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「新型インフル」の意味
にわか勉強ですが、インフルのタイプは「○H△N型」と呼ぶそうで、○には16種、△には9種、よって合計144種あるそうですねぇ。スペインカゼは1H1N、香港カゼは3H2Nとか。 で、今回のは「1H1N」だそうですが、これは上記スペインカゼと同じなのに、何故「新型」なのでしょうか。144の組み合わせのうちで新しいものが出てきたときに、それを「新型」と呼ぶのとちゃうんかしら。 どなたかこの初心者にわかりやすく教えていただけないでしょうか。
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>で、"新旧交代"がらみの話ですが、Aソ連型が登場したとき、パンデミックにもならず「新型」にもカウントされなかったのは、それが単に「H1N1亜型であったから」ではなく、過去のスペイン風邪に対する抗体が有効に効く亜型(すなわちH1N1亜型でもあるわけなんですが)であったからなんですよね(重箱の隅をつつくようですが)。 そういうことでしょう。 アジア風邪の出現が1957年で、それまではスペイン風邪を起源とするいわば"スペイン型"の季節性インフルエンザが流行していたわけです。 ですから、1957年以前から生きていた人は、このスペイン型に免疫を持っている人が多かったわけです。 この"スペイン型"は、1957年のアジア風邪の流行と共に消失しました。それでそれからはこのアジア型(H2N2)が季節性インフルエンザとして流行を繰り返していたわけです。 次いで1968年に香港風邪が大流行しました。これはH3N2亜型です。 この香港風邪のパンデミックと共にアジア型(H2N2)は姿を消しまし、香港型が季節性インフルエンザになったわけです。 その後、1977年に唐突にH1N1が復活して流行しました。これが現在のソ連型の起源です。 ただしこの時、このH1N1にまったく免疫を持っていなかった年齢層は、1957年時点では産まれていなかったか極めて幼かった人に限られていました。それ以上の年齢層ではスペイン型の罹患によってH1N1に対する免疫を持っていて、ソ連型はこの年齢層の間では流行できなかったわけです。 なのでソ連型の出現(H1N1の再登場)では、"パンデミック"という規模の流行は起きませんでした。若年層に限定した流行だったわけです。 ですからこのような状況では香港型が消失するはずがない、というのが理屈でしょう。 今回の新型は「ソ連型」に対する免疫は無効です。ソ連型に罹患してH1N1に対する免疫を持っていても、新型の罹患は防御できません。 ですが、1957年以前のスペイン型に罹患経験がある年齢層は、今回の新型に対しても免疫を持っている人がいる、と言われています。 ちょっと考えればおかしな話ですよね。 1.ソ連型の登場当初は、スペイン型に対する免疫はソ連型に対しても有効だった 2.今回の新型は、ソ連型に対する免疫は無効である 3.でも今回の新型は、スペイン型に対する免疫は有効である(らしい) 話の辻褄が合わないように思えてしまいますよね。 スペイン型=ソ連型、スペイン型=新型でも新型=ソ連型ではない、というのですから。 多分、ソ連型が出現当初と現在では大きく変わってしまっているのでしょう。なので出現当時のソ連型と現在のソ連型が=でないわけです。 それに対し、豚では長い期間スペイン型あるいはオリジナルのソ連型に近い株がよく保存されていたということではないでしょうか。 この"オリジナルソ連型orスペイン型"に近い抗原性を持つウイルスが、豚からヒトに侵入してきたのが今回の新型、というわけです。 ですから、 >「旧型(既存の型)」は「新型」が登場したとき淘汰される』というルールであるので、 ということではないでしょう。そういう「ルール」があるかどうか、まだ判りません。過去3回の新型登場ではそうなった、という「現象」に過ぎません。少なくとも今のところは。 例えば、あと50年くらい経った2060年頃にH2N2、それもアジア型に極めて近い株が再び人類に侵入する、という事態を想像してみましょう。 この時には1968年の香港風邪流行以前に生きていた人は、もう90歳を超えているわけで、人口比率としてはごく少なくなっているはずです。(まあ、その頃には平均年齢が120歳くらいになっていて90歳なんてガキの内、なんて言われているかもしれませんが) そうなると、このH2N2はまったく普通の「新型インフルエンザ」として猛威を奮うはずです。 実際のところ、新型によって旧型が駆逐されるメカニズムってまだよく判っていないので(普通に考えれば免疫が無効なほど抗原性が離れたウイルス同士であれば、互いの流行に無関係に流行してもよさそうなものです)、今度の新型でそのあたりの解明が進むことを期待しています。
