- ベストアンサー
文明の概念を導入した思想家は?
――文明という考え方は、18世紀フランスの思想家によって「未開状態」の対極にあるものとして展開された。―― こういう記述に出合いました。 ここでいう思想家とは誰ですか。何という著作物で論じられていますか。 よろしくお願いします。 なお、断るまでもないのでしょうが原文は読めません。
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
ミラボーの "L'ami des hommes, ou Traite de la population"(『人間の友』)のようです。 著者のミラボーは、フランス革命期の政治家だったガブリエル・オノレ・ミラボーではなく、お父さんの方の重農主義の経済学者ヴィクトール・ミラボーの方です。 柳沼重剛の『西洋古典こぼればなし』(岩波書店)のなかの「「文化」「文明」という言葉について」という章に、 「念のためロベールのフランス語辞典に当たってみると、civilisation の初出は1756年のミラボー(経済学者、1715-89)の著作としてある」(p.8) という記述があります。 この辞書には1756年とあるだけで、「せっかくミラボーが初出だと言っておきながらそのミラボーの文をあげず」と柳沼先生は怒っていらっしゃいますが(笑)、このくらいなら調べられるので、著作の方は年譜で確認してみました。
その他の回答 (1)
- compequal
- ベストアンサー率42% (61/145)
うーん、浅学ですので、ずばりな回答ができませんけれども、 まあ、ヴォルテールだとか、そこらへんのフランス啓蒙思想系の思想家たちがワラワラやってた話だろう、という印象。 パラッとググってみた感じ、 1.キリスト教的な原罪論との絡み(パスカル、ヴォルテール系) http://www.happycampus.co.jp/docs/983432357601@hc05/2473/ 2.植民地/ヨーロッパの植民地系の議論の絡み 工藤庸子著 『ヨーロッパ文明批判序説――植民地・共和国・オリエンタリズム』 http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/oz/541/541-07.pdf 3.ロック/ホッブス/ヒューム/ルソー系の「原初状態」論の絡み(※ここ議論は、稲葉振一郎 『「資本」論』 ちくま新書 あたりが読みやすいです。) http://ocw.dmc.keio.ac.jp/j/economics/02A-011_j/list2.html と複数の系列があり、17世紀~19世紀あたりにかけての啓蒙思想の展開の中で、同時並行的に複数の思想家が「文明」の概念を展開し(人によっては、批判し)ていったので、具体的に個人名を特定する、というのが難しいんだろうな、という感じがします。人によって使い方が若干違っているし…。 もやっとした答えで恐縮ですが、誰が何を言って、どう批判して、その批判がある一方で実際のヨーロッパの植民地政策がどうなって…みたいなけっこう複雑な経緯のある概念なので、それまで何もなかったところから、いきなり出てきた概念とは違って、かなり詳しい人でないと、複雑な展開をきちんとフォローしたお答えを返すのは難しいかな、という印象です。(たぶん、そういう人の解説も、ごちゃごちゃしているのだと思いますが) 以上、ご参考まで。
お礼
「18世紀フランスの思想家」と言っているのは、特定の個人ではなく当時の言論界に於いて、という意味かもしれませんね。文明といっても要するに民主主義との絡みでしょうから、フランスから選ぶとすればルソーの「社会契約論」が最優先なのかな、という気が薄々します。今日の自由と民主主義を、ホッブス、ロック、ルソーの名を盛んに挙げて論じている書物がありましたから、この方面に暗い者は、お答の3の系列から入るのがよさそうに思いました。 お答は、とてもよい指針になります。ありがとうございました。またの機会にもよろしくお願いします。
お礼
手間を掛けて追求して下さったようで恐縮しています。どうやら高度な専門領域なのですね。 お蔭様で「ミラボーが初出」と、はっきりしました。怒りの柳沼先生に同感です。 http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/26/9/2602380.html ここに、「文化と文明を区別する根拠はなにか」との一節が見えます。ちょうど、「文明の衝突」の中で、「ドイツだけが文化と文明を区別していて、他では文化は文明の一部として捉えている」、と読める箇所があって、何故だろうとの疑問が残っていたため興味がもてました。『西洋古典こぼればなし』は容易に入手できると判りましたので、借用の手配をしておきました。 "L'ami des hommes, ou Traite de la population"(『人間の友』)、こちらはもしかすると大変な貴重本なのではありませんか。今のところ、私ごときが手にする書籍ではなさそうに思えます。よくは調べがついてはいません。 お蔭様で、この先は興味が続けば幾らでも一人歩きが出来そうです。大変、ありがとうございました。またの機会にもよろしくお願いします。 (他にも調べて下さっている方があってはいけないので3/8(日)までは締め切らずにおきます。)