以前、本で読んだことがあります。記憶には「獲得」「固定」「再生」の三つのステップがあって、海馬は「固定」するまでのプロセスを担っています。アニソマイシンという抗生物質を投与されると、それが効いている間はものを覚えられなくなりますが、以前に獲得した記憶が失われることはありません。つまり、いちど固定された記憶はアニソマイシンでは失われないということです。しかし、特別な状況では、以前の記憶も失われたのです。それは、“思い出す”という行為です。アニソマイシンが効いている間に思いだしさえしなければ、記憶は残っていたのに、ということです。
つまり、人間の脳は保存された記憶にアクセスするだけで不安定になるのです。何回アクセスしてもデータが書き変わらないコンピュータとの違いです。人間の記憶が脳の中で、どういう形で保管されているのかは、現代の科学でもよくわかっていませんが、思い出すという行為は記憶を不安定にするということは言えます。
ということは、何回も思い出せば、記憶は変化して原形を逸脱するかもしれないということです。記憶が嘘をつくのです。
あるいは、記憶(事実関係)はそのままで、その(過去の事実の)意味合いを変えることはできると思います。「失敗」と捉えるか、「経験」と捉えるか、「不運」と捉えるか、「試練」と捉えるかという感じです。「自分の都合のいいように解釈してはいけない」とか、「言い訳してはいけない」とかというリミッターを外してもいいのではないでしょうか。どちらが建設的かという視点で言えば。
お礼
こちらに書き込むのがすごく遅くなりすみません。 「自分の都合のいいように解釈してはいけない」を外して… みても、いいんですね!!やっぱり、人間って、楽~に生きたいのかな。 それと、ご回答頂いた様に「医学的な根拠」「分析する」、そういう知恵があるといいですね。 自分に出来ることと、出来そうにないことのラインが引けそうですし。 有難うございました!