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会社を辞めたら、どうなるの?

開発業務で特許関連の申請も行ったりするのですが、 もし今、会社を辞めて別会社を興したとします。 その会社で元の会社の関連業務について特許を取得することは違法なのでしょうか? 要は、私自身が独立したいということなんですが・・・。 教えてください。

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noname#4746
noname#4746
回答No.1

1.特許法の観点から  9766 さんが元の会社(A社)に所属していたときに発明が完成していたのであれば、退職後にご自身を出願人として出願したとしても、A社は特許発明を実施することができます(特許法35条1項に定められる通常実施権)。 参考判決:平成2年(ワ)第304号(名古屋地裁、判決日:平成5年5月28日)  「原告(元従業員)が被告(原告の元勤務先)を退職してわずか24日後に本件特許の出願をしていることからすると、退職から出願までの間に本件発明の完成のために特別の研究開発が行われたとは認められない本件においては、本件発明は、原告の退職の時点で発明として完成していたものと推認するのが相当であるから、本件発明は、職務発明に当たるというべきで、被告は本件特許権につき通常実施権を有する。」  また、A社の職務規則に、例えば、「特許を受ける権利は、別段の契約を締結するまでもなく当該発明者たる従業員から会社に移転する」等という規定があれば、A社に「特許を受ける権利(特許登録となる前)」ないし「特許権(特許登録となった後)」を譲渡しなければならないこともあり得るでしょう(参考判決:昭和50年(ワ)第1948号、大阪地裁、判決日:昭和54年5月18日)。  ただし、譲渡する場合、A社から相当の対価を頂戴できます(特許法35条3項)。  一方、A社の退職後に発明が完成した場合、A社に通常実施権はありません。この点については、平成6年(ワ)第951号(名古屋地裁、判決日:平成8年9月2日)が参考になるかと思います。  この事件では、参加人は、当該参加人を退職した被告が別会社で完成した特許発明につき、「職務発明としてなされたものであるから、当社も通常実施権を有する」と主張しました。  この主張に対し、名古屋地裁は、    「……退職後に完成した発明が在職中の職務に属するとしても、それは職務発明には該当せず、被告が参加人(被告の元勤務先)を退職した後、……本件発明を完成するに至っている以上、参加人が、被告が本件発明を完成するについて一定程度貢献していたとしても、特許法35条1項の通常実施権は認められない。」  と判示して、参加人の請求を退けました。  この事件は、控訴審、差戻一審、差戻控訴審でも争われていますが、参加人の上記主張は、最終的に同旨によって退けられています。  ですので、「特許法上は出願することに問題はないが、発明の完成した時期によっては、元の勤務先も特許発明を実施することができる場合もあるし、特許を受ける権利ないし特許権を譲渡しなければならない場合もある」ということになります。 2.不正競争防止法の観点から  特許出願しようとする発明にA社で取得した極秘事項が絡む場合、注意が必要です。  不正競争防止法2条1項で定義される不正競争行為には、 (1) 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(「不正取得行為」)、その不正取得行為により取得した営業秘密を使用ないし開示する行為(4号) (2) 営業秘密を保有する事業者からその営業秘密を示された場合において、不正の競業その他の不正の利益を得るためや、その保有者に損害を加えるために、その営業秘密を使用ないし開示する行為(7号) が含まれます。  ここでいう「営業秘密」とは、クライアントの個人情報等の事務的な秘密のみならず、秘密として管理されている生産方法や、事業活動に有用な技術上の情報も含まれます(2条4項)。  そして、例えば、平成6年(ワ)第1426号(仙台地裁、判決日:平成7年12月22日)で判示されているように、一般的には、「労働者が雇用関係中に知りえた業務上の秘密を守秘する義務は、雇用関係の終了後にも残存する」と解されています。  従いまして、A社において極秘中の極秘扱いされている技術、例えば、門外不出とされている清涼飲料水の製造方法を、その清涼飲料水の製造担当責任者という立場であるが故に知り得たのに、A社を退職して独立開業後に当該製造方法に関連した発明を出願しようとする場合、その出願は「営業秘密の開示」に該当する、とも考えられます(具体的な事例は見つかりませんでしたが)。  ちなみに、前出の平成6年(ワ)第1426号では、「不正・不法と評価するに際しては、労働者が有する職業選択の自由及び営業の自由の観点から導かれる自由競争の原理を十分斟酌しなければならない。」とも判示されています。ご参考までに。  ただし、「発明が完成した時期」についてや、「実際に不正競争に該当するのか否かの判断」を詳細に検討する必要がある場合には、弁理士に必ずご相談なさって下さい。

9766
質問者

お礼

判例まで載せていただいてありがとうございます。 詳しく説明されてまして、よく理解できました。