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債権者代位権の行使

債権者代位権の行使は裁判外でも裁判上でもできるとされていますが、裁判上としては、 非訟事件手続や、民事訴訟によることが考えられるでしょうか? 裁判外で行使出来るという意味がよく分からないですが、内容証明等による第三債務者 への債権者代位の通知等があれば、第三債務者が任意に従わない場合でも、裁判によ って強制力をもたすことが出来るのでしょうか?

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回答No.2

 裁判外での債権者代位権の行使で,最も多いのは,登記手続でしょうね。  #1の回答が誤っていますが,XがYに対して,登記手続を命じる確定判決を得ているときに,Yの任意の協力なく登記ができるのは,確定判決により,Yが登記手続上なすべき不動産登記法上の意思表示がなされているからであって,債権者代位権によるものではありません。  しばしばあるものとして,XがYに対する金銭給付を命じる債務名義を有していて,Y所有の不動産を差押えしようとするとき,その不動産が,Yの先代の名義のままになっている場合に,XはYに代位して,相続登記(相続による所有権移転登記)をすることができます。この場合は,厳密にいえば,債権者代位権の転用であり,債務者の無資力要件は必要でないとされています。  まあ,一般的にいえば,債権者代位権は,債務者に対する債務名義なしに行使できる権利とされていますので,第三債務者のところに行って,「私は,債務者に対する債権者です。債務者が無資力になったので,第三債務者の債務者に対する債務を,私に払ってください。」と言って,素直に応じる第三債務者はまずいないでしょうね。ですから,結局は,典型的な債権者代位権は,裁判上行使することを余儀なくされているということになります。もちろん,厳密にいえば,これは,債権者代位権という権利が裁判上行使されているわけではなく,債権者代位権に基づいて,債務者の第三債務者に対する債権を裁判上行使している,ということになるのでしょうけれどね。  詐害行為取消権は,その条文自体で,裁判上行使すべきとされているので,債権者代位権との行使要件の違いは明らかです。  実質的にいっても,債権者代位権の行使の場合には,元々存在する債権債務(債権者・債務者間,債務者・第三債務者間)が行使されて,それぞれが消滅するという本来あるべき状態が生じるだけで,債権者・債務者・第三債務者の誰もが,特に損失を受けるわけではありません。もちろん,債務者に対する他の債権者の利益の問題はありますが,これは債権者代位権の知るところではなく,他の法律制度によって解決される問題でしょう。  しかし,詐害行為として債務者・受益者間の法律行為が取り消された場合には,受益者は,債務者から取得した財産を失い,債務者に支払った対価がある場合には,これを取り戻さなければならないという法律関係が生じますが,一般的には,債務者からの取り戻しは事実上不可能です。そういう意味で,詐害行為取消権行使の影響は,債権者代位権とは比較になりません。ですから,詐害行為取消権を裁判上の形成権とした意味は,十分にあると思えます。

a1b
質問者

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いつも、懇切丁寧かつ論理明快な回答を有難うございます。 微妙な部分の理解に時間がかかってしまい、お礼が遅くなり失礼しました。

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  • tk-kubota
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回答No.3

law_amateur さんの言うとおりです。 登記のときの例は私の勘違いです。 正解は、Xが原告で、YとZを被告として「1、ZはYに対して所有権移転登記手続きをせよ。2、YはXに対して所有権移転登記手続きをせよ。」との判決では、XはYに代位してZからYに、YからXに登記できます。 この例、つい先日実務経験積みです。 なお、詐害行為取消権の場合は、何をどのように取り消したか、取り消したために何がどうしたかと言うことが問題で、それを任意に内容証明郵便などで通知したからと言って、そのまま執行力が与えられるとは思わないです。 そのことを判決で明らかにして初めて執行力があると思います。 その点、代位登記は、登記原因証書が判決であったり、戸籍簿謄本のように公文書だから可能ではないかと思っています。

a1b
質問者

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  • tk-kubota
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回答No.1

例えば、AさんがBさんに100万円貸していて、BさんはCさんに100万円貸していたとします。 いずれも返済期日は到来していて、Bさんは、そのCさんに貸した100万円以外に、これといった財産がない場合に、AさんはCさんに100万円支払えと言う訴えの提起が可能です。 これを、裁判上の債権者代位の行使と言います。 「裁判外」と言うのは、例えば、XさんがYさんに、某不動産の所有権を移転登記せよ、と言う確定判決をもっていても、Yさんが登記手続きをしないときに、XさんはYさんに代位して法務局に登記申請できます。そのような場合を言います。 なお、内容証明郵便などで債権者代位しても、それは債務名義とならないので執行力はないです。

a1b
質問者

補足

いつも懇切丁寧かつ論旨明瞭な回答を有難うございます。 とても、具体的で分かり易かったです。 一点、お聞きしたいのですが、債権者代位権が裁判外で出来るの に対して、詐害行為取消権の場合には裁判外では出来ないとされ ていることの違いです。 債権者代位を裁判外で行った場合には、強制力はないものの法的 な効果は発生するのに対して、詐害行為取消の場合には、例えば 内容証明等で取消を受益者等に通知しても強制力はもとより、法 的効果そのものが発生しないと考えてよいのでしょうか?

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