まず、構成主義は、「万物を要素の集合から構成されるもの」として捉える考え方です。心理学史では特に19世紀後半から20世紀初頭に主流をなしたヴントやティチェナーらの考え方をさします。これは、ヴントの思想を受け継ぎ、発展させたティチェナーが自らの立場を構成主義とよんだことに由来します。
ヴントは心理学を意識を対象とする学問として位置づけ、内観という、自分の意識を自分で観察する方法によって、意識の「構成要素」を見つけ、それらの要素間の結合法則を見出すことを課題と考えたのです。さらにその上で、意識はこれらの心的要素の結合によって構成されるものと考えました。
つまり、当時、発展が見られた化学を一つのモデルとして、元素を発見し、その元素の結びつきで意識を説明しようというものです。
これに対して、心(意識)は、生物学的欲求を充足するために現れた有機体の、環境に対する適応の手段の一つの形態であると考え、そのような心的活動の目的ないし意識の効用を明らかにすることが心理学の第一課題であると主張する立場が、機能主義です。機能主義は、英語でいえば、functionalismですが、function、つまり働きとしての心を捉えようという考え方といってよいかも知れません。
機能主義は、こういう考え方ですから、要素を発見し、その結びつきで心(意識)を説明しようとする構成主義とは、対立したわけです。機能主義は、進化論と強く結びついたプラグマティズムの哲学が背景にあり,19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカを中心に発達したものです。
構成主義の方は、1930年代に入ると、この考え方は対象の意味や機能、主体の能動的側面をあまり考慮しない、一つの要素還元主義として、構成主義が研究手法として用いていた内観報告とともに、機能主義、行動主義、ゲシュタルト心理学等から批判され衰退していってしまったのです。
以上、まだややこしいかも知れませんが、参考までに。