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再びJagar39です。 >A,B,C型とH,Nはいかな関係にあるんや、と。 生物の分類の話をご存じでしょうか。ヒトはホモ・サピエンス・サピエンスという学名ですが、"ホモ"は属の名前、サピエンスが種、その下のサピエンスが亜種の名前です。 ウイルスは他の生物と構造や性質がかなり決定的に異なる部分が多いため、分類も少し違って"科"より上の分類はありません。最近"目"分類がされはじめましたが、まだ一部にしか過ぎませんし。 ちなみに"目"というのは科の上の分類階級で、例えばヒトは霊長目に属しています。 ですから、ウイルスの分類は「科→属→種」という階層構造になっています。 ですからインフルエンザウイルスの分類は、 科 属 オルソミクソウイルス科 | -インフルエンザウイルスA | -インフルエンザウイルスB | -インフルエンザウイルスC という構造になっているわけです。種については、各属に1種しかなく、種名も属名と同じなので省略しています。 正式な分類学的な分類ではここまでです。 そもそも「型」というのは、種の中でいろいろな性質によってさらに分類が必要である場合に用いられるタイピングです。 これは「生物学的に明らかに違うから」ではなく、人間の都合によって分けられているので、種ではなくその下の"型"で分けられているわけです。 また、型はその基準によっていくつも存在することがあります。抗原性によって血清型に分類されたり遺伝子の配列によって遺伝子型別されたりもします。 で、それぞれの型別はそれぞれの"都合"によってされるので、ある2つのウイルスは血清型別では同じ型に属するのに遺伝子型別では異なる型になる、といったことも珍しくありません。 なので「型別」は、あくまで便宜的に行っている分類で、「種」から上の厳密に生物学的な分類とは違う、ということです。 ただし、型別されていたグループをよくよく調べてみたら、生物学的にかなり異なることが判って種以上のレベルで再分類される、ということは頻繁に起きています。 インフルエンザのA~Cもその例なのです。 「A型」の型という言葉で判るように、このウイルスは最近まで"インフルエンザウイルス"という1つの種の中で、便宜的にA~Cの"型"に分類されていました。 ところが研究が進むと、これら3型のウイルスは性質が非常に異なることが判り、「属」のレベルに再分類されたわけです。 この時に「A型」とかいう"型"の言葉がそのまま慣習的に残ってしまったため(日本語で、ですが)、少し話が複雑になってしまいました。 HやNの亜型も、元々は"A型"をさらに細分類するために"亜型"という言葉を使っていたわけです。A型が属に格上げされてしまった現在では、素直に「型」と言えばいいのですが、未だに慣習的に「亜型」のままです。(これは英語でも未だにsubtypeのまま) ちなみにHAやNAに顕著な多様性があって、"亜型"にまで細分類されているのはA型のみです。B型はHAやNAは細かい違いはもちろんあるのですが、亜型に分類する必要があるほどではありません。 C型に至っては、HAとNAという蛋白自体がありません。HEという蛋白がHAとNAの両方の"仕事"をしています。そのHEにも亜型分類するほどの多様性はありません。 よって、16×9も"亜型"があるのはA型のみで、BとCは1つしか亜型がない(つまり亜型分類されていない)です。 ちなみに「亜種」というのは、種の下の正式な分類です。場合によっては亜科や亜属、亜目など、分類のそれぞれの階級で必要がある場合に"亜"階級が付け加えられます。必ずしも亜科や亜属、亜種があるわけではありません。基本はあくまでも目→科→属→種です。 なので「亜種」と「亜型」は、まったく意味が異なる言葉です。 >たとえば、「人間」という種類は1つだけど、日本人もいればアフリカ人等々もいる、ってのと同じようなことなんでしょうか。 良い例えですね。 この場合、日本人とかアフリカ人というのは、「居住地」で分類しているわけです。つまりこれは生物学的な根拠がある分け方ではなく、人間の都合で分類しているわけですよね。 