続きです。
6 45~58「れきしの おもみに まけずに しぜんの つらさに まけずに やせただいちに しっかりと ねをおろし」
○テンポは132です。速すぎないように注意しましょう。指揮者はテンポ設定を正しく。
○男声は「れきしの」の音が低めなので、「れ」←舌を上顎にあてて準備をして「ぅれきし」というように発音し、つぎの「き」の「K」、
「し」の「S」などの子音もしっかりと発音しましょう。
○「おもみにまけずに」が「おもみにっまけずにー」にならないように。
○ブレスの位置は楽譜に書かれたとおり。作曲者がそこでブレスをするように指定したのには意味があります。勝手に変えないこと。
○46~53は一言一言はっきりと歌いましょう。そして「やせたー」からはレガートで。その後やせた大地にからはまた一言一言をはっきりと。
○「やせた(女)」<「やせた(男)」<「やせた(女)」<「やせた(男)」<「やせた大地に(全員)」のcrescendoをクラス全員で
感覚をそろえて盛り上げましょう。
○しっかりとねをおろしはdecrescendoが書いてあるが、大きいままでもよい。音が下降音形なので自然にdecrescendoになってしまうで
しょうから、あえてだんだん弱くしようとは思わない方がいいです。
○「しっかーりと」の「しっ」を言った瞬間からテンポが変わります。指揮者の腕の見せ所。
7 59~74「まえあしで だいちをほりおこせ」
○ややこしい部分です。ゆっくり丁寧に練習しましょう。
○バスから始まります。正確に、堂々と、mfくらいで歌い始めては?
○だんだん速くなっていきますが、その「速くなり方」を各パートでよく揃えましょう。
○だんだん大きくなっていきますが、その「大きくなり方」も揃えましょう。
○ブレスの位置は楽譜の通り限定です。伸ばす拍数も正確に。
○前足でという同じ言葉を繰り返すので、同じ言い方ではすぐに飽きられてしまいます。
どう変化をつけていくのか、クラスやパートでよく話し合って決めていきましょう。
○25回出てくる「前足」でという言葉は、「大地を掘り起こせ」という言葉に向かっているのです。無目的に「まえあしでまえあしでー」と
歌っていると知性を疑われます。
○73で「おこ」といった瞬間からリタルダンドが始まります。ここも指揮者の腕の見せ所。合唱のみんなもそのことをよく理解してないと
揃いませんよ。
8 75~83「きたのー はてをー いきぬくためにー きたのー こうやをー いきぬくためにー」
○「北の果てを // 生き抜くために // 北の荒野を // 生き抜くために」の言葉のつながりと意味を考えて歌いましょう。
2回目の生き抜くがこのフレーズのヤマです。
○生き抜くという言葉が2回出てきます。この言葉の意味をよく噛みしめて、聴く人に伝えられるように。そして2回目の方が音が高くなっている
意味をよく考えて歌いましょう。孤独だけれどたくましく、つよく、派手さはなく、みたいな感じを出してください。
○生き抜くの「K」と「N」を丁寧に発音しましょう。
○あとは1と同じ。美しい女声合唱を作り上げましょう。
9 84~89「かんめよー せつげんにいななけー」
○最後の最後に、この曲の「題名」を全員で歌います。万感の思いを込めて一言一言噛みしめるように歌いましょう。言葉の子音を
しっかりと発音して。
○=152が速すぎないように。ここも一言一言噛みしめるように。
○最後の「いなーなーけー」の伸ばしはnon decrescendo。ピアノの「チャーン」と同時にバシッと切る。
「いなー v なーけー」でもよい。
○腹の支えをしっかりして、喉を絞めた声にならないように気をつけましょう。あくまでもオペラチックに。口の奥(喉のほう)を縦長にあけるような
感覚で発声しましょう。
○厳しい自然を生き抜いている寒馬たちよ、この荒涼とした凍てつく大地の上で、生命の叫びを上げよ!力強い生命を誇示せよ!!という
フレーズです。
清水暢夫(しみずのぶお)作詞 黒沢吉徳(くろさわよしのり)作曲の混声三部(部分四部)合唱。北の貧しい土地にたくましく生きる野生の馬を
ドラマチックに描いた秀作。
全体として大切なことは「(1)ブレスの位置」「(2)ブレスの前の声が短くならないこと」「(3)詩を何度も音読して、言葉のつながりや意味を理解して
歌うこと」です。
ピアノは「伴奏」というよりも「合唱と対等に」ともにひとつの音楽を作り上げる重要な役割を担っています。テンポ設定や左右のバランス、
そして合唱とのバランスを考えて劇的に弾きましょう。そして指揮者と同じくらいこの曲を理解していないといけません。
※ブレスをしないということは、ただつなげればいいということではありません。言葉の意味を考えて、その言葉の最初のひらがなを大切に
したり、アクセントをつけたりという工夫をしましょう。そして、意味もなくつながっていることがないようにしましょう。
※このレベルの合唱曲を歌うのに必要なのは「オペラチックな発声」でしょう。(要するに響きのある声で歌おうっていうこと)一人ひとりが
響きのある声ということを意識して、イメージを持って声を出しましょう。
これで全部です。お役に立ったら嬉しいです。