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鉄道の運転士に関する疑問
基礎的、かつ内容が飛ぶ質問になりますが申し訳ありません。 ア・鉄道の路線には速度規制標識があります。(標識は工事など臨時ではなくて恒久的に設置されているもの。信号はすべて青だと想定します) 標識があればそれ以下の速度で通過するのは当然ですが標識がない箇所でもきちんと減速する箇所は減速をしているようです。 運転士は、ひとり立ちする前の訓練で標識がない箇所でも「ここは○○km/hで走行する」など、自分が運転する路線(範囲)の走行速度を徹底的に頭に入れるとの話も聞いたことがあります。 しかし見方を変えると標識は何のためにあるのでしょうか? 法律などでカーブ半径や勾配の数値で速度は定められているのでしょうか? イ・アの質問を踏まえて現実的ではないことは承知していますが法的・理論的見方から質問します。 免許を持つ車種さえ合致していれば自分が所属する会社以外の路線でも運転できるのでしょうか?(例・JR東日本の電車運転士がJR北海道の路線で電車を運転する、東急電鉄の運転士が小田急電鉄で運転する等) 可能な場合、免許を持っていてもアでお尋ねしたような事前の習熟訓練は必須なのでしょうか? わかりにくい内容の質問ですが、よろしくお願いします。
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こんばんは。 首都圏の私鉄で電車運転士をしております。 >しかし見方を変えると標識は何のためにあるのでしょうか? 法律などでカーブ半径や勾配の数値で速度は定められているのでしょうか? 実務に携わるものにとって、標識は「きっかけ」に過ぎません。 そんな法律がとか大層なものではありません。 鉄道の曲線などの速度は、法律ではなく、鉄道工学で数字的に記されています。 曲線の曲率による速度制限、そして、掛かる遠心力を相殺する為のカント(線路の傾き)、カントも角度が急すぎれば転覆してしまうので限度があり、限度に達すれば最終的に速度を下げるという方向になります。 そして、 ×標識が見えた⇒速度を下げる ○事前に分岐器の速度制限、下り勾配で慣性により制動力が落ちない為に与えられる速度制限、カーブの速度制限。これらを踏まえて速度を調節⇒その結果、速度を下げた先に「制限標識」がある ・・・・という関係です。 実務からのハナシですが、 標識が見えてからブレーキを掛けていたら間に合いません。また、車両によって制動力も特性も違います。同じ区間を毎日運転していても同じ所からブレーキを掛ける事はなく、その状況如何で変えるモノなのです。 また、全線の速度制限を記憶できていない状況で電車を運転するというのは、非常に危険な事であり、プロとしてあり得ないのです。 冒頭のワタシの発言は衝撃的なモノではありますが、上記の通り、 標識があるから速度調節するのではなく、事前に速度制限を記憶し、その記憶の中での運転になります。 その為、標識=「きっかけ」に過ぎないのです。 標識が有る無しの差異なのですが、 ○下り勾配で最高速度が抑えられているモノの、車両の制動力(非常時の増圧ブレーキが付いている、付いていない)で課される最高速度が、車両によって異なる⇒標識付けると却って複雑になってしまい、逆に誤認しやすくなる(釣り込まれ事故の危険) ○分岐器の大きさは師匠についての技能教習中に学びます。その際に、線路の環境、信号機の建植位置、分岐器の速度条件を全線でみっちり学びます。その為、事前に大きさが分かっている分岐器については標識では設置しないケースが多数で、逆に特殊な構造により最高速度が異なる場合のみ標識を設置していたりする。 ○制限を与えなくても安全面で差し支え無いのですが、乗り心地や駅近接箇所では停止位置過走防止の観点から、「指導面」というカタチで速度を落としている場合もあります。その場合、「指導面」(取扱の一つ)という事で標識が無い(←覚えていなければならない事)としている箇所もあります。 ・・・という観点から、設置していない場合もあります。 >イ・アの質問を踏まえて現実的ではないことは承知していますが法的・理論的見方から質問します。 免許を持つ車種さえ合致していれば自分が所属する会社以外の路線でも運転できるのでしょうか?(例・JR東日本の電車運転士がJR北海道の路線で電車を運転する、東急電鉄の運転士が小田急電鉄で運転する等) 可能な場合、免許を持っていてもアでお尋ねしたような事前の習熟訓練は必須なのでしょうか? 法的には問題ありません。 しかし、実際にプロとしての運転が出来る、出来ないとは、別の次元の問題です。 先にワタシが回答したように、 全線のカーブの速度制限、信号の建植位置、分岐器の大きさ、特殊取扱箇所が分かっていないと、上記の通りあまりに危険で運転出来ません。 また、車両構造も各社異なりますし、処置方も異なります。 ATSなど保安装置も、各鉄道会社で異なり、把握していなければ、満足に運転する事もままなりません。 従って、習熟訓練は絶対に必要です。
