さらば偏差値 偏差値の妄想を捨てよ
S54年に始まった共通一次試験の成績処理に偏差値を利用しようと調べたところ、問題点というよりもその致命的な欠陥が判りました。実際、偏差値は執筆者も含め数学を専攻した教師でもその実態を把握している者は非常に少なく初歩的知識さえない者も多いのが実状です。現在でも受験生の第一の関心事は50%以上の者が偏差値ということですが、インターネットでは未だに偏差値の間違った情報が氾濫しているので少しでもその欠陥を知ってもらいたいと考えます。
偏差値というのは正規分布を大前提として計算するものでIQの様なものではなく、一緒にテストを受けたグループの中での順位を表すものです。勿論、偏差値の式の様な簡単な式では順位そのものは計算出来ません。元々欠陥をもつ計算式で公式というものではないのです。偏差値の誤差、更に偏差値のもつ致命的な欠陥などは今迄一冊も書かれたものがないので、前半に偏差値の誤差、後半に偏差値の問題点、致命的欠陥について纏めたもの[電子書籍]を書きましたが、直接のご意見、ご批判をお聞きしたくて投稿した次第です。誤差のことは判り易いので先ずこれを取り上げることにしました。
” 受験者数三十余万人といわれる共通一次試験の総合点分布でさえ、
よくみれば正規分布にはなっていません。しかし受験者が多い場合は人数の一番集中する平均点付近は正規分布に準じて考えてよいでしょう。偏差値が70以上あるいは30以下については、たとえ偏差値に多少の上下があっても、席次にはそれほど影響はしません。 ”
これはS56年の某大手受験業社が配ったパンフレットの一部で、545556
年と三回の共通一次試験の結果から纏めた資料の筈であるが、これは全く根拠のないものである。多くの受験生や教師たちはこの様なものを信じてきたのであるが、次に数値に依ってこの資料の根拠の無さを明らかにしたいと考える。
偏差値70以上と平均点付近の偏差値**換算順位*センター順位との誤差
*******平均点*標準偏差*総点*偏差値****順位*センター順位***誤差
54年度**630.07**134.28**950****73******3172***************+3200
***********************930****72******4678*********300***+4400
***********************900****70******8073********2400***+5700
***********************650****51****150055******158100***-8000
***********************640****50****159751******167400***-7600
***********************630****50****169458******176700***-7200
55年度 617.36 128.11 950 76 1568 +1600
910 73 3722 300 +3400
870 70 8093 2700 +5400
630 51 153426 162300 -8900
620 50 163775 172200 -8400
610 49 174142 182100 -8000
56年度 607.12 138.32 950 75 2244 +2200
930 73 3335 300 +3000
880 70 8263 15900 +4400
620 51 157672 162300 -4600
610 50 167478 171600 -4100
600 49 177299 180600 -3300
54年度 930点は偏差値72、これは327140人中4678番の順位を表すものであるが、実際は300番で15倍以上の誤差がある。これは誤差というより架空の順位で、従ってその偏差値もまた架空のものである。
共通一次の総点分布は普通に考えると正規分布として処理するだろうと思うが、それでも順位に直してみると表の様に誤差が明確になってくるのである。未だ受験産業は偏差値を順位に直した資料を示す事が出来ない。連続処理は無理でも昔と違い現在では個別の処理ならポケット計算機で十分だから誤差に気付くべきであった。偏差値は教育、受験業、マスコミの無知に依って生きながらえて来たのである。
業者への信頼性、偏差値の誤差について率直なご意見を聞かせて戴きたいと思います。
お礼
どうもありがとうございました!