黒人や白人、黄色人種という分類もあり、これは一見「肌の色」という"生物学的な性質"で分類しているように見えますが、肌の色が生物学的にどう違うのか、それは"種"レベルや"亜種"レベルで分類し直すべき違いなのか、はっきり判っていません。なのでこれも人間の都合で分類している、ので"種"レベルではなく「型別」に過ぎない、というわけです。 他にも生活習慣によって「夜型」と「朝型」に型別したり、型別方法は無数にあって、ニーズがあれば型別する意義もあるわけです。 ただそれは生物学的な「種」分類とはまったく意味が違う、ということです。 >ということは、Aソ連型ウイルスや、A香港型ウイルスってのは、もう世の中にない、という意味でしょうか まだ存在します。消失するとすればこの1~2年のうちに、でしょう。 これまでの事例では、以前の季節性インフルエンザは全て消失したのですが、今回どうなるかはまだ判りません。 ソ連型(H1N1)は元はスペイン風邪なのですが、スペイン風邪はアジア風邪(H2N2)が登場した時に一度消失しました。 その後、香港風邪(H3N2)が出た時にアジア風邪のH2N2も消失したのですが、なぜかその後、H1N1が再登場しました。これが現在のソ連型です。 この時はまだスペイン型の免疫を持っている人が多かったので「パンデミック」というほどの大流行にはならなかったので、このH1N1(ソ連型)の再登場は「新型インフルエンザ」にはカウントされていません。 このH1N1再登場の際にH3N2が消失しなかった、というのは、こういう事情なので理解できるのですが、今回の新型は「2亜型のインフルエンザが流行している状態での発生」と「従来から流行しているのと同じ亜型での発生」という点で、人類がこれまでに経験した新型とは異なっています。 なので本当にソ連型や香港型のどちらかあるいは両方が消失するのかどうかは、ちょっと興味深いです。
お礼
益々理解が深まりました。 >生物の分類の話 「ヒト科ヒト属」っていう"ゴロ"を思い出しました。古い話ですなぁ。 ところで「種」ってのは単に「種類」を簡略化して表現したものと思っていましたが、そうではないのですね。「科-属-種」の「種」でしたか。いわゆる「テクニカルターム」ってやつですね。 ともあれ、いわゆるA~C型、およびその下位(亜型)としてのH、Nの相互の関係がよく理解できました。HだのNだのというのは、A型についてのみの話であることも、今回始めて知りました。 で、"新旧交代"がらみの話ですが、Aソ連型が登場したとき、パンデミックにもならず「新型」にもカウントされなかったのは、それが単に「H1N1亜型であったから」ではなく、過去のスペイン風邪に対する抗体が有効に効く亜型(すなわちH1N1亜型でもあるわけなんですが)であったからなんですよね(重箱の隅をつつくようですが)。 「新型」が「旧型」を淘汰してゆくロジックは面白そうですがややこしくもありそうなので、素人の私はこれ以上探求するのはヤメにします。
補足
すみません。 >このH1N1再登場の際にH3N2が消失しなかった、というのは、こういう事情なので理解できるのですが、 というくだりですが、 『「旧型(既存の型)」は「新型」が登場したとき淘汰される』というルールであるので、再登場したH1N1(Aソ連型)は元々A香港型よりも「旧型」である故、その登場によりA香港型が淘汰されることにはならない、って理屈と理解しましたが、おおむねそういうことでしょうか。
再びJagar39です。もう蛇足かとは思いますが、一応補足を。 >私的(ワタクシテキ)にはこれは正解ではありません。なぜなら、「人類未経験の組み合わせである」ことは「新型」の十分条件ではありますが、必要条件ではないからです。 必要条件だと思われていたのですよ。今年の春までは。 必要条件ではなかった、というのは今回の新型で初めて判ったようなものです。 >それを端的に表現されたのが#2さんだったのですねえ。 細かいことを言えば、「ワクチンが効かない」というのは厳密には間違いなんです。同じソ連型にも無数のバリエーションがあり、これまでのワクチンが効かない株は存在し得ますから。 ワクチンだけでなく、感染抗体という面でも人類の大部分の人が当該ウイルスに対する有効な免疫を持っていない、というのが新型の条件なので、No.2の回答だと伝染病学の試験回答では満点は貰えないでしょう。 本来は「人類の大半が免疫を持たない」という、"人類の大半が"のタームが不可欠です。この言葉が入ってないと試験回答では満点を貰えません。 私が「ワクチン」に「感染抗体」という言葉を足したのは、ワクチンはそもそも無数のバリエーションがある中から"1つだけ"を選抜して作るものだからです。