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- SPS-
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こんばんは。細かい部分は他の方に任せるとして、可能な範囲で回答します。 (ア)について 基本的にはNo.3さんの回答の通りですね。 質問者さんが御覧になられた速度制限標識ですが、おそらく↓のような標識(白or黄色の板に制限速度が数字で表記されているモノ)を御覧になられたはずです。 ※参考URL:http://kobe.cool.ne.jp/tarumi/T0514_01.html (速度制限標識と速度制限解除標) この速度制限標識はその名の通り、列車に対して速度を制限するものです。運転士は制限速度区間手前までに、指定の速度まで列車を減速させなければなりません。 ところが、上記の速度制限標識が無ければ速度制限が課せられない訳ではありません。曲線(カーブ)を通過する際にも、曲線半径に応じた制限速度を課せられます。こちらの場合、上記の速度制限速度標識が無い場合も多いです。もちろん運転士は運転する線区の制限速度区間は完全に頭に叩き込んでいますので、特に標識が無くても制限速度区間がある場合は速度を落とします。 No.3さんも回答されていますが、曲線通過での制限速度は曲線半径によって制限速度が決まっています。その為、JR線ではカーブの手前に『R8』や『R10』のような曲線半径を表す曲線告知標が設置されている場合もあります。 参考URL:http://kobe.cool.ne.jp/tarumi/T0511_01.html (参考URL内、下の方に黄色の曲線告知標の写真が載っています) 上記の標識の場合、『R8』=曲線半径800m、『R10』=曲線半径1000mを表しています。高速道路での急カーブ箇所には似たような掲示がなされていますね。運転士さんはこれら曲線告知標を見なくとも規定速度まで速度を落としますし、そもそも全てのカーブに曲線告知標が設置されているわけではありませんが、この曲線告知標を確認することで一般の方には制限速度区間であることがわかりますね。 まあ、根拠の無い感想ですが、見習いの方の研修にはあった方が良いかと思います。 また、曲線半径によって制限速度が決まると述べましたが、車両や軌道の状態(枕木やカント等)によって同じ曲線半径でも制限速度が変る場合もあります。 この際、曲線での基本通過制限速度を本則と表し、軌道強化や車両が低重心・車体傾斜装置等の装備がある場合はその実態に応じて、本則+キロという形で制限速度が緩和されます。 例を上げるとJR西日本管内、新快速が走る米原~姫路間の場合、223系(0・2500台を除く)はR6:曲線半径600m以上のカーブでは本則+20キロでの通過が許容されています。この区間ではかなりの軌道強化(カントの底上げ、徹底的な緩和曲線設置)がなされており、車体傾斜装置は無いものの低重心化されている為可能になりました。 曲線半径と本則の具体的な数字についてはこちら↓を御覧ください。 参考URL:http://kobe.cool.ne.jp/tarumi/T0511_01AP1.htm (曲線通過速度・緩和曲線長) なお、上記の曲線告知標が設置されているのにもかかわらず、もしくは設置されていない場合でも、その曲線部分に別途速度制限標識が設置されている場合があります。 この場合、多くはその区間において何らかの理由があり、『該当する線区』での曲線通過速度よりも更に速度を制限しなければならない為です。 具体的には ・曲線において分岐器が設置されている ・カントや緩和曲線が充分では無い ・S字カーブ等線形が極端に悪い場合 ・曲線内に橋梁を含む等軌道状態が不安定である 等が考えられます。例えば、東海道線茨木駅構内には、曲線半径800m(この線区での半径800mの制限速度は120キロ)のカーブ中、制限110キロの速度制限標識が設置されていますが、ここは緩和曲線とカントが充分では無いことに由来しています。 また、山陽本線熊山~万富間にある吉井川橋梁はカーブ内に設置されており、橋梁自体もカーブしている為、線区での曲線通過速度とは別に制限速度標識が設置されているはずです。 余談になりますが、この曲線半径による曲線通過制限速度、電車でGO!等の運転ゲームには全く反映されていません。個人的にはかなり不満だったりします(笑)。 最後にもう一点だけ。信号機の現示によっても速度制限が課せられます。信号機や閉塞の概念については長くなるので今回は速度制限についてのみお話します。 信号機の現示によって、それぞれ速度制限が課せられる場合、その信号機の色を見ればわかります。 例を挙げると 赤(停止):停止、黄2個(警戒):25キロ以下、黄1個(注意):45~55キロ以下、黄1個+青1個(減速):65~75キロ以下、青1個(進行):その線区での運転最高速度以下 という具合です。