●「難度の高い資格取得に成功した人物がすぐに専門の独占業務を開始しない」という視点での回答
とくに、おかしくないです。
司法研修所を出てから総合商社に直行し、契約法務の実務経験を積んでから退職して留学、米国の会計士資格をとってから帰国して弁護士開業、企業間の契約や紛争の場で活躍している人物と仕事をしたことがあります。はっきりしたキャリアビルディングが成果を結んでいて、特別な珍品ではありません。
公認会計士試験に合格した新卒は多くはありませんが、めったにいない、というほど珍しいものでもないです。平成19年の論文式試験合格者数は2000人を大きく超え、その6人にひとりくらいが現役の大学生さんです。公認会計士試験合格者は大手監査法人のどれかに就職を決めるのが一般的ですが、大手監査法人でのキャリアパスはいわゆる「終身雇用」のイメージには遠く、出世コースから外れた人物は、適当な年齢で自然と退職を選ぶしくみになっています。その多くは独立し、「公認会計士事務所」の看板にプライドを記念して、残りの生涯は税理士業務に費やします。そのようなキャリアパスを「堕落」ととらえ、一般企業で独自のキャリアビルディングを開始する学生さんは珍品に入りません。普通です。
●「目だった材料を持つ応募者を選考する採用担当者」の視点での回答
とくに、おかしくないです。
名の売れた大手企業ですと、「文I現役合格」とか、「有力な若手政治家と同姓同住所」など、派手なレジュメを目にする機会が少なくなく、だんだん慣れてきて、驚かなくなります。上記のような学生さんは特別慎重に選考するグループに入れられるでしょうが、「公認会計士試験合格」くらいですと、業種にもよりますが、「一芸持ち」のグループに入れられる程度で、ごく普通の選考対象者となりましょう。
幸福なご就職を祈ります。