心理学をやっていましたので、心理学の範囲で・・・
人間の記憶には「短期」と「長期」(最近は加えて「中期」)があるとされます。
「短期記憶」とは例えば初めてかける電話番号を覚えておくことに使い、通常数字で5~9桁です。知能はあまり関係有りません。
記憶後急激に消えていくため、口ずさむ(維持といいます)などが必要です。
「長期記憶」は意識的な短期記憶(先の電話番号の例)以外にも、様々な一度は脳に入った記憶が定着する分類上の領域です。
こちらは、基本的には失われないとされています。
加齢が進むと、長期記憶から欲しい情報を引き出す(想起・再生といいます)機能が低下するようです。
記憶とは単体で辞書のように格納されているのではなく、丁度インターネットのWEB構造のように、互いに
絡み合うようにして保持されているようです。
加齢により、この記憶と記憶とのネットワークが「切れて」、検索が困難になることが、一般に言う物忘れ(=思い出せない 再生の失敗)と考えます。
特に固有名詞や人名はこのネットワークから外れやすいため、久しぶりに会った人の顔・部署・性格・自分との思い出は
直ぐに思い出せても、名前が出てこないといったことになりやすいのです。
一般に、覚えることと思い出すこと(学習と再生)は高校生辺りまでに急速に発達し、20代半ば程まで発達したあとは、漸減するとされます。
(正確には「短気」から「長期」へ最小限の努力で転送できる能力)
ですので、30歳を過ぎたら記憶(想起)能力は低下傾向にあるとみて間違いないでしょう。
しかし、何でもかんでも若者が優秀とも限りません。
数学などの理論を主にした学問は、明確に若者に分がありますが、言語表現などでは年配者に大きく分があるようです。
言葉とは、すなわち思考の道具ですから、年配の人が普段と違って鮮やかな論理を組み立てていたりすることはよくあります。
その人の年齢に合った分野の活動をすればよいのではないかと思います。
ただ、最近では病的な痴呆が問題になっているのも事実です。
過度に恐れて、医薬品未承認の「健康ドリンク」などを売りつけられないよう、注意が必要です。
アルツハイマーに限らず「病気の痴呆」は一見分かりにくいですが、10時10分テスト(*)などを試してみて、答えに詰まる、意味不明な答えを書くなどが見られた場合は、精神科の医師に相談すべきです。
早く見つければ見つけるほど、予後は良好になります。
最後の一節は蛇足ですが、簡単ですので1年に1回は親孝行と思って試されてはいかがでしょう。
(*)紙に8cm程度の円を描き、「この円を時計と見立てて、10時10分の時計にしてください」というものです。
1~12までの文字盤の位置が著しく乱れていないか、長針と短針の位置は正しいか、で素人でも直ぐ結果が分かります。
お礼
親が記憶力が悪いのはちなみにビデオデッキの操作等の機械操作を覚えられず何度も同じ事を聞きます、これも歳と関係ありますか?