まず右手はざくろを持っているというのは間違いでしょうね。
吉祥天は起源的にはインドの女神マハーシュリーで、三大主神の一人ヴィシュヌの妃であるラクシュミーの別名とされます。あるいはマハーデービィであって、三大主神の別の一人シヴァの妃であるという説もあります。また仏教の中では、毘沙門天(クペーラ)の妹あるいは妻との説もあります(これはインドの古い伝承に由来するもので日本で勝手に出てきた説ではありません)。又、鬼子母神の娘という説もあります。
その中でも最も有力な説であるラクシュミーは元々幸福の神であり、不幸の神であるアラクシュミーの妹です(ただしラクシュミーとアラクシュミーは同じ神の別の面という説もある)。富と豊饒の神、そして家庭の神でもあります。
日本では主に貴族階級に崇拝され、多数の吉祥天像が作られました。日本の仏像は基本的に色を塗らないことが多いのですが、吉祥天や鬼子母神に関しては彩色の像が多数作られています。吉祥天は七福神に入れられたこともありますが現在はそのラインナップからは外れています。
インドの神話では、昔神様たちが乳海で大きな瓶に綱を付け、みんなで引っ張って撹拌し、そこから甘露(アムリタ)を得た時、その渦の中から手に蓮の葉を持って出現した神とされています。インドの信仰では4本の腕を持っておりそれぞれに彼女のシンボルである蓮、甘露の瓶、ヴィルヴァの実、法螺貝を持つとされますが、通常像を作る時はインドでも日本でも二臂で表現します。吉祥天の持ち物の中で本来一番重要なのは蓮の葉なのですが、日本の吉祥天像では左手に如意宝珠を持ち右手は施無畏印を結ぶことが多いようです。