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為替レートの変動と経常収支
為替レートの変動は経常収支にどのような影響をあたえますか?
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通貨政策に携わる国際経済学者のほとんどがコンセンサスとする国際収支調整の基本モデルがある。これは、1960年代にロバート・A・マンデルとJ・マルコス・フレミングが考案したモデル(マンデル=フレミング・モデル)に、インフレと為替変動に対する期待形成を組み入んだものである。このマンデル=フレミング・モデルの修正版は「マサチューセッツ・アベニュー」モデルと呼ばれる(クルーグマンによる命名)。その理由は、米国で現在このモデルを支持する主だった経済学者が、ケンブリッジのマサチューセッツ通りかワシントンのマサチューセソツ通り、あるいはその近隣で活躍していることによる。このモデルを採用している主要機関として、ケンプリッジにはハーバード大学、マサチューセッツ工科大学全米経済研究所がある。ワシントンのマサチューセッツ通りには、ブルッキングス研究所や国際経済研究所があり、この通りから数ブロック離れたところには、連邦準備制度理事会がある。 マサチューセッツ・アベニユー・モデルは、いくつかの重要な関係式にまとめられる。ここでは、もっとも単純なモデルを紹介する。 単純モデルの第一の構成要素は、需要が生産を決定するというケインズ理論である。ある国で生産される財に対する需要は、その国の国内支出と純輪出の和である。国内支出は少なくとも所得と実質金利に依存する。 第二の構成要素は純輪出方程式である。純輪出は少なくとも国内所得と海外所得、実質為替レートに依存すると仮定される。この方程式には、簡単に変数を加えることができる。例えば、需要、支出、生産のいずれにも資産価格や将来の期待所得を変数として加えることができる。ただ、実際には、これらの変数を加えたところでそれほど推定式の説明力は高まらない。むしろ、輪入および輪出がそれぞれ国内および海外の所得に関して一定の弾性値を持つ、という単純な関係式のほうがうまく機能するようである。 また、実質為替レートの純輪出への影響については、ラグを考慮に入れることを忘れてはならない。実証モデルでは、いずれも貿易収支の為替レートに対する反応にかなりのラグが見られる。これは驚くことではない。というのも、輪入企業が輪入元を変更するには時間がかかり、潜在的な輪出企業が新しい市場を探しだして生産を始めるにはさらに時間がかかるからである。多くの実証モデルでは、為替レートが経常収支に与える影響は約2年のラグがあると考えられている。 同時に、通貨の下落はかなり早く輪入価格に転嫁されて輪入価格の上昇を招くということも、多くの実証モデルが示唆している。結果的に、ほとんどのモデルで何らかのJカープ効果の存在が認められている。Jカーブ効果とは、為替レートが切り下がっても当初は貿易収支が悪化する現象のことである。これは、輪入数量が通貨の下落に伴って減少しても始めのうちは、自国通貨建ての輪入金額は価格上昇の影響で見かけ上膨らみ、一方で、輸出も徐々には増加するが、当初はこの貿易収支の悪化を打ち消すには十分増えないことから起こる。標準モデルの第三の構成要素は通常の金融部門である。中央銀行が決定するマネー・サブライ(M)は所得、物価、金利に依存する貨幣需要に等しくなければならない、というものであり、これには異論も少ないだろう。 第四の構成要素は為替レートの決定式である。一般的な関係式は、次のようなものである。投資家は、国内と海外の金融資産の期待取益率が等しくなることを求める。投資家また、実質為替レートが何らかの長期期待レートに徐々に回掃していくと見る。例えば、毎年少しずつ実質為替レートと長期期待レートの差が絡まっていくことを想定してもよいだろう。当然ながら、これは実質為替レートが単に二国間の実質金利差の関数であるということを意味する。つまり、米国の実質金利が日本の実質金利に比べて上昇傾向にあればドルが強くなるということである。(マサチューセッツ・アベニュー・モデルにおける為替レートと経常収支の関係は、為替レートが原因で、経常収支が結果である。逆ではない。)。マサチューセッツ・アベニュー・を完成させるには、物価水準を決定する必要がある。一般的な関係式は、物価水準はあらかじめ決まっているというものである。その次に、インフレ率かが何らかの期待形成を組み込んだフィリッブス・カーブによって決定される。そこでは、インフレ率は潜在的な生産能力と実際の生産水準との差や期待インフレに依存して決定される。期待インフレ率は適応型の期待形成を前提としており、実際のインフレに反応して徐々に調整される。 この標準モデルはIS・LMモデルの修正版であり、そこでは財市場と金融資産市場が同時に均衡することになる。これは動学モデルであり、モデルの動学性は、為替変動に対する輪出
- emikana
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輸入需要の価格弾力性と輸出需要の価格弾力性の合計が1以上なら、為替レートの低下(円安)で経常収支(貿易収支)は改善します。