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誰もいない国
三年前の夏、僕はニューヨークのラガーディア空港からワシントンへの定期便に乗り込んだ。小さな機体、双発のエンジン。ゆらゆら陽炎の立つアスファルトの上を、てくてく駐機場まで歩いてきたからか、乗客たちは誰もひとこともしゃべらなかった。おもむろにパイロットが振り返り、安全確認らしきことを早口でまくし立てたあと、コークが冷蔵庫に入っていると付け加えた。 乗務員はいない。客席前方に、小さな冷蔵庫が置かれていた。 けれど、けっきょく誰も飲み物を手にしないまま、飛行機は滑走路を飛び立った。飛行機はぐんぐん高度をあげて、窓外に見える景色はしだいに小さくなる。やがて車が、つぎに船が動きを止めて、まるで紙芝居に描かれた一枚の風景画のようになったころ、甲高いエンジンの音とやたらと揺れる機体は、いきなり真っ白な雲に飛び込んだ。 そこで初めて気付いたのだが、左足もとの床に小さな穴が空いていた。その穴から、白い雲が覗けてしまうのだった。そればかりか、穴から薄っすらとした雲が入り込んでくる気がした。 さて、ここからが質問です。僕は、いったいどうなるんでしょうか?
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- 日比野 暉彦(@bragelonne)
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回答No.4
- littlekiss
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回答No.3
- zyxxyz
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回答No.1
お礼
ああ、泣かせる回答ですねぇ。それによく、書けています。 池澤夏樹――しかし、よくご存じですね。まずは、お礼をお返しします。そして、じっくり読ませていただきます。補足をするかもしれません。あるいは納得したら、この質問は閉じます。 ともかく、まずお礼です。
補足
あとに続く回答が、どうやら不思議な道筋を辿りつつあります。 やはり、あなたの回答がベストアンサーでしょう。波の音を聞きつつ、ここで質問を閉じます。