これはJR在来線での一般的な事例で、私鉄では制限速度が異なったり、京急本線横浜以北や北越急行線では特殊な信号現示もあります。 信号機について、可能であれば閉塞の概念を把握された方が理解し易いのですが、こちらは省略させて頂きます。 なお、信号機の速度制限速度と、標識での速度制限を同時に課せられる場合、制限速度が最も低い速度の標識・信号に従わなければなりません。 (イ)について 運転士の免許ですが、路線毎では無く、運転する列車の種別によって違いがあります。 例えば・・・ ・甲種蒸気機関車運転免許 (蒸気機関車) ・甲種電気車運転免許 (電車・電気機関車) ・甲種内燃車運転免許 (ディーゼルカー・ディーゼル機関車) 等です。甲種とありますが、甲種の他にも乙種免許があり、甲種は通常の鉄道路線、乙種は主に路面電車用と聞いたことがあります。 申請するのは鉄道会社だと思いますが、免許そのものの効力には違いは無いのではないでしょうか。 但し、実際にはたとえ何十年運転を勤めたベテラン運転士であろうと、初めて運転する線区では相当な線見(下見)を行い、運転講習を受けなれば運転できないとされています。免許そのものの有効の可能性はあったとしても、他社もしくは他の運転区の運転士が全く運転したことのない路線の担当になるという事は、それだけの講習を受けなければ運転が許されないはずです。
お礼
お礼が遅くなりましてすいません。 細かな例を挙げていただいてありがとうございます。 免許としては有効だが相当の下見がないと運転は不可能、との回答ですね。 今日はここを運転、明日はここを運転、とはいかないでしょうね。
- suroeste
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一人前の運転士なら、曲率半径R=300mのカーブなら、基本制限速度65km/h以下(但し、振子車は+20km/h)とか、R=600mなら、基本制限速度90km/h(振子車は+30km/h)とか、12番方開き分岐器の分岐側の通過速度は45km/h以下とか、10番両分岐器の通過速度は50km/h以下とか、25/1000の下り勾配なら80km/h以下とか、そんな基本的なことは全て覚えていて、どこにどんな制限箇所があるか知っていてできるはずです。このため、基本的な箇所には、わざわざ速度制限票は建てません(建てても可)。しかし、R-600mのカーブでも、前後すぐにポイントとかあってカントが付けられない等のために、特に基本制限速度より厳しい制限速度をかけている箇所は必ず速度制限箇所票が建っていると思います。カント不足だけでなく、左カーブの直後に直線が入らずすぐ右カーブになるとか、基本速度より厳しい速度制限箇所は理由はいろいろですが、ときどきあります。そんな箇所には速度制限箇所票が建っていると思います。 その他、黄色信号は基本制限速度が45km/h以下ですが、黄色信号で進行するのに、特にそれ以上速度を落とさなければならないような、急な分岐器を通過する場合は、速度制限箇所票が建っていることが多いと思います。 その他、基本以上に速度制限をする必要がある箇所や、要注意の速度制限箇所には建っていると思います。 鉄道は、鉄のレールの上を鉄の車輪で走ります。このため燃費が非常によくCO2排出も少ないですが、鉄と鉄のため非常にブレーキがきき難いです。ゴムタイヤの車なら100km/hで走っていても100mくらいで止まれますが、鉄道の場合は100km/hで走っていたら400mくらい止まるまでにかかります。このようにブレーキ性能が悪いので、運転士が目で見てそれからブレーキをかけたのでは遅すぎます。速度制限のあるカーブや分岐器など、あらかじめ覚えておかなければ、どんなベテランでも通常ダイヤでは運転できません。このため、同じ鉄道会社でも、運転士は転勤などで初めての区間を運転する場合は、見習を何日もしてから、一人立ちします。法律では義務付けられてはいないと思いますが、運転暦何十年のベテラン運転士でも、初めての線路は見習が必ず必要です。 運転士は線路条件を細かく覚えなくてはならないため、担当する線区はそんなに広くありません。車掌は長距離を乗務しますが、運転士は担当エリアの境界で交代していきます。
お礼
お礼が遅くなりましてすいません。 カーブなどで速度は決まっていたのですね。 二次的な疑問として「ではなぜ標識が?」との意味もわかりました。 すべてを頭に入れるのは至難のワザですね。 運転エリアは広くできないし転勤すると新たな線形を頭に入れるために振り出しなわけですね。 ありがとうございました。
