直下型地震は縦揺れだから建物が壊れる。。。という話はよく言われるのですが、私はこれは間違っていると思います。
少々難しい話になるのですが。。。
地震によって建物に働く力は、建物自身の重さ×振動の加速度になるので、重い建物ほど大きな力が働きます。
水平揺れに対しては、耐震設計をしていない建物(日本にはありません)では、まったく水平方向の力を想定していないので、地震にはすこしも耐えられません。
しかし、鉛直揺れについては、たとえ耐震設計をしていないものでも、建物自身の重さには耐える設計をしてあって、しかも安全率をみています。そのため耐震設計をしていなくても、縦揺れには耐えられるのです。
たとえば、安全率1.5(普通の数字です)で設計してあれば、建物自身の重さのほかに0.5Gの鉛直加速度がかかっても耐えられる計算になります。
そんなわけで、ことさら、縦揺れに強い建物を求める必要はなく、ふつうに余裕を見た耐震設計をしてある建物なら、直下型地震にも耐えられるはずです。
直下型地震で被害が大きいのは、単純に、震源のすぐ近くなので振動が大きいためだと思います。
しかし、しいて「縦揺れに強い建物」という話になれば、前述の建物自身の重さに対する「安全率」が1.5より大きいものが縦揺れに強い建物になります。
まず、建物の階数が小さいほど柱の安全率は大きくなる傾向があり、7階ぐらい以上で柱の安全率が1.5に近づきます。
また、柱間隔が狭いほど梁の安全率は大きくなる傾向があり、9mぐらい以上では梁の安全率が1.5に近づきます。
よって、階数が5階ぐらいまでで、柱間隔が7mぐらいまで、の建物は、たいてい縦揺れに強い建物です。
ただし、縦揺れに強くても、横揺れに強いかどうかは別の話なので、このような建物が直下型地震に強いわけではありません。とくに木造は略式の耐震設計しかしていないものがほとんどなので(まったくしていない、大工さんの勘だけのものもチラホラあったり)要注意です。
お礼
ありがとうございます。縦揺れだけで被害がでるのではなく、縦揺れで建物の柱などが破損して、そのあと来る横揺れで倒壊するといわれています。 縦揺れだろうが横揺れだろうが危険であることに変わりはないということです。 結局、耐震対策がものをいうわけなのですね。