工夫のしどころが無限なこと…でしょうか
自分は大道具とは無関係な職業(グラフィックデザイナー)についていますが、趣味として舞台鑑賞が好きだったり、アマチュア楽団のステマネやプレイヤーとして舞台に関わっております。
デザイナーとして舞台美術をみていて楽しそうだと思う点ですが、客席から観てソレに見えさえすれば何でもアリなところです。
舞台美術家と大道具職は立場が違うのを承知で1つの例を挙げます。
妹尾河童さんという舞台美術家がおられますが、ある演劇の舞台でステンドグラスのある部屋だか建物だかを作ろうと考え、あまり色味のない乳白とかベージュとかのガラスをはめ込んだ(ような)建てこみを考えたそうです。(舞台写真を見ましたが、セピアの写真をイメージさせるような渋くてモダンなアールデコの窓でした)その舞台を観たステンドグラスの制作家が「とても素敵なので参考にさせてほしい」と河童さんを訪ねて来られたそうです。「ホンモノを作られる方にはとても参考になりませんよ」と念押しして実物を見せたそうですが、裏側は荷造りにつかうプチプチ(エアパッキン?つぶして遊ぶヤツ)やトレペを貼り付けてそれらしい透過度を作ってあるだけで、ステンドグラス制作家はがっかりして帰ったそうです。
ご質問者様が、どのようなジャンルの舞台に携わられるのかわかりませんが、大道具はホンモノでないだけに限られた予算、限られた空間、重量や材料の制限などの中で要求されるものを実現するか~の工夫のしどころは無限で日々勉強だろうと思います。
「それらしく見せる」「それらしく立てる」「転換が簡単」「1つのものをいくつかのものに変化させられる(立ち木とポストが裏表とか)」
どうやったら実現できるか、考えるだけでワクワクするし(胃が痛くなることもあるかもしれませんが…)現在必要とされてなくても、いつか使えるかも~と思いながらそのアイデアを考えるのはすごく楽しそうですよ。
街を歩いていても「あ、これはアレに使えるんじゃないか?」とか素材やしくみ、構造など色々な点で参考になりそうですよね。
自分の携わるグラフィックデザインも含め、すべてのクリエイター業に共通することかもしれませんが、特に虚構を見せる分野特有の面白さだと思います。
大変なことも多いと思いますが、他の舞台関係分野やクリエイティブ分野につながる仕事だと思います。頑張ってくださいね。
お礼
お忙しい中、長文に渡ってどうもありがとうございました。そうですね、仕事に生甲斐を見出せたらと思って質問させて頂きましたが、勇気が湧いてきました。どうもありがとうございました。