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均等論
先日、特許の中間処理で以下のような事例にあたりました。 通信関連の出願なのですが、 実施形態で登場してくる認証処理の中で、 サーバに登録されている4種類のデータa,b,c,dと アクセス者から受け取ったデータa,b,c,dとを 照合して4種類とも一致したら認証パスにする、 といった記載がありました。 実施形態の後の方の尚書きでは、 サーバに登録されている3種類のデータa,b,cと アクセス者から受け取ったデータa,b,cとを 照合して3種類とも一致したら認証パスにする、 という態様でもよいことが記載されていました。 後者の方が権利が広そうなので、 中間処理の応答の段階で、後者の方で限定して 特許になりました。 このようなケースで他人が前者(4種類のデータによる認証) を一要素とするサーバ装置(請求項の他の要素はすべて具備) を実施した場合、侵害認定まで持っていける可能性はあるでしょうか。 データdによる認証自体は広く行われているので、 均等にはなるだろうと考えていたのですが、 実施形態の記載から意識的除外事項にされちゃうようにも思えてきました。 こんなケースでも意識的除外事項と言えるのでしょうか。 よろしくお願いいたします。
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「後者の方が権利が広そうなので、 中間処理の応答の段階で、後者の方で限定して」 というところに混乱のもとがあります。 つまり、権利範囲を限定しているのなら権利が広くなるわけがなく、権利が広いならば限定はしていない(限定要件を無くしている)、という矛盾を含んだ状況を記述しているのです。 この中間応答のときに何をしたか、によって、「意識的除外」をして均等論が効かない状態にしたのか、「権利範囲の拡大」にあたる補正をしてしまったのか、など問題点や論点、特許の有効性が全く変わってしまいます。 例えば、当初a,b,c,dの4種類で認証する、としていたものを、dを使ってはならないという主張をしてa,b,cの3種類のみにしたならば、その特許はdを用いる技術は除外されたものである、として権利行使できません。 一方、当初a,b,c,dの4種類で認証するという請求範囲が最も広かったのに、それをa,b,cの3種類のみにしたならば、要件が1つ減った分だけ権利範囲は広くなっており、権利範囲を拡大する補正になっている可能性があります。(これは、優先権主張出願などで、別に出願しなおしてあれば問題ないこともありますが、そういう対策をしていない場合は不適法な補正となります。)そうなると、当初a,b,c,dの4種類で認証するという技術は権利で保護可能ですが、無効審判などで不適法な補正があったことを指摘され、再度審査をしなおすことになり、注意しないと中間処理の時点と同じように拒絶理由が生じて回避策を講じないといけない場合が起こります。 以上のように、応答の際に要件dについて何を論じたのか、というのが特許の有効性や権利範囲に決定的な事項であるため、具体的な応答内容を見ないと一般論では断定できないのです。この場で詳細や具体的な公報番号を記すのも問題ですので、個別に弁理士の見解を得るなどで確認すべき事項です。
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- Murasan759
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その発明がどのようなものか、明細書や請求の範囲の記載がどのようなものか、従来技術がどのようなものかによって判断のゆらぎがあります。 ご質問の文章のみから論理的に判断すると a,b,c,dの4種類とも一致したら認証パスする実施形態は、a,b,cの3種類とも一致する場合でもdによって認証パスするときとしないときがあるため、「a,b,cを照合して3種類とも一致したら(必ず)認証パスにする」という特許発明とは異なる技術となるでしょう。(必ず)と解釈されるような特許請求の範囲及び明細書か否かがポイントです。 意識的除外や均等論以前の、文章の論理的解釈論の問題かとも思われます。
お礼
おっしゃるとおりですね。 もう少し検討してみます。 ありがとうございました。
お礼
懇切丁寧なご説明をありがとうございます。 参考になりました。