なので「既存のワクチンが効かない」というだけでは、ただの「ワクチン予想が外れただけ」の状態でもあり得るわけです。 「感染抗体」という言葉を入れることによって、"感染抗体"にもウイルスと同じ無数のバリエーションがあるわけですから、「人類の大半」が免疫を保有しない状態に結びつくからです。つまり定義上は「ワクチン」はどうでも良いのです。 例2の文章を手直ししたのでああいう文章になりましたが、ズバリ正解の定義は、「人類の大半が免疫を持たないウイルスによる流行」です。 蛇足ついでですが、A型インフルエンザウイルスというのは分類上「属」の名前です。 A型インフルエンザウイルスはオルソミクソ科インフルエンザウイルスA属のインフルエンザウイルスA(Influenzavirus A)、というのが学名です。 H1N1とかH5N1というのは"亜型"の型別であって正式な分類学上の分類名ではありません。またこのウイルスには亜種もありません。インフルエンザウイルスA属にはインフルエンザウイルスAの1つの種しかありませんし。 また、H1N1ソ連型、というような表記は単に慣習的にされているだけです。H1N1にも無数の株があり、ヒトに感染しない株もたくさんありますから、「ヒト世界で流行しているH1N1あるいはH3N2」を他から区別する必要がある時に、H1N1(ソ連型)とかH3N2(香港型)などと表記することがある、ということです。 現在は新型はH1N1(swine)と呼ぶことが多いです。swineは豚なので、H1N1(豚)という直訳になりますが。 いずれはH1N1(メキシコ型)とか呼ばれるのでしょうかね。 過去の「新型インフルエンザ」は、人類が知る限り例外なく、最初のパンデミック(世界的大流行)の後に人類社会に定着して「季節性インフルエンザ」になっています。 その際に、それ以前に流行していた季節性インフルエンザウイルス(元は新型だったわけですが)は消失する、というのが、これまた人類が知る限り例外なく起きてきた現象です。 今回はどうなるんでしょうかね。
お礼
ご丁寧にありがとうございます。 >人類の大半が免疫を持たないウイルスによる流行 なるほど、正解に近くなるにつれて論理構造は素人にも分かり易い単純なものになりますねぇ。 >インフルエンザウイルスAの1つの種しかありませんし そうそう、これが私の次なる疑問でした。A,B,C型とH,Nはいかな関係にあるんや、と。 論理上は、16(H)×9(N)×3(abc)=432通りかなと思っていました。 どうも、そうではないようですね。いや、そうなのかな。 >亜種もありません。 「亜型」と「亜種」ってややこしいですねぇ。 >インフルエンザウイルスAの1つの種しかありませんし 「種類」は1つだけど「型」はたくさんある、ってことでしょうか。 たとえば、「人間」という種類は1つだけど、日本人もいればアフリカ人等々もいる、ってのと同じようなことなんでしょうか。 >その際に、それ以前に流行していた季節性インフルエンザウイルス(元は新型だったわけですが)は消失する、 勉強になります。 ということは、Aソ連型ウイルスや、A香港型ウイルスってのは、もう世の中にない、という意味でしょうか。今回の「新型」が現れたことにより、直ちにというわけではないにしても、数年後には、インフルのウイルスってのは、この今回の「新型」しか世の中に存在しなくなる、ってことでしょうか。
Jagar39再びです。 >(例1)その型がHαNβであるとして、(αβ)がこれまでにない初めての組み合わせであるとき、これを「新型」という。 >(例2)既存のワクチンが効かない場合、これを「新型」という。 「ヒト→ヒトで容易に感染するA型インフルエンザとして」という前提付きですが、例1でも"不正解"ではありません。 HAとNAが人類未経験の組み合わせであるウイルスが流行し始めた時は、人類は間違いなくそのウイルスに対する免疫を持ちませんから。 今年の春までは、新型はそういう形(HAとNAの新しい組み合わせ)で出現すると考えられていました。 本質的には「新型」の新型たる所以は、「ヒト側に免疫がない」ということに尽きますから、"新しいHAとNAの組み合わせ"なんて言葉を定義に入れたことが間違いと言えば間違いだったわけですよね。今回のはHAとNAの組み合わせは人類にとって馴染み深いものでしたが、それにも関わらず人類は免疫を持っていなかったわけですから。 ですから、例2の方が正解に近いわけです。 「既存のワクチン及び感染による免疫が効かない場合」とすればほぼ正解でしょう。
お礼