記憶の範囲で回答を書きますので、補足できる方が居られたら、補足等、お願いします。 ア、法的にどうであったかまでは覚えていませんが、曲線半径によって最高速度の基準はあったはずです。各社ともこの基準値に合わせて、曲線の制限速度を設定しているはずです。 当然なら、進行信号がその路線の最高速度での運転を許可していても、速度制限票(恒久設置、臨時設置とも)が有れば、其の位置までに制限速度以下にしなければ、ATSなり、ATCなりが動作します。 制限票がない位置での減速は、下記のような場合行なわれますね。 (1) 列車に決められた運行時間より、このままでは先に停車する駅に早着してしまう可能性がある場合の時間調整(停車駅で時間調整でも良いですが、早く着くと確実にホームに電車が居て、場外停車してしまうが、前の駅は定時発車であった、等の場合発生) (2) 前方に設置された場内信号機、出発信号機、閉塞信号機、各信号の中継信号機に、減速を指示する信号(減速、注意、警戒の各信号)が現示されている場合 (3) 最近は、E231系500番台など、運転台のディスプレイに運行状況が表示されるシステムの場合、先行列車に近づいていることが判ったときなども減速する可能性があります。 イ、免許証を持っていれば、他社も運転できるかとのことですが、免許的には可能です。ただし、電車の免許証で電気機関車を運転したり、電気機関車の免許でディーゼルを運転したりは出来ません。 実際の所、免許を持っていても、他社の運転はしません。理由は、その運転する路線の状況を、把握していないからです。 乗り入れの場合、運転士の乗務は、下記のように区分されますね。 (1) 乗り入れ駅で必ず交代 乗り入れ先と繋がった駅まで運転した運転士は、乗り入れ駅で乗り入れ先の運転士に電車の引き継ぎます。一般の直通運転、相互乗り入れは、この方法です。 (2) 他社線の社員が添乗 臨時電車で運転士の手配が出来ない場合など、乗り入れ列車の始発側の会社の運転士がそのまま乗り入れ先の路線まで運転する場合、乗り入れ先の路線について詳細な状況は判らないため、乗り入れ先の社員が添乗することを、国が義務づけていたはずです。 (3) 乗り入れ素列車の始発側の会社の運転士が、添乗無しで直通運転させる 定期列車では、東急電鉄と横浜高速で行なっています。横浜高速鉄道は、乗務員は雇っていません。全員が駅係員などで、運転業務は全て、東急電鉄に委託しています。そこで東急では、東横線の運転士と車掌について、横浜高速線内での習熟運転を行ない、全列車が東急の乗務員で運行しています。 今ひとつはJR西日本と信楽鉄道(20年以上前に正面衝突事故があった路線)が行なっています。定期列車は乗務員交代をしているのですが、JR西日本からの臨時列車については、JR西日本の乗務員が運転しています。この場合、JR西日本の中でも、信楽鉄道内の習熟運転をしている人のみが、担当しているとのことでした。
お礼
お礼が遅くなりましてすいません。 免許は電車の免許の場合、電車でさえあれば他社で運転できるのですか? #1の方の回答と異なりますがどっちが正しいのでしょうか…??? 確かにみなとみらい線は東急の運転士が直通していますね。 ありがとうございました。
- hiroki0527
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イ 出来ないそうです。 免許は自動車等と違って「鉄道事業者が指定」されているそうなので、社内での教習・試験等を行って各種書類を用意して「所属事業者変更」手続をする必要があるそうな wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%95%E5%8A%9B%E8%BB%8A%E6%93%8D%E7%B8%A6%E8%80%85 --------------------------------------------------------------------- 違う会社であっても免許の種類が同じであれば、その免許は有効であるが、自動車の運転免許証と違い、免許証には「所属事業者名」が記載されており、基本的には記載された事業者が管理している路線以外での乗務は出来ないので、運転法規などの違いなどの教習・試験を終えた後関係書類を添付して免許証を運輸局に提出し、記載事項の変更(この場合は「所属事業者名」)を行わなければならない。 ------------------------------------------------------------------- 鉄道の免許は個人の資格では取れませんから、所属会社での試験等に合格しないと所属会社が関係書類を出さないでしょう。
お礼
お礼が遅くなりましてすいません。 回答を興味深く読みました。 所属事業者ですか。クルマの免許とは違いますね。 ありがとうございました。
お礼
お礼が遅くなりましてすいません。 標識の有無の理由、免許の疑問と私のお尋ねしたかった質問にほとんど答えていただいた感じです。 標識については以前から標識を通るときはその速度以下になっていて、事前に頭に入っているのだろうとは思っていました。 では、なぜわざわざ標識を?とも思ったのです。 運転士の皆様のプロフェッショナルぶりを再認識しました。 ありがとうございました。