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宇宙速度について
辞書などで調べると第1~3宇宙速度の数値がのってるけどなぜそうなるのかかいてません。 エネルギー保存の法則で求めるというのはきいたことあります。 式にどんな数値を代入したらいいのかおしえてください。
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記号を先に決めておきます. 地球の質量: M = 5.974×10^(24) [kg] 太陽の質量: M◎ = 1.989×1^(30) [kg] 万有引力定数: G = 6.6720×10^(-11) [N・m^2・kg^(-2)] 地球の半径: r = 6.378×10^6 [m] 地球の軌道半径:R = 1.496×10^(11) [m] 地球表面の重力加速度:g = GM/r^2 第1宇宙速度 u は,ロケット(質量m)が地表にごく近い円軌道を描くために必要な速度です. 地球の引力は (1) mg = GMm/r^2 遠心力は, (2) mu^2 / r^2 両者が釣り合うから,(1)=(2) より (3) u = √(GM/r) ≒ 7.9 [km/s] 第2宇宙速度vは,ロケットが地球の引力圏を完全に脱するのに必要な速度です. 無限遠からみた地球の引力のポテンシャルエネルギーは,地表で (4) GMm/r これが,ロケットの運動エネルギー (5) mv^2/2 が(4)より大きければ,ロケットは地球の引力圏を脱出できます. ちょうど脱出可能なところでは (4)=(5) より (6) v = √(2GM/r) = √(2)×u = 11.2 [km/s] 第3宇宙速度wは,ロケットが太陽系を脱出するのに必要な速度です. 地球から出発しますから,(4)に対応する式が (7) GM◎m/R で,これよりロケットの運動エネルギー (8) mw^2/2 が大きければ脱出可能です. ちょうど脱出可能なところでは (7)=(8) より (9) w = √(2GM◎/R) = 42.1 [km/s] です. ただし,ちょっと注意が必要で,このwは太陽に対する速度です. 地球は太陽に対して 29.8 [km/s] の公転速度をもっていますから, 方向をうまく合わせれば,地球に対する速度が (10) w2 = 42.1 - 29.8 = 12.3 [km/s] でOKです. この速度は地球の引力圏を脱出したときの速度ですから, 地表での速度 w0 はもっと大きくなります. (11) m(w0)^2/2 = √{(w2)^2 + GM/r)} から (12) w0 = 16.7 [km/s] になります.
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- siegmund
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stomachman さん,お久しぶりです. > うわっとと、siegmund教授が既に完璧回答を.... いえいえ,stomachman さんの回答の方がずっと丁寧ですよ. 留意点にも注意されているし, 静止軌道や重力カタパルト(スイングバイ)にも触れているし... レポートだったら,stomachman さんの方がいい評価がつきますよ. 重力カタパルト(スイングバイ)については, http://spaceboy.nasda.go.jp/Db/Kensaku_html/Type18_j.html に図解入りの解説があります. ここのホームの http://spaceboy.nasda.go.jp/Index_j.html からいろいろ面白い知識が得られます. stomachman さんが書かれているとおり, 空気抵抗無視とか,大砲で打ち上げとか,そういう前提ですので, 第1,2,3宇宙速度いずれの場合も目安くらいの意味しかないですね. 大体,地表すれすれの人工衛星なんて不可能ですよね (確かに危ない,ミールが落ちてくるどころの話じゃない. その前に燃え尽きちゃいますが). 第3宇宙速度の方は,スイングバイで加速というテクニックもありますし. > 偶然ですがg(R)≒π^2というのは憶えておくと便利かも。 概算の時には便利ですね. g(R)≒π^2≒10 ただし,πは単なる数値ですが,g(R)の方は単位をもった量です. だから,単位系を変えるとg(R)の値は当然変わります. MKS(メートル,キログラム,秒)で単位を構成しているから, g(R)≒π^2 [m・s^(-2)] になっているのであって, 長さに尺やヤードを使えば当然違う数値になります. stomachman さんが「偶然」とかかれているのは上のような意味です. 私の回答にミスプリがありましたので,訂正しておきます. (2)式は (2) mu^2 / r と訂正してください. どうも最近ミスプリが多くていかん. そもそもテキストファイルで式を書くというのが(読む方も)なかなか大変ですね.
