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フルトヴェングラーとカール・ベームの違い
フルトヴェングラー(1886-1954)は死後50年経過した今日でも何かと引き合いに出され 語り継がれています。死後も特に日本では高い人気と評価を持続していると思います。 一方,カール・ベーム(1894-1981),ウィーン・フィルと来日していた当時の日本での人気は 絶大なものでした。下記,「指揮者としての経歴」の1964以降と,「カール・ベームの死」に あるように現地オーストリアでも高い人気がありました。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%A0#.E3.83.99.E3.83.BC.E3.83.A0.E3.81.A8.E6.97.A5.E6.9C.AC ドイツでも人気が高く,ウィーンとを結ぶ特急電車にカール・ベーム号と名付けられた ものもありました。 しかし,カール・ベームの死後,その人気は急速に衰え,大物指揮者としての存在感が なくなっています。ベルリン・フィルやウィーン・フィルとの録音も多く残し, フルトヴェングラーに比べると録音状況は段違いに良好であるにもかかわらず, 影が薄くなっています。この理由は,どんなところにあるのでしょうか。
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あくまで、私個人のアバウトな私感です。 多くの形容詞や例えを省いた感想ですが、 フルトヴェングラーは、彼が登場する以前には評価されていなかった曲までもが、魅力を持ち聴き応えのある曲として、認識される様になった感がある。 そして、存在感の在った曲も、彼に因って、新たな感性を呼起こした。 独り言ですが、何故でしょうか?フルベンのレコードをセットする時は、誇張表現ではありますが、鼓動が高まります。何か新発見が出来そうな、そんな感覚でしょうかね(笑い)!でも、心が疲れていたり痛んでいる時は、良薬になるか毒薬になるか??だから面白い!! カール・ベームは、アーティストではなく、名プロデューサー!別な言い方で形容するなら芸術家と言うより職人(匠)!それはそれで存在感は有るけれど、何度聴き直しても新たな発見をさせてくれると言う演奏ではないように感じています。 と、書いた、私ですが、ベームのレコードも多数持っています。但し、聴く時の心のスタンスは、発見やエキサイティングな事を望むより、高級なBGM的安定・安心を求めている様な時によく聴いている様に思います。
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- Ta595
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こんにちは。 私はベームが人気絶頂だった頃はまだ小さな子供でしたので,直接はそれを知らない世代ですし,フルトヴェングラーの録音も例の第九をはじめとして,ごく限られたものしか聴いた事がありませんので,大した答えはできませんが。 「ベームはスタジオ収録ではなくてライブに触れなければ真価が分からない」というのをどこかで聞いて(Wikipediaにもそれらしいことが書いてありますが),いくつかライブ録音を聴いてみたものですが,オーケストラの違いによるものなのか,収録とライブの違いなのか,その辺りはよく分かりませんが,確かに,一般的には職人肌で地味と思われているベームが,彼らしさを保ちながらもなかなかに気合の入った演奏を繰り広げていて,ちょっと意外な感じがしました。 例えば, ☆R・シュトラウス 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」他 (ベルリンフィル) http://www.hmv.co.jp/product/detail/1414788 ☆ブラームス 交響曲第2番 (ベルリンフィル) http://www.hmv.co.jp/product/detail/1854302 ☆ブラームス 交響曲第1番 (ベルリンフィル) 個人的にはとても好きな録音なのですが,購入できるサイトのURLは見つけられませんでした。申し訳ありません。 一応こちらはご参考までに。 http://classic.music.coocan.jp/sym/brahms1.htm こうした録音が他にも発掘されていけば,評価もまた変わってくるかもしれませんね。来日公演のライブ録音も,私は未聴ですが,なかなかに凄いらしいですよ。 (ただ,発掘してもらうためには,一般の評価が上がり商業ベースに乗るめどが立たなければならない,というジレンマもありますが・・・) 存命時には人気があったけれども今は・・・というのも,彼のライブに触れることができなくなってしまい,残された録音は必ずしも彼の最良の姿を残しているとはいえないかもしれない,というのも関しているかもしれないな,と思いました。 こちらもまたご参考までに。 http://www003.upp.so-net.ne.jp/orch/page142.html
お礼
