公判の最後に刑事被告人が裁判官に促されて前に立ち、謝罪をすることはよくあるようですね。
しかしその謝罪は裁判官の前であっても、対象は裁判官ではないと思います。また裁判官にしても、自分に謝罪しているとは思っていないでしょう。仮に深く反省していても、また被害者やその家族、遺族が傍聴席にいたとしても、後ろを振り向いて謝罪をすることはとても出来ないでしょうから、裁判官の方を向いているだけ。
法廷で謝罪をさせる(あるいは自発的にする)のは、
1.被害者の感情を和らげる
2.裁判官の心証をよくする(刑を軽くしてもらいたいとの思いがある)
あたりが理由でしょう。
企業の不祥事が発覚して経営トップが数名雁首を並べて「この度はまことに申し訳ありませんでした」と記者団の前で頭を下げますが、これも記者やマスコミに謝罪しているのではなく、メディアの向こう側にいる国民に詫びているわけです(本当に詫びているかは疑問ですがね:苦笑)。記者に詫びるだなんて思ってもいないはず。
裁判官の説教(説諭)は有罪を言い渡す時に聞かれますね。「反省して、罪を悔い改めて更生しなさい」と言うことです。別に不公平でもありません。くどくどと2時間も説教なんかしません。
犯罪者と裁判官が同じ立場の訳がないでしょう? もちろん被告の代理人である弁護士と検察官は法の下で議論をするわけですが、被告人は裁かれる立場、裁判官は裁く立場。また裁判官は訴訟の指揮をする公務員です。これが同じ立場だったら法廷は成り立ちませんぞ。
うるせー、ばか、などと裁判官に悪態をつけば、法廷等の秩序維持に関する法律違反となり裁判官の判断で監置処分(最高20日)、本判決に際しても「反省の色なし」と談じられて法定最高刑となるでしょう。