もちろんこれはNo.1の方が言っておられるように、『死に至る病』のことを言っているのだと思うのですが
> 「日常に絶望していないことこそ絶望的なのだ」
という文章は、おそらくあまり正確な引用ではないと思います。
たぶん第一編「死に至る病とは絶望のことである」の二、
「だが人々は自分が精神であるということをはっきりと意識するに至ることなしに日々を過ごしているというのが実に一般の状態である(中略)。それで人々は自分では非常に安全なつもりでおり、人生に非常に満足していたりする、――これこそ絶望にほかならないのである。」(p.40 岩波文庫 斎藤信治訳)
この「精神であるということ」あたりが厄介なので、それをいささか乱暴に「日常」という言葉でまとめてあるのではないかと思います。もしかしたら、解説書でざっくりとそう書いてあるものがあるのかもしれませんが、わたしにはわかりません。
もちろん、「自分の絶望に無知」な人のことに関しては、第一編で繰りかえし出てきます。たとえばこんな部分。
「この形態の絶望(ひとが自らそれと知らずして絶望していること)は世間では最も普通なものである。実際人々が世間と呼んでいるもの(中略)はそのような絶望にほかならない――すなわち自分が絶望していることを少しも絶望していないような絶望である」(p.71)
でも、ちょっとニュアンスがちがうでしょう?
何ヶ所かあたりをつけて、ざっと見返しただけなんですが、おそらく、質問文中そのままの文章はないと思います。