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ヨハンの目的とは?MONSTERの魅力とは?
- 浦沢直樹作「MONSTER」の魅力を紹介します。様々な展開や伏線の張り方、設定の面白さに触れます。
- ヨハンの目的と行動について明確な答えを求める難しさについて言及します。彼が511キンダーハイムで育った経緯や人を殺す理由についても考えます。
- ヨハンが最後に自殺しようとした理由についても謎があります。作品の解釈には個人の理解力に依存する部分もあるので、回答者の推測も歓迎します。
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こんばんは。 しばらく前に「どっぷり浸かって」読破した者です。 この質問を拝見して、読み返そうとしたら。。。夫がオークションで「売り捌いた後」でした。。。涙 なので、「抜けている記憶」がある事と、かなり「私的な見解」かも知れない事をあらかじめお断りしておきます。 「ヨハンの生きる目的」は何度か変化します。 その「根拠(理由)」となるポイントを挙げて行きますね。 (主に「心の闇」を形成していきます) *ヨハンとニナは、「政略的な」子供です。本来、「子供」と言うのは「愛情に基づいて」生まれてくるのに、彼らは「生まれながらに蹂躙された」子供です。 *ボナポルタによって「三匹の蛙の家」から連れ去られる時、母親が「自分を捨てた」と絶望する。(実際はニナが経験した事ですね)(「絶望」から「漠然とした暗黒」に生きるようになる) *同じく、「赤いバラの屋敷」での実験の体験と、その後に遭遇した虐殺現場の恐怖。(ニナの体験を「自分の体験」として成長する。「暗黒」の深化) *「三匹の蛙の家」からニナと共に逃走。(ニナと二人で生きて行く覚悟と私は読みました) *しかし、国境近くで「保護(拉致?)」。記憶に刷り込まれていた「ヨハン」の名前を与えられ、「アイデンティティー=ヨハン=怪物」となる。(「暗黒」に生きる事を「決定され」、同時に「自ら決意」した時) *511キンダーハイムでの「教育」。(「教育によって」ヨハンが「造られた」のでは無く、単に「具体的な能力を強化した」に過ぎない、と私は読みました) *「怪物」の自覚の下、511で得た「能力」を駆使して、「自由を得る」(=511の「崩壊」ですね。「希望=明るい世界」への「最後の試み」では?) *ニナと共に、養子となり、西ドイツにやって来る。(この時彼は「明るい世界」を求めていたのでは?と思っています) *ボナポルタの来訪により、「混乱」を起こし、全員射殺。(「望み」が打ち砕かれ、再び「暗黒」に染まる) *更に、ニナに露見した事で、絶望。ニナの手による「自己の抹殺」を試みるも失敗。(ニナの「嫌悪」が、「決定的な自己否定」となった?) *テンマの「願い」を実現し、「恩返し」した後、ニナと再び逃亡。 (直後にニナと別れ、「成長した暁に」迎えに行く約束) *その後の「罪の数々」。(これらは「立派になって、ニナを迎えに行く」「資格」を得る為の、「修行」だったのでは?) *ニナを迎えに行くも、ニナは彼を理解せず。 「自分とニナの絆」を「納得させる」と言う「目的」になってゆく。 *「赤いバラの屋敷」の体験が、「ニナの記憶」であった事を知り、「アイデンティティーが崩壊」する。(「崩壊」の結果、として、再び「自己の抹殺=完全なる自殺」を望むようになる) *「自分を知る全ての人間の抹殺」を試みるも、土壇場で「失敗」。 *「目覚めた」彼の「目的は??」と「問いかける」形で、完結。 こんな感じではないでしょうか? 「子供の絶望」と言うものの「純粋な深さ、重さ」が生んだ「怪物」ではないでしょうか? 「親」に「否定」される事の取り返しのつかない「重大さ」を、私はひしひしと感じました。 最後に「母親」が「愛」を確かに示してくれましたが、ヨハン自身が「もう遅い」と言っていますね。ニナはフォルトナー夫妻に「充分な愛情」を与えられて、「怪物」にならずに済みました。でもそれは「ヨハンが我が身を犠牲にニナを守った」と言う事なのかも知れません。 現在、「子育て中」の母親として、責任の重さを自覚した作品でもあります。
お礼
早速ご回答ありがとうございます。 ニナの体験の全てをヨハンが自らの体験として 互いに記憶を刷り込ませる、入れ替えることで ニナは怪物にならずに済んだ… そして代わりに怪物となったヨハンの中に、 怪物=アイデンティティーとなって、 次々と事件を起こすが、 ニナに会い、全てはニナが体験したことだと知り、 アイデンティティーが崩壊… そして完全なる自殺へ… 確かに納得できますね! yukkinn66さんの回答を見て思ったことがあります。 物語の中にボナパルタの絵本がいくつか出てきますが、 その中にへいわのかみさまというのがありました。 神様がヨハンという子に帽子をもらって被り、 鏡を見たらそこには悪魔が映っていて、 神様は自らを殺してしまった… 君は僕で、僕は君、 まるでDrテンマの病院に運ばれた時のことを 示しているかのようです。 帽子がリーベルト夫妻の殺害、きっかけになり、 それによってニナがヨハンの正体を知ると同時に、 君は僕で、僕は君との言葉通りに、ヨハンを撃った… もしかしたらボナパルタの絵本が ヨハンとニナの将来の行動をコントロールするための 洗脳道具だったのかも… もしくは、ヨハンは読み聞かせられた絵本の中に 出てくるヨハンを照らし合わせながら行動しているのか… ヨハンの行動が受動的か能動的なのかはわかりませんが、 絵本が大きなポイントになるのかもしれませんね。 ニナだけは結果的にフォルトナー夫妻によって怪物にならずに済みましたが、 そう考えると、ボナパルタの言う「実験」の意味がわかります。 yukkinn66さんのおかげでMONSTERの世界を読み解くきっかけを 見つけられたかもしれません。 改めて浦沢直樹さんのすごさに触れられそうです。 ありがとうございました。 私なんかが言うのも何ですが、子育て頑張って下さいね!