- stomachman
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うわっとと、siegmund教授が既に完璧回答を.... せっかく書いたから、レポート出す積もりでupしちゃいます。だいぶ重複しますが、もう手を入れる気力が....ごめんなさい。 宇宙速度という考え方は、いわば大砲で飛翔体を打ち出す時の初速の話ですから、初速まで加速したらあとは加速しない、という条件での計算であることに注意すべきです。加速し続けるロケットの場合にそのまま当て嵌めるのはちょっとアブナイ。また宇宙速度は地球から飛翔体が出発する話ですが、空気抵抗を無視していることにも留意すべきです。 準備: 以下は全てニュートン力学の範囲で考えます。アインシュタインの相対性理論を使うほどの精度の計算じゃないからです。また、ここではなるべく「常識で知ってるんじゃない?」という程度の数値だけを使って計算をやってみるので、少々の誤差はご容赦願います。地球の半径をR、地表での重力加速度をg(R)とします。地球一回りで丁度4万キロ(誤差数キロ程度)ですから2πR = 4.000×10^7 [m]、つまり R = (2/π)×10^7 [m] = 6370000[m] 地表の重力加速度はg(R)=9.8 [m s^-2]です。高度rに於ける重力加速度g(r)はrの二乗に反比例する(ニュートンの万有引力の法則)から、ある定数kがあって g(r) = (k^2)/(r^2) (まじめにやると(k^2)=GM、Gは万有引力定数、Mは地球の質量) と表せる。特にr=Rのとき g(R) = (k^2)/(R^2) ですから k = R√g(R) です。(偶然ですがg(R)≒π^2というのは憶えておくと便利かも。)つまり g(r)=((R/r)^2)g(R)、 √g(r) = (R/r)√g(R) ●[円軌道(第1宇宙速度)] 半径rの円軌道を周回する人工衛星の速さ(接線速度)を計算しましょう。円軌道の角速度をωとするとき半径rにおける接線速度v(r)と求心加速度a(r)は、 v(r) = ωr, a(r) = (ω^2)r ですから v(r) = √(a(r)r) ここでa(r)というのは重力加速度そのもので、a(r) = g(r)です。よって、 v(r) = √(r g(r)) =(√r)(R/r)√g(R) = (R/√r)√g(R) これが円軌道の半径rによって異なることは要注意です。 ・特にr=R(つまり地球が真球かつ大気がないとして、地表すれすれを飛ぶ人工衛星。危ないってば)の場合、 v(R) = (R/√R)√g(R)=√R√g(R)=7900[m/s] つまり秒速7.9km/sほどです。(第1宇宙速度) 角速度はω=v(R)/Rなので周期は2π/ω=5064[s]、だいたい1時間半です。 赤道上から、地球の回転方向に向かって発射すれば、地球の自転の接線速度Rω=R(2π/24時間)=461[m/s]の分だけ得をします。 ・余談ながら、例えば角速度ω=2π/24時間 = (2π/86400)[1/s]となる静止衛星の軌道だと、 v(r) = ωr = (R/√r)√g(R) より、 r^(3/2) = R√g(R) /ω r = [2.0×10^7/(2π/86400)]^(2/3)=42300[km](4万2千キロ、地球の周長ぐらい。) 地表から測った高度で言うと r-R =42300-6370 = 35900[km] で、この高度における速度v(r)は v(r) = ωr= 42300000(2π/86400)=3080[m/s]つまり秒速3.1km程です。 ●[地球重力圏の脱出(第2宇宙速度)] この計算では、地球の重力だけを考慮し、太陽や月その他いろいろは全く無視します。 一定の重力加速度g(R)が働いている場合、質量mの物が地表からhの高さにある時の位置エネルギーUは U = mg(R)h です。つまり、地表からこの高さまで真上に物を放り上げるのに必要な初速をvとすると、その運動エネルギーE: E= (1/2)m(v^2) がUに等しい必要があります。 地球からうんと離れた高さまで放り上げる事を考える場合には、しかしながら、「g(R)が一定」という近似は使えません。しかしdU(h)/dh = m g(R+h)は成り立ちます。つまり一般に地表から距離h[m]の位置にある質量mの物体の位置エネルギーをU(h)とすると U(h) = m integral{r=R~R+h} g(r) dr となります。だから、地表から初速v(h)で打ち出した物体の最高高度がhだとすれば、 E=(1/2)m(v(h)^2)=U(h) 従って高度hに到達するのに必要な初速は v(h) = √(2 integral{r=R~R+h} g(r) dr) です。