いやいや、いっそう理解が深まりました。 >人類未経験の組み合わせであるウイルスが流行し始めた時 私的(ワタクシテキ)にはこれは正解ではありません。なぜなら、「人類未経験の組み合わせである」ことは「新型」の十分条件ではありますが、必要条件ではないからです。 >"新しいHAとNAの組み合わせ"なんて言葉を定義に入れたことが間違いと言えば間違いだったわけですよね 専門家集団においてすら然りだったのですから、私ごとき素人が、「新型、新型」っていうけど、HとかNとかの記号との関連において、どういう定義なのかしらん、と疑問に思うのは至極自然なことだったのですね。安心しました。 回りくどくなりましたが、めでたく結論を得ました。 『 >「既存のワクチン及び感染による免疫が効かない場合」 これを「新型」といふ。 』 (追記) それを端的に表現されたのが#2さんだったのですねえ。
獣医師でウイルスに専門知識を有しています。 A型インフルエンザウイルスの亜型表記は「○H△N型」ではなく「H○N△型」です。スペイン風邪はH1N1、香港型はH3N2、今回の新型はH1N1です。 「新型インフルエンザ」の定義は、日本の感染症法では「新たに人から人に伝染する能力を有することとなったウイルスを病原体とするインフルエンザであって、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの」です。 どういうことが詳しく説明します。 質問者さんが勉強されたとおり、A型インフルエンザウイルスのHA亜型は16種類、NA亜型は9種類ありますので、この組み合わせで144"亜型"のA型インフルエンザウイルスが存在することになります。 ところがこの144亜型のうち、ヒトに感染してヒトの間で流行を起こすのは、現在のところH1N1とH3N2の2つだけでした。 ちなみに「H1N1やH3N2がヒトに感染する」のではなく、「ヒトに感染するのはH1N1とH3N2」です。どういうことかというと、「ヒトに感染しない」H1N1やH3N2がたくさん存在する、ということです。 A型インフルエンザウイルスは、元々カモなどの水禽類が自然宿主です。カモはこのウイルスに感染しても特に病気にもならず、平和に共存しているわけです。 これが異種動物に"たまたま"感染して、その動物に馴染むような変異を遂げると、「豚インフルエンザ」とか「馬インフルエンザ」のように、その動物特有のインフルエンザウイルスになります。 ヒトのインフルエンザウイルスもそうやって元々は鳥インフルエンザであったものが「ヒトに馴染むように変異した」ものです。 現在のソ連型(H1N1)も香港型(H3N2)も、ヒトに馴染むように変異したばかりの時には、それぞれ「新型インフルエンザ」として世界中で大流行しました。人類はこの100年の間にスペイン風邪、アジア風邪、香港風邪と3回の「新型インフルエンザ」を経験しています。その新型は、発生直後の大流行期を過ぎると、季節性インフルエンザとなって人類社会に定着してきたわけです。 でも、元々の自然宿主であるカモと人間はそれほど濃密な接点があるわけでもありませんし、ウイルスに対する感受性もかなり異なるので、「カモからヒトへ」直接ウイルスが侵入することはほとんどあり得ません。いくつかの動物種を"中継"する必要があります。 豚はヒトとインフルエンザウイルスに対する感受性がよく似ていますしヒトとの接点も深いので、「最後の中継動物」として重視されています。実際、今回の新型も最終的には豚経由でしたし、過去の新型もほぼ毎回、最後の中継動物の役割を果たしています。 なので「新型」とは、あくまで人間中心の見方なので、「人類にとって新しいウイルス」というのが定義です。 HA亜型は私が学生時代の頃は14でした。それが15に増えて数年前にH16亜型が発見されて16になりました。 確かに「新型」と言えるかもしれませんが、それは人類にとって何の脅威にもならないので、「新型インフルエンザ」などと騒ぐ必要はどこにもないわけです。HA亜型はこれからも増えていく(新しいのが発見される)でしょうから、10年後には「A型インフルエンザウイルスにはHAで18、NAで10の亜型があり、合計180亜型ある」などと教科書に載っているかもしれません。 「新型インフルエンザ」の定義で最も重要なのは、「一般に国民が免疫を獲得していない」という言葉です。 同じH1亜型でも、ソ連型も同じH1ですし、そのソ連型にしても「抗原のタイプ」は無数にあります。無数にある「HA蛋白の形」を人類が恣意的に16種類に分けているだけなのです(もちろんそれなりに根拠がある分け方なのですが)。 