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口蹄疫について
口蹄疫について よく種牡6頭の・・・とテレビで言っていますが 種牡の子供から同じ様な種牡は生まれないのでしょうか? それとも生まれるとしても非常に稀な確立なのでしょうか サラブレットの子が必ずしもサラブレットではない事は知っていますがそれ以上に希少なのかな それとサラブレットならば走れば解りますが どうやってこの牛は、良い種牡だと確認するのか? やっぱり実際に子を産ませてみてその肉を視て判断するのでしょうか・・・・
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獣医師です。ウイルスに専門知識を有していますが、昔は育種の仕事にも少し携わっていました。 「サラブレッドの子は必ずしもサラブレッドではない」というのは間違いです。サラブレッドの子は必ずサラブレッドです。これは品種の問題ですから。 ホルスタインの子は必ずホルスタインですし、ラブラドールの子は必ずラブラドールです。もちろんこれはその交配が同一品種の雄雌で行われたという前提ですが。 ただ、その「能力」は子であるからといって親と同じとは限りません。そんなの当たり前ですよね。 長嶋茂雄の息子が野球に関して親と同等の才能を持っていたわけではありませんし、オグリキャップの子供たちも親と同等の能力を発揮したものは結局いなかったようです。 遺伝はランダムなので、親と子の資質が同じであるはずがないのです。 また、現役の種雄牛はどれも非常に高い資質を持っていることが確認されて選抜されたものなので、それらの子があっさり「同等の資質」を持っている可能性は非常に低いです。 長嶋茂雄やイチロー、松坂といった一流の選手の息子が同じような一流の選手になる確率を考えればお判りかと思います。俳優などのタレントなら二世も多いですが、プロスポーツ選手には絶対的な「能力」が必要なので、二世で親と同等の能力を持つ子は非常に少ないのはお判りでしょう。 和牛の種雄牛の能力判定ですが、これは後代検定という方法を用います。 すなわち、候補牛に実際に子を産ませ、その肉の成績から判定するという、質問者さんのご想像通りの方法です。 ただ、「子を産ませる」までにほとんどの候補牛が体型やその牛そのものの増体の足りなさ等で落選しますし、子を産ませた後の肉の判定も、肥育技術によるデータのブレの影響を排除するために非常に厳密にコントロールされています。 それでほとんどの候補牛が落選します。選抜されるのはごく一部の牛ですし、親が種雄牛の中でも非常に高い能力を持っていた場合、親と同等以上の能力を発揮する牛はほとんどいません。 なので種雄牛の名前は、非常に高いブランドイメージを持ちます。 子牛を肥育素牛として販売する場合、その血統は公表された上で競りにかけられるのですが、同じような外見の牛であっても種雄牛によって場合によっては倍くらい値段が違います。 宮崎県などのいくつかの県は独自に種雄牛の系統を造っていますから、その中で「良い種雄牛」を持ったことは、非常に高い経済効果を生むのです。逆に言うとそれらを失うことは計り知れないダメージがある、ということです。 昔、某県にあるスーパー種雄牛がいました。ブランドイメージも含めて考えると、歴代の日本の種雄牛の中でも間違いなくトップクラスでしょう。そのくらい能力が高く、その産地に高いブランドイメージをもたらした牛でした。 その牛が生存中に経済効果が試算されたのですが、確か80億円くらいだったと記憶しています。 その牛は県有牛だったのですが、天寿を全うして死んだときには副知事が出席して「県葬」が行われました。 その牛の子孫の種雄牛は全国に星の数ほどいますが、イメージも含めると親を凌ぐ牛はまだ現れていない、と言って良いでしょう。イメージは子牛の価格に直結するので、イメージも能力のうち、とも言えます。 今回の口蹄疫騒ぎで殺処分された宮崎県の種雄牛に安平というのがいましたが、これもその例の「スーパー種雄牛」の子です。子たちの中では能力もイメージも親ほどではないにしろ高く、間違いなく宮崎県の産地としての地位を押し上げた牛です。経済効果も計算すれば数十億円はいくでしょう。 感染が確認されて殺処分された忠富士も、現在の宮崎県の種雄牛では間違いなくエースです。 これほどの牛になると、その子らが同等以上の能力を持つ確率は非常に低いです。 まして遺伝は父と母から同じだけ受けるので、授精させる雌牛の方も「スーパー」でなければならないのですが、宮崎ではその雌牛の大半が殺処分されてしまっているので、産地として復活するのはかなり遠い道のりだと思います。
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Jagar39です。 >仮にスーパー牝牛がいたとしても牡と違い子を成す数が違うのでやはり牡を重視するのでしょうか? そのとおりです。 雌がまるきり軽視されているわけではなく、もちろん雌の遺伝的資質も重要です。 ですが、スーパー雌牛がいたとして、その牛が生涯に残せる子孫の数はせいぜい10数頭であるのに対し、雄は何十万頭の子孫を残すことができます。牛はほとんど全て人工授精ですから。 ですから、遺伝的資質が同じであっても、改良のためには雄の方が雌より何万倍も効率が良いわけです。 宮崎のような「産地」では、雌の改良も非常に重要視されています。雄がどんなに良くても雌がスカだと、産まれてくる子牛の能力は結局たいしたことがない、ということになってしまいますから。 その雌の改良も雄を基準に進められます。つまり、ある牛群にいくつかの雄を交配させ、その産子の雌に交配させる雄を選定して、という具合に「どの雄を交配させるか」で進めていくわけです。 >食べる肉であってもまずは外見からの判断も含めて審査されるのですね 昔は肥育牛であっても外見が重視された時代もありましたが、今では完全に肉質だけで評価されています。 ですが繁殖に供する牛、すなわち種雄牛と雌牛に関しては、外見もある程度重視されます。まあ科学的根拠はあまりないので、昔からの名残みたいな面もあるのですが。 ただ、どんなに肉質が良い牛を産む雌であっても体が弱く連産できないような牛だと、結局経済的にはあまりプラスにならないので、「丈夫な良い子を産むか」とか「子牛を育てるのに十分な泌乳があるか」、「足腰が丈夫で長生きするか」などという点も「評価」の対象になるわけです。体型などの外見が評価されるのは、まあそのあたりを見ているのだと考えて頂ければいいでしょう。
お礼
大変ご丁寧にご享受頂き有難うございました<m(__)m> 大打撃のあった宮崎では、良い子牛を育てて一定の年齢になったらその牛を売るといった農家が多い所と聞きました。(精肉にして販売するのではなくて) なのでより牛に対する愛情(愛着)が報道を見ていてより深かったのではないかと思いました。 有難うございました。
補足
回答有難うございます。 仮にスーパー牝牛がいたとしても牡と違い子を成す数が違うのでやはり牡を重視するのでしょうか? 犬の場合牡より牝の資質が大事だと良いますが(ドッグショーでの評価が高い犬) 牛は、単純に牡なのですね 食べる肉であってもまずは外見からの判断も含めて審査されるのですね 勉強になりました 有難うございます