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アブラハムの出身地
アブラハムの出身地 アブラハムの出身地がタガーマ州のハランという町であるというのは 事実なのでしょうか? タガーマ州のハランという町が現在のどの場所に当たるのかは 分かっているのでしょうか?
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ノアの息子ヤペテの孫の名に由来するトガルマが何処なのかは諸説あります。 トルコ~アルメニア近辺と見る向きが多いようですがどうでしょう。 ただ、アブラハムゆかりの地として同定されているハランは シリア地方現トルコ領の寒村で、今日もその名で残っています。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%83%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%B3 さてそのアブラハムの出身地がどこなのかですが、創世記11章31節には、 テラ(補注:アブラハムのおやっさん)は、息子アブラムと(中略)、 カルデアのウルを出発し、カナン地方に向かった。 彼らはハランまで来ると、そこにとどまった んだそうです。てことはアブラハムの出身地はウルなのでしょうか。 ウルといえばシュメル時代の古代都市ウルを思い浮かべますが、 記事には「カルデアのウル」とあります。少なくともこの記事が書かれた時点で、 記者は「カルデア」を知っていたことになりますね。はいきたここ重要。 そもそもアブラハムの時代にカルデアの地名は通用したのか。 「カルデア王朝」が興るのは紀元前600年代なので、 計算上のアブラハムの時代より千年以上後の話(比較するのはちょっと変か) それ以前「カルデア」という地域はどれほどの範囲を指して呼んだか? むしろ「カルデアのウル」という言い回しは、アブラハムの時代から 相当な時間的な隔たりを持った地名ということになりはしまいか。 それにしてもアブラハムご一行様がカランで歩を止めた理由が書かれない。 アブラハムの父は目指す土地カナンへは辿り着かず、 カランの地に骨をうずめるのだ。そして、残されたアブラハムに何者かが囁いた。 あなたは生まれ故郷、父の家を離れて、わたしが示す地に行きなさい。 アブラハムの生まれ故郷はハラン?カルデアのウルではなかったのか? そう、旅の起点が複数あるのです。これ以降、物語はハランを含む アラム・ナハライムと呼ばれる地域に舞台変えする。 アブラハムの子イサクはハランから妻を娶っているし、 孫のヤコブが兄との確執から叔父のラバンを頼って逃れた土地もハランだった。 このラバンはアブラハムの兄弟ナホルの孫に当たるが、 ナホルはアブラハムの弟なのに11章31節の旅行団にその名が見えない。 ところがいつの間にかナホルはハランにいたことになっている。 それにしても聖書記者のこの地域に対する執着ときたらどうだ? 先ほど述べたように、おそらく創世記の編纂作業に携わったのは、 アブラハムの時代からは相当のちの者が手を加えているはず。 その時代にはユダヤ人は既にオリエント全土に散在しており、 バビロニアのユダヤ人、シリアのユダヤ人、 アルメニアの、カナンの、エジプトのユダヤ人がいたと考えられる。 もちろんアラム・ナハライム地域に住んでいてもおかしくはない。 創世記が編集されたときには、既にアブラハムの伝承は、 オリエント各地のユダヤ人の間に父祖の物語として、 さまざまなヴァリエーションをもって語り継がれていたに違いない。 実はネクタイ締めた聖書以外にも、アブラハムの伝承は仰山あるんだ。 各地に流布するこれらの物語が取捨選択され、縫い合わされた結果、 縫い目(不整合性)を残したまま「聖書の」アブラハム物語は仕上がった。 旅の起点(出身地)は一つにはまとまらなかった。 そう考えると、そもそもアブラハムは本当に旅をしたのか? 本当に啓示なんて受けたのか? アブラハムの故郷はどこか?こう解釈してはだめでしょうか。 それはウルであり、カランであり、 つまりはユダヤ人のいる土地の数だけが彼の故郷がある。 アブラハムとはだれか。もはや彼は既に実在の人物とは遊離した、 ユダヤ人の父祖物語なのでは。
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