なので、今回の場合同じH1でも、従来の感染やワクチンによる免疫が効かないほど抗原性が異なるウイルスが出現した場合、これを「新型インフルエンザ」と呼ぶのです。 つまり「同じH1でも以前のH1とはまったく違う」から「新型」というわけです。 実際、以前から馴染みがあるH1N1が新型になる、というのは予想外だったのは確かです。 日本の新型インフルエンザ対策行動計画だったかに、新型インフルエンザを「人類が経験したことがないHAとNA亜型の組み合わせによるウイルスで」というような一文がありました。 そのため、この定義だと今回のは「新型ではない」ということになってしまうわけです。 ただ、現象として「世界中のほとんどの人がこのウイルスに対する免疫を持っていないため、感染拡大の速度が異様に速く、また季節性インフルエンザの流行時期(冬季)以外の季節でも流行拡大が止まらない」という、「新型以外の何者でもあり得ない」特性をもっているわけですから、これは紛れもなく「新型インフルエンザ」ですね。
お礼
詳細なご説明ありがとうございます。 〔答えのサンプル〕 (例1)その型がHαNβであるとして、(αβ)がこれまでにない初めての組み合わせであるとき、これを「新型」という。 (例2)既存のワクチンが効かない場合、これを「新型」という。 例1は、どうも間違いのようですねぇ。 例2は、どうなんでしょう。効く・効かない、の判定にグレーゾーンがあると、正解とはいえないですなぁ。 さて、答えやいかに。 と、たった今、したためていたところ貴回答に接した次第です。 正解は、 (a)人から人に伝染する能力を有することとなったウイルスを病原体とするインフルエンザ (b)一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していない ですね!。 まぁ、ザクッといえば、例2が正解に近いですかねぇ。 おかげさまで理解が深まりました。
補足
>亜型表記は「○H△N型」ではなく「H○N△型」 おっと、失礼しました(初心者であることの証左でもありました)。
- mmmma
- ベストアンサー率41% (683/1636)
H○N△型が何を表しているかというと、ウイルスの表面にあるたんぱく質の抗原性を表しています。 アミノ酸配列が変われば、たんぱく質としては別物ですが、 例えばH1型の抗原性を示すたんぱく質と多少アミノ酸の配列が変わっても、抗原性が変わらなければ同じH1型になります。 同じ理由で、表面のたんぱく質以外のところがどれだけ変わっても、表面のたんぱく質の抗原性がH1ならH1型です。 たとえが悪いかもしれませんが、皮膚が青い人間が生まれたとします。 明らかに「新型」ですよね。 でも血液型を調べるとA型でした。 となると、この人は明らかに「A型の人間」ですし、 輸血をするには、A型かどうかしか気にしないですよね。 でもA型の血を輸血しても本当に大丈夫かは…? そんな感じです。 ヒトインフルエンザウイルスと遺伝子情報が全く違う、新種のインフルエンザウイルスが見つかった。 豚インフルエンザウイルスに似ているので、どうも豚由来らしい。 でも表面たんぱく質の抗原性を調べたらH1N1型だった。 ということはH1N1型のインフルエンザウイルスだ! でも今までのワクチンが効くかは…?
お礼
早速のご回答ありがとうございます。 どういうこと(がら)をもって、「これは新型だ」っていうんでしょうねぇ?
- juyjuy
- ベストアンサー率22% (139/612)
ウィキペディアのインフルエンザ・・病原体をご覧ください。 H1N1は今ではAソ連型という名で知られていますが(季節性インフルエンザワクチンにはこれが入っています。)多くの変異種があり今回のは新しい変異種で従来のワクチンでは効かないものです。 詳しく知りませんがH1N1○○○とか細かく分かれているはずです。 報道では亜種までしかされていませんのでまだ正式に名前が付いていないのかもしれません。
お礼
早速のご回答ありがとうございます。 どういうこと(がら)をもって、「これは新型だ」っていうんでしょうねぇ?
- nemoax006
- ベストアンサー率14% (343/2433)
今までのインフルエンザはこの時期だと季節性インフルエンザと呼ばれました。新型は豚インフルエンザや鳥インフルエンザが人に感染したので、新型インフルエンザと呼ばれています。
お礼
早速のご回答ありがとうございます。 どういうこと(がら)をもって、「これは新型だ」っていうんでしょうねぇ?
お礼
ありがとうございました。十分です。