MOUIIKAOさん こんにちは
☆生物は目・科・属といった感じで分類されていますが、
これはどういう基準で分類しているのでしょうか?
佐藤正孝(編)(1984)『種の生物学』によりますと、動物の種の場合、種を基本単位として、相互に類縁の深い種どうしを「属」、近縁の属を「科」、近縁の科を「目」に包括されるというように、基本単位のまとまりから順次分類階級が定められてきたそうです。
☆例えば、虫とかだとどう見ても同じように見える虫でも全く違う科に分類されていたりしますが、まさかDNA配列とかは昔は分かっていなかったはずので、目・科・属ごとに、食べるものが違う、とか尻尾に色があるとか細かい条件があり、それにマッチするかどうかで分類しているのでしょうか?
同じく『種の生物学』によりますと、18世紀に生物界を構成する実在の基本的な単位として「種」という概念が誕生したそうです。当初、種の違いの見分け方は、Aという種を何匹か(多い程良い)、Aに近縁なBという種を何匹か準備して、AどうしやBどうしの形態的変異(ツノの大小や色の薄い濃いなど)は連続しているのは当然なのですが、AグループとBグループをずらっと並べてみて、AからBへの並びの境目で、明らかに形態的な不連続性を示す場合、種と認定したようです。このような種の概念は、形態種(リンネ種)と呼ばれており、研究者の少ない生物群については、今でも、形態を基にした種の決定が行われているのが現状です。
20世紀になると、遺伝学、生態学、生理学、および生化学などの発達により、分類学、系統学もこれらの新しい成果を取り入れる形で、種の概念が再検討されることとなり、形態的に近似したAグループとBグループが交配が可能な場合、同種であると見なされるようになりました(マイヤーによる種の定義)。
さて、前置きが長くなりましたが、各生物群の専門家が種の同定への検索表を作成している場合、調べたい生物は形態を基にして、綱→目→科→属と絞り込んで行きます。こうして絞り込まれた属内の種間は形態的にとても似ている種が多く、先代の分類学者が記載した種の形態的な種の違いをチェックし、まさしく、尻尾に色があるとか、こまかい条件にマッチするかどうかで見極めざるを得ません。
☆とすると新種らしき生物が見つかったときにそれが新種なのかすでに知られているものなのか判別するのは極めて難しいと思うのですが、単に専門家の知識と経験で判断しているのでしょうか?
手順を踏まないと、極めて難しいです。これまで報告された属や科の論文(英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、、、)を全て入手して、自分が見つけた生物が、ほんとうに新種なのか細かくチェックする手順が必要です。専門家の知識と経験で判断する場合は、既存種の場合で、各地域で作専門家が作成した図鑑は種名が確定する場合、見誤らないように図鑑に専門家の知識と経験が盛り込まれております。