>実際にどのような数式で記述できるのかが分かりませんので,教えて
>いただけませんか?
水素原子または水素様イオンでは,
Ne=10^14*(Δλ)^(2/3)*ΣC*[log10(Δλ)]^(m-1)
Ne:電子密度[cm-3]
Δλ:シュタルク効果由来のスペクトルの拡がりの半値全幅[オングストローム]
C:シュタルクパラメータ(電子温度と電子密度の弱い関数)
のように表されます.
見にくい式になってしまっていますが(またcgs単位系での記述ですみませんが),Σの演算範囲はm=1~3までです.理論的な説明は文献1や2なんかが参考になると思います.
式の物理的な意味としては,半値全幅は電子密度のほぼ2/3上に比例し,電子温度にはあまり依存しないということを表しています.なお,シュタルクパラメータに関しては,文献2に表で与えられています.
>また,その際に,スペクトルの広がりにはシュタルク広がりの他にド>ップラー広がりや衝突広がりも考えられると思うのですが,それに関>してはなぜ考慮しなくていいのでしょうか。
当然考慮するべきですし,既往の文献(莫大な量が存在しますが)では基本的に考慮していると思います.
ただし,プラズマの発生方法・種類によっては,シュタルク拡がりと比較してドップラー拡がりや衝突拡がりが無視できるくらい小さい場合があるということも分かっています.たとえばLTEの成立している熱プラズマは,(あくまで一般的にですが)シュタルク効果による半値幅は数nmオーダーなのに対し,ドップラー拡がりによる拡がりはその1/10のオーダーにあったかと思います.衝突拡がりはさらに寄与が小さいです.
通常は,得られたスペクトルプロフィルをローレンツ関数,ガウシアン関数,もしくはそれらの合成のフォークト関数としてデコンボリューションして,特定の物理現象に由来するスペクトル幅の拡がり分を算出します.すなわち,シュタルク拡がりであればローレンツ関数で表され,ドップラー効果であればガウシアン関数で表されるということを利用して分離します.
と,ここまで回答です.わかりにくい回答だなと自分でも思いますが,時間の都合もありまして,ご了承ください.わからないところは参考文献をしっかり読めば,理解できるかと思いますので,どうぞトライしてみてください.
参考文献
1.山本学・ブラ山精一,プラズマの分光計測,学会出版センター
2.H. R. Greim, Spectral line Broadening by Plasmas, Academic Press
お礼
お礼が遅れてしまい申し訳ありませんでした。 私のあいまいな質問に対して詳細な回答ありがとうございました。 私は、熱プラズマの電子密度を求めたいと思っています。 そしてbusabusaiさんに紹介していただいた参考文献を読もうとしたのですが、図書館にこの本が無かったので調べることができませんでした。そして、いまだにシュタルクパラメータというものがよく分かりませんが、既往の文献をもっと調べて自分なりに理解を深めたいと思います。 この度はご回答本当にありがとうございました。そして、お礼が遅れてしまい本当に申し訳ありませんでした。