語も同時に開発するということですから、自国語で記述されることになります。最先端に触れようとするなら自国で開発するか、最先端の国の言語を習得するか、になったわけです。
日本はドイツと同盟していたこともあり、ドイツ語で技術を習得し、それを一般の将兵が使えるようにするために日本語に翻訳する努力もしていました。
当時このような技術革新は上記の国のみで行われたため、現在でもたとえばマレー語やペルー語などでロケット技術を記述することはほぼ不可能で、少なくとも技術的な単語はどこかの国の言語から借りてくることになります。
最近韓国がロシアの技術を借りてロケット開発をして失敗しましたが、ロシア語で記述されたマニュアルとロシアで作られた装置や装備を利用しているため、失敗の原因調査はロシア語ができる韓国人技術者しかロシア人できなくなってしまい、ロシア人はロシア側の原因による失敗を認めないため、今韓国で大きな議論になっています。
このようなことがあるので、途上国は高等教育をメジャー言語で学びすぐにキャッチアップできるようにしていうのです。
そしてそのメジャー言語はIT関連・金融関連・その他学術論文が英語が主流になっている以上、英語を選択する国がおおくなるのです。
20年前まではソ連があり共産主義国の一大技術輸出国でしたから、共産国は英語よりもロシア語を学ぶほうが有利でした。たとえば軍人になるにしても兵器はロシア産、経済的にも自動車や航空機がロシア製だったからです。
しかし共産主義が崩壊した今は西側諸国を実質上束ねているアメリカ(そしてイギリス)の影響が強くなり、インターネットの普及もあいまって英語が事実上の国際語になってしまっています。
もちろん、イスラム教を中心としたアラブ諸国ではアラビア語が国際言語として通用していますし、東アジアでは中国の経済力向上による漢字の復権が周辺国の話題です(韓国は漢字復興に一歩踏み出しましたね)
50年後、英語が今の地位に留まっているとは限りません。ただしアラビア語がこれ以上強くなることは考えにくいと思います。アラブ地域においての技術革新や石油以外の経済的影響力が少ないからです。
一番有望なのは中国語で、技術革新と経済影響力の増大により、途上国が英語よりも中国語を学んだほうが有利(たとえば街の電気屋でも中国語製品の中国語マニュアルを読めれば他店よりも有利になる等)になれば中国語が伸びていくでしょう。
私見ですが、200百年後ぐらいにはヨーロッパが英語を中心とした言語に、アラブはアラビア語中心、東アジアは漢字の世界(日本語もちょっとだけ取り入れられるかも)になっていると思います。
今現状では経済と技術を英語で記述するしかないので、英語が国際語としてとても有利な立場にいるのです。
お礼
phi様、様々な具体的な記述ありがとうございました。 私が知識の無いことも詳述されており、大変参考になりました。ベストアンサーとさせていただきます。 今後ともよろしくお願い申し上げます。