レコードジャケットのデザインまたは背景の色が記憶と違うのですが, 好んでよく聴いていたブラームスの1番はステレオ録音,BPOだったので たぶん,これではないかと思います。全体的に濃いセピア色のジャケット だったと記憶しているのですが。(国内盤LPでは) http://www.amazon.co.jp/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9-%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA/dp/B000CSUWHG/ref=pd_sim_m_3 私は評論家たちが絶賛するミンシュ&パリ管を買いましたが, 重苦しく沈んだ感じが好きになれず,友達が持っていたベーム盤を借りて 何度も磨り減るほど聴きました。 確かに晩年のベームとは違った生気に満ちた緊張度の高い演奏ですね。 その当時のベームに対する印象をずっと忘れていましたが, その頃は鋭い人という印象がありました。……今,思い出しました。 ブラームスの1番のVPOとの東京公演も良かったです。 私は残念ながらテレビで聴きましたが,生で聴いた友達はたいへん感動していました。 東京公演がすごく良かったので,ブラームスの全集が出るという情報も早くからあり, 全集が出るとすぐに買いましたが,そちらは期待外れでした。 ライブとレコーディングの違いでしょうか。 私の中では晩年の(元気がない)イメージが強く残っていて,好印象だった頃の記憶が 薄れていますが,BPOとのブラームスの1番を何度も繰り返し聴いていたときの ことを思い出すと, >こうした録音が他にも発掘されていけば,評価もまた変わってくるかもしれませんね。… ということかもしれませんね。 ブラームスの1番に初めてぞぐぞくっとしびれた頃のことを思い出しました。 ありがとうございました。
- firtree
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フルトヴェングラーには、マニア化してしまう要素が多分にあるように思います。 一つは、演奏スタイル。 あの熱狂的で陶酔的な演奏スタイルや、晩年はともかく、ライブにこだわった彼の演奏哲学が、 最近のクラシック潮流になじめないある年代の人々を今でもひきつけてる要因の一つになっていて、 そういう方々の言説(例えば宇野功芳さんとか)が、今でも彼のある種のカリスマ化を持続させてるように思います。 もう一つは、彼のレコーディングがライブ録音が多く、またその出来不出来も激しいので、 「何年何月の録音は、何年何月の録音に比べ云々・・・」みたいな議論になりやすく、 なんといいますか、年代ものを物色するカーマニアとかワインマニアみたいな、 「マニア心をくすぐる」要素ができてしまってるように思います。 …本人の意図したところではないのでしょうが。 カール・ベームには、そういうマニア化しやすい要素って、あまりないんですよね。 個人的には、好きな指揮者なんですが。 カラヤンの話が少し出たので、ちょっと触れると、 生前のカラヤンは、録音が大量にあることと、そのどれもがそれなりのクオリティを保っていることなどから、 口さがない連中から「大量生産・大量消費の悪しき資本主義の権化」みたいな悪口を言われていたようですが、 そういう彼の特筆が、最近の「クラシック音楽のイージーリスニング化」の中で、 フルトヴェングラーとは全く違う形で彼の音楽は生き続けるのではないでしょうか。 「ADAGIO KARAYAN」というアルバムが大ヒットを記録したことからも、そのことが伺えます。
お礼
>晩年はともかく、ライブにこだわった彼の演奏哲学が、 >最近のクラシック潮流になじめないある年代の人々を今でもひきつけてる要因の一つになっていて… フルトヴェングラーが,もう10年長生きしていれば,録音技術,再生機器の進歩,レコード販売の 商業的な波などの変化で,どう変わっていただろうとふと思いました。 >彼のレコーディングがライブ録音が多く、またその出来不出来も激しいので、… 「マニア心をくすぐる」要素… 私の感覚からすると,今の時代に,あの録音(音質)でも人気があるのはマニアックな気がします。 出来不出来が激しいというのも,考えようによっては魅力的なのかもしれません。 カラヤンのライブ録音では,ベートーヴェンの英雄をベルリン・フィルでもこんなに崩れることが あるのかと驚くほど酷い演奏をラジオで聴いたことがあります。35年ほど前ですが。 そうかと思えばDVDになっている80年代の英雄も確かライブですね。 こちらの方は気迫に満ちたすごくいい演奏だと思いました。(無修正なら) カール・ベームは,仰る通り,マニア化しやすい要素がないのかもしれません。 モーツァルト=カール・ベームのようなイメージがあって当時はレコードをたくさん買いましたが。 ご回答ありがとうございました。
- hornman
