当事者間で内心が一致していれば、契約は有効に成立。
内心も外形も一致していなければ、不成立であって、誰も契約が成立することを主張することは不可能。
内心は一致しないが、外形が一致していれば、契約は(一応)成立するが、
その内心と外形の不一致があった当事者を保護するために、
その当事者のみに錯誤無効を主張することを認める
(ただし、必ずしも無効を主張しなければならないわけではない。あくまで保護だから)
具体例を書けば、
1)
売主がAを売ろうと思って、「Aを売ります」と言って、
買主がAを買おうと思って、「Aを買います」と言えば、契約は有効に成立。
また、
2)
売主がAを売ろうと思って、「Bを売ります」と言って、
買主がAを買おうと思って、「Bを買います」と言っても、契約はAについて有効に成立。
(内心は一致しているから)
3)
売主がAを売ろうと思って、「Aを売ります」と言って、
買主がBを買おうと思って、「Bを買います」と言えば、当然契約は不成立。
4)
売主がAを売ろうと思って、「Bを売ります」と言って、
買主がBを買おうと思って、「Bを買います」と言えば、契約は成立するが、
売主の保護のために(重大な過失がない等要件あり)、錯誤無効を主張できる。
ただし、元々売る気は無かったものの、錯誤無効を主張せずに、Bを売るのは可能。
21年の民法1問とは
XとAが売買契約を締結した。その目的物は、実際に協議し、両者が合意したものはPS112であったが、注文書等ではPS122となっていた。
・この場合何についての契約が成立するか?錯誤はどうか?
という問題ですよね?
まさに上記具体例の2)にあたる
端的に書けば、
契約は当事者の意思表示の合致により成立する。当事者の協議によりPS112の売買契約について、意思表示が合致しているので、PS112の売買契約が成立する。
PS122については、単なる誤記。錯誤無効の趣旨は表意者の保護であって、
真に合意している契約を無効にする必要はないため、錯誤は成立しない。
お礼
ありがとうございました。