「弟の主張は、長年姉が管理していた土地だから、たとえ名義が私であっても、姉の財産となり、今回の姉の死亡で相続財産になるとのこと,弁護士にも相談してそのような回答をもらっているとのことです。」
→弟さんの主張は,お姉様が質問者様の土地を時効取得したということのようですね。
民法第162条は,「20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。」と取得時効について定めています。この規定の意味は,改めて説明するまでもないでしょうが,20年間,自分が所有者であるとの意思をもって目的物を占有することで,それが自分の所有物になるということです。
取得時効の効果は,占有開始時にさかのぼります(民法144条)。
本件において,質問者様は,「50年前に土地50坪を購入し、その管理をずっと姉に依頼してました。10年前にその土地に姉が私の許可なく勝手に家を立て、家賃収入を得ていました。」ということですが,お姉様は,質問者様の意思(:単に管理を委託していただけ)にかかわらず,所有の意思をもって占有していたということでしょう。
「固定資産税(土地及び建物)の支払いも姉が行っていました」とのことですが,固定資産税の支払は,裁判では所有の意思があることの証拠とされます。
そこで,ここで書かれたお話だけからすると,本件では,裁判所含む第三者からは,お姉様が,土地を時効取得したとされる可能性が高いでしょう。
質問者様がお姉様の時効取得を否定するには,その要件である平穏な占有の継続を否定するために,自分が所有者であるとして返還を求めて争ったことがある等の証拠を持ち出す必要があるでしょう。
時効取得がなされた場合,土地はお姉様の遺産となりますが,「姉には配偶者、子供もおりません。未婚でした。」とのことですので,質問者様含めお姉様のご兄弟が相続人となります。(※ちなみに,異父兄弟の相続分は,それぞれ,父母を同じくする兄弟である質問者様の相続分の二分の一になります(民法900条4号ただし書)。)
さらに、「遺言で土地も建物も弟所有になる旨の文書も存在するようです。」とのことなので,それが事実であれば,遺贈または遺産分割方法の指定(民法908条)として,土地は弟様の所有物となります。
兄弟姉妹には相続財産に対して遺留分(民法1028条)がないので,被相続人が,仮にある人に全部の遺産を相続させる遺言をしたとしても,その遺言が遺留分を侵害しているとして訴えることはできません。
ここで,よく分からないのが,弟様の「格安で譲らないと裁判を起こす」という主張です。
弟様としては,土地は遺贈等により自分のものとなるのだから,「格安」の価格であれ,もはや購入する必要はないはずです。
だから,実は,弟様に遺贈等する旨の遺言がないのかもしれません。
仮に,弟様に遺贈等する旨の遺言が無いとすると,土地は,相続人間で法定相続分を持分とする共有となります(民法898条)。
「譲」れというのは,ANo.2の方がおっしゃるように,弟様が他の方の持分を買い取るという価格賠償による遺産分割(民法258条2項参照)を求めている可能性があります。
そして,「格安」という意味は,これもANo.2の方がおっしゃるように,体調を崩したお姉さまの面倒をみたことによる寄与分(民法904条の2)を主張されているとも思えます。
寄与分については,あくまで相続人間の協議により決定しますので,あとは,できる限り弟様の寄与分を小さくし,価格賠償による遺産分割なるとしても,「格安」にならないような協議を成立させるしかありません。
以上のようなことを参考にして,市町村の無料法律相談や法テラスの紹介する法律相談を受けられてはいかがでしょうか?
お礼
ありがとうございました。とても参考になりました。一度無料法律相談を受けてみようと思います。