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35歳の若輩者です(笑)。 馴染みのレコード店店主が言っていたのですが、レコードの誕生以降、「録音されて繰り返し聞かれること」によって、指揮者は細部にわたって完璧な演奏をすることを要求されるようになり、そのことに最も上手く対応したのがカラヤンであり、その次はベームだったという印象だそうです。 ですが、そもそもベームは現場でも完璧主義者で、特にレコード時代に対応してそういう結果になったわけでもないそうです。 私がクラシックのレコードを聴くようになった頃には、既に「録音した演奏は完璧なもの」ということが当たり前になっていて、そんな中でベームの盤は聴き込まないと良さが解りにくい地味なものという印象です。この辺りが世代によって印象がずいぶん違うなと感じます。 対してフルトヴェングラーは戦中のドイツにおいて自己を貫いた武勇伝も加え、ライブ録音主体で、結構場当たり的な「ノリ」によるムラも多いです。しかし、私から見ればそれはとても「カッコイイ」のです。私の世代だとクラシックというものは「芸術」で、「厳かに鑑賞するもの」という固定観念がありますが、フルトヴェングラーの録音は、それが当時はそうでなかったことを克明に伝えてくれます。観客の熱狂とともに彼は音楽を創っていたのだと思えます。 つまり、そつの無い録音が主体の現在ではフルトヴェングラーの録音は「新しい」と感じるのです。逆にライブ録音主体だった頃にはベームの細やかに行き届いた音楽が新しかったのではないでしょうか?(あくまで想像でしかありません…私に知る由がありませんし…) 聞きかじりで生意気なことを書きました。ご気分を害されましたらお詫びいたします。私の雑感ですのでご参考までに。
お礼
ありがとうございます。 >録音した演奏は完璧なもの…… ライブ録音ではなく,レコーディングのための演奏なら,確かに意識は変わりますね。 何度も繰り返して聴かれるものですから。 >ベームの盤は聴き込まないと良さが解りにくい地味なものという印象…… 人気が高かった当時は,その地味さが「正統派」だと思っていましたが,確かに「地味」です。 急激な人気の低下は,そこにもありそうですね。 >私の世代だとクラシックというものは「芸術」で、「厳かに鑑賞するもの」という固定観念がありますが…… これもベームの雰囲気に当てはまるかもしれないと思いました。 >フルトヴェングラーは場当たり的な「ノリ」によるムラも多いです…… >観客の熱狂とともに彼は音楽を創っていたのだと思えます。…… フルトヴェングラーの演奏は場当たり的で躍動している。 しかし,ベームは完璧さを目指したために身動きができないほど固まってしまったのかもしれませんね。
- ASAYOSHI
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「商売になるかならないか」じゃないでしょうか。 少なくともフルトヴェングラーに関しては、いまだにたいていの「評論家」さんがベタぼめしてくれます。メディアに名前が出る機会も多ければ、商売を当て込んでいろいろ発掘してくれる現地のレコード会社もある。 ベームがどうこうではなくて、どの指揮者を連れてきても、「売るための努力」はフルトヴェングラー以上に必要になりそうです。まあ、あと30年くらいしたら、カラヤンあたりが似たようなところにいるでしょうが、おそらくその頃でも、フルトヴェングラーは不動なんでしょうね。 私は、フルトヴェングラーの偉大さを否定するわけではありません。しかし、彼の実力がホンモノだとしても。仮に、ほとんどの評論家が「フルヴェン、フルヴェン」と言わなくなったら、彼のレコードを買う人は10分の1くらいに減るだろうし、買った3割くらいは「聴いても、良いと思わない」んじゃないでしょうか (数字は適当です)。 かように、大衆は、マスコミに扇動されやすいものです。 これからも、商売人は、死んだ音楽家のいろんな伝説をつくっていくんでしょうね。
お礼
当時のベームの絶大な人気はマスコミを通じて伝わってきましたので 私もマスコミに踊らせられた一人ですね。 ベームの新録音が発売になると聞くと,その日が来るのが待ち遠しかったです。 音楽を聴き始めた頃は,評論家たちが口を揃えてカラヤンのことを悪く言うので, 評論家たちがお勧めのフルトヴェングラーやワルターを買っていました。 カラヤンのレコードを初めて買うまでに時間がかかりました。これもマスコミの影響ですね。 ベームはフルトヴェングラーよりも商品(録音)がたくさん残っているのに, 「売るための努力」がされないのは不思議です。 フルトヴェングラーは,バイロイトの第九のスペア録音のように発掘までしないと商品数が 少ないにもかかわらず,大事にされていますね。これも不思議です。 ご回答ありがとうございました。
お礼
>フルトヴェングラーは、 良薬になるか毒薬になるか??だから面白い!! そんな観点もあるのですね。実は私はフルトヴェングラーの音楽の作り方に ひとつのパターンがあると気づいてから興味をなくしてしまいました。 とは言え,ラジオでベートーヴェンの第九を聴いて,「いい演奏だな,誰のかな?」 なんて思っていたら聴き慣れているはずのフルトヴェングラーだったこともあります。 良薬になるか毒薬になるか??をカール・ベームに当てはめると, 効き目の穏やかな,効いているのか効いていないのか分からない 漢方薬を連想してしまいました。 >エキサイティングな事を望むより、 そうですね。正統派という印象をメディアから受けていたと思います。 その当時は,伝統的,正統派はこんな感じ(エキサイトしない)なのかと思っていましたが, 指揮をする姿も音楽も確かにエキサイティングではないですね。 ありがとうございました。(先日もありがとうございました。ラフマニノフの2番,もうすぐ入手の予定です。)