積分は integral{r=R~R+h} g(r) dr = integral{r=R~R+h} ((R/r)^2)g(R) dr = (R^2)g(R) [1/R-1/(R+h)] ですから v(h) = √{2(R^2)g(R) [1/R-1/(R+h)]} そこで、地球の重力圏を脱して二度と落ちてこないために必要な初速は、h=∞の場合を計算すればよい。 v(∞) = √{2(R^2)g(R) [1/R]}=√(2Rg(R))=11200[m/s] つまり秒速11.2km。(第2宇宙速度) 実はこれは真上に放り上げる場合に限った話ではありません。地表と平行に高速で発射した物体は、初速が秒速8km/sなら(既に見たように)地表すれすれの円軌道になります。それより速いと楕円軌道(発射地点が近地点)、もっと速いと放物線軌道、さらに速いと双曲線軌道に乗ります。放物線軌道か双曲線軌道だと地球には二度と戻ってこない。そして放物線軌道に乗せるための初速はやはり v=√(2Rg(R))=11200[m/s] です。運動エネルギーが全部位置エネルギーに変わるという事情は同じ事ですからね。 ●[太陽重力圏の脱出(第3宇宙速度)] 計算の仕組みは第2宇宙速度と同じです。常識的知識だけを使って計算したい所ですが、やっぱり地球の軌道半径(天文単位と言います)は知らないとダメですね。軌道半径R*=1.50×10^11 [m]は光速で500秒掛かると憶えます。さて、地球の公転軌道を円で近似し、太陽から受ける重力を g*(R*)=GM*/(R*^2) とします。地球は公転周期T*=1年=3.156×10^7秒で回転します(これも偶然π×10^7に近いんですよ。)従って角速度は ω*=2π/T*=2π/ (3.156×10^7)=1.99×10^-7[1/s] であり、地球の公転の速さ(接線速度)は R*ω* = (1.50×10^11)(1.99×10^-7)=29900[m/s] 毎秒約30kmです。この軌道上で太陽の引力で生じる加速度は a(R*) = (ω*^2)R*=g*(R*) ですから、 g*(R*)=(ω*^2)R*=((1.99×10^-7)^2)(1.50×10^11) = 5.95×10^-3 [m s^-2] であることが分かります。第2宇宙速度の計算で使った v(∞) = √(2Rg(R)) という式でRをR*, g(R)をg*(R*)で置き換えると v*(∞) = √(2R*g*(R*))=42200[m/s] つまり太陽から見て「地球の公転軌道の高度」から太陽重力圏から脱出するために必要な初速は毎秒約42kmです。ところが、地表から出発する話なんですから、 (1)まずは地球の重力圏を脱出しなくちゃいけない。 (2)地球も毎秒約30kmの接線速度を持っている。 (3)さらに自転速度毎秒0.5[km/s]もあるけど、これは無視して良いかな。 という事情があります。これは3体問題と言って簡単には解けない。たとえば「重力カタパルト」という、地球(その他の天体)の公転角速度を利用して飛翔体を加速するテクニックがあり、実際に惑星探査機で利用されています。ですから第3宇宙速度という概念がどこまで意味を持っているのか些か怪しいんじゃないかな、と思います。 ●stomachmanが持っている軌道計算トラノマキは、初版が実に1970年という古いもので、その名も「宇宙航行の数学」(森北出版)です。人工衛星の技術は日進月歩ですが、軌道の理論は変わらないですから、これで十分間に合っています。この本を使うと、ここに書いたのよりもうちょっと本格的な計算ができます。
お礼
かなりくわしいお答えありがとうございます(読み始めるのに覚悟がいりましたが・・・笑)。下に書いたとうり、お時間を取らせてしまって本当に申し訳なく思っています。 「宇宙航行の数学」ですか。人に聞くばかりでなく本読んで自分で調べないとだめですよね。やっぱり。 楽しちゃいけない。そう思いました。 ありがとうございました。
お礼
実をいうと u = √(GM/r) v = √(2GM/r) = √(2)×u) w = √(2GM◎/R) というそれぞれの結論の式しってました。 式に使われている文字の意味が分からなく、また推理も不可能だと判断したので質問をしたのです。なんとこの場合最初の8行で疑問が解けてしまいました。 この式がのっている原稿が他人の手作りで正しいという確証がなかったので「この式の文字の意味はなに」という安直な質問をする勇気が持てなかったのです。あの時勇気を出していればみなさんに無駄なお時間を取らせることもなかったろに・・・と反省しております。 とはいえ、結果的に貴公のわかりやすい解説をよんでより理解が増したと感じております。ありがとうございました。