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ユリウス・カエサル時代のマケドニアとブルータスの関係
- ユリウス・カエサル時代のマケドニアの様子やブルータスのローマ離れの理由について知りたいです。
- TVドラマ「ローマ」の中で、ユリウス・カエサルがブルータスにマケドニアの統治を頼もうとする場面がありますが、ブルータスはそれを拒否します。
- マケドニアは遠方であるというだけでなく、何か他の要素があってブルータスが行きたくない場所だったのでしょうか?
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「田舎へ行って統治しろ」というほどの田舎ではないでしょう。 比喩的に言えば、江戸時代の3代将軍家光の就任のころに、江戸に居た真田の御曹司が美濃あたりに飛ばされそうになったと考えれば良いのではないでしょうか? 叔父(幸村)が殺された、勤務地はちょっと前は強大な為政(信長)の中心だったが、その後落ちぶれている。これに対してガリアなどは奥羽伊達あたりになるのかな。まぁそこまでの田舎ではなかったし、東西流通の要にもなり得る場所、と考えると、こんな感じかと思います。 なるほど、ドラマでは「マケドニア統治の依頼」で暗殺を決意するという流れになっているのですか。ブルータスがどの時点で最終的な暗殺を決断したのか明確には分かりませんが、独裁官就任を契機とした政治的な決断という考えが大きいように見えます。「マケドニア統治」=左遷といういわば私的な要因にしてしまうのは、ブルータスの役割を少し卑小にとらえ過ぎている気がします。カエサルが本当にブルータスを左遷したいのであれば、逆に西に送ると思います。上手くすれば経済的な利益を生むことも可能、強国の伝統もある、という地域に送ろうとしたのは、逆に取り立てようという心積りと見えます。叛旗を翻しそうな相手にわざわざ美味しい地域をあてがうのは自分の首を絞めるようなものですからね。まぁ、ブルータスはそれを見抜けなかっただけかも知れませんが。 古代史はそれほど詳しくないので、専門家から見ればまた違うのではないかと思いますが… 専門は現代史ですw
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- tknaka
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こちらでもこんにちは(笑) TVドラマの「ローマ」は見ていないので、詳しく分かりませんが、「マケドニア統治を頼まれた」ブルータスは、デキムス・ブルータスの方でしょうか? マルクス・ブルータスの方でしょうか? この頃カエサルの周りで活躍していたブルータスは二人居ます。 デキムス・ブルータスは、カエサルの腹心として活躍しており、ローマ内戦時もカエサルの側に立って戦っています。この後ガリアの総督副官(後に総督)に任じられ、これを受けているので、ここでマケドニア統治を断ったのはマルクス・ブルータスの方だと思いますが… このデキムス・ブルータスも共和制がカエサルによって壊されていくのを危ぶみ、後のカエサル暗殺に参与します。 で、マルクス・ブルータスの方は、カエサルの愛人だったセルウィリアの息子(カエサルの隠し子ではないかという説もありますが、もしそうだとしたらカエサル15歳の時の子どもで、ちょっと厳しい)ですが、叔父である小カトーの影響を強く受けて育っています。ローマ内戦時にはポンペイウス側に立って戦っており、セルウィリアの息子ということで助命されていると考えられています。ローマ内戦後、カエサルはカトーも追撃し、自殺に追いやっています。こうした中、カエサルが独裁官に就任したころからカッシウスと共に暗殺計画を立て始めます。「ローマ」の公式HPを見ると「マケドニア統治」を頼まれたのは独裁官就任の後のようですので、もしこれがマルクス・ブルータスだったとすれば、ちょうど暗殺計画の構想に取りかかったところであり、ローマを離れるわけにはいきません。マケドニアだったから、ということではなく、「ローマから遠ざけられる」というところに反対していたのでしょう。 さて、ご質問の根幹である当時のマケドニアですが、アレキサンドル大王による強大なマケドニアが瓦解した後、東西流通の中心としてはエジプト・小アジアにその座を奪われてしまい、カエサルの頃はそれほど見る目を持たない地域だったようです。ただ、その後オクタヴィアヌスの時代以降、経済的な地位も復興していきますので、執政官の技量に拠っていたと考えられます。ただ、ガリアなどに比べて、属州ではありますが「僻地」という印象は薄かったと思います。
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大達人、御回答ありがとうございます。 そういえば、大達人は歴史家でしたね、以前刑事コロンボがらみの質問をした時にも、当時のアメリカの歴史に大変詳しかったので、近代史の歴史家先生かな~と思っておりましたが、古代史にも通じていらっしゃるんですね! すごいですね! >マルクス・ブルータスの方は、カエサルの愛人だったセルウィリアの息子 そうです、例の「goatishnessが無いセルウィリア」の息子のブルータスの方です。(すいません、ブルータスが二人いる事知りませんでした。)(大達人のご解説とドラマの内容が殆ど一緒なので、「一般教養として、英語学習として、良いDVDを見れて良かった。」と思いました。) >マルクス・ブルータスだったとすれば、ちょうど暗殺計画の構想に取りかかったところであり、ローマを離れるわけにはいきません。 TVドラマでは、「マケドニア統治の依頼」がブルータスを激怒させ、かねてより我慢してきた暗殺を決意させるのですが、、案外とそういう単純な理由もあったかも知れないし、、やっぱり、(TVドラマでは、カエサルに捨てられた事を恨んだ母セルウィリアが主に計画を練っている)暗殺計画中にローマを離れるのも無理ですし、 >カエサルの頃はそれほど見る目を持たない地域だったようです 田舎に行って統治しろという命令も嬉しくない事も、御解説で分かりました。 もう頭の中が様々な説でパンクしそうです。 改めて、御回答に御礼申し上げます
お礼
大達人、再度の御回答ありがとうございます。 >比喩的に言えば~、御曹司が美濃あたりに飛ばされそうになったと考えれば良いのではないでしょうか? この例えはメチャクチャ分かりやすかったです。 本当に何にでも御詳しいですね! 美濃とは、「嬉しさ半分、悲しさ半分」ってとこですかね? 確かに田舎ではないけれど都市とはいえない、。微妙ですね~! >「マケドニア統治」=左遷といういわば私的な要因にしてしまうのは、ブルータスの役割を少し卑小にとらえ過ぎている気がします。 僕もそう思いますが、まあ、大河ドラマと一緒で、フィクションが混じっています。 というか、このドラマだとカエサルがカッコ良過ぎ(見た目ではなく、人柄)なんです。 スエトニウスの「ローマ皇帝伝」のカエサルではなくて、ガリヤ戦記のカエサルのイメージがしました。(とはいっても読んだのがだいぶ前なので、細部は覚えていないのですが、二つの歴史書のカエサル像が結構違ったのを覚えています。)ブルータスだけでなくキケロも『脇役』でしかありませんでした。 それでも、素人の僕がローマ皇帝伝とガリヤ戦記を読んだよりも時代背景がドラマの方がずっと詳しくて、特に主人公は、百卒長とその部下なので、本からは中々イメージできなかったその頃の人々の暮らしぶりなんかも分かって良かったです。 >独裁官就任を契機とした政治的な決断という考えが大きいように見えます。 僕もブルータスはもうちょっと崇高な目的で暗殺を決意したとおもうのですが、TVドラマでは、、私怨(+α的に共和制の為に)ぽくなっていました。 それにしても、時代劇は面白いですね! 英語でも歴史でも本当にいつもお世話になっております。 改めて、御回答に御礼申し上げます。