質問者さんの疑問はもっともで、いくら最初は滑空程度とはいえ、ある程度の羽(翼ではなく羽、羽毛)が生えていなければ滑空できるわけもなく、それほどの羽が突然に生えるはずもないですね。我々の腕に羽が何本か生えたとして、進化に要する時間は何万年何百万年です、後何百万年するともっともっと羽が生えてきて空を飛べるようになるからと、その役に立たない数本の羽を何百万年も後生大事に持っている生物などいるはずもないです。
羽の役目を考慮するときに忘れていけないのは羽はもともと、空を飛ぶために生まれたのではなく、保温のための道具で有ったということです。今でも、トカゲとか昆虫とかが寒いときに朝太陽にあたってで体を温めていますが、昔でもこうした光景は見られたことでしょう。そして、将来空を飛ぶ動物になるであろう動物の先祖の生き物の腕に生えた羽は太陽の光に当たる面積を増やして体を素早く温めるために役立ったろうと推測されてます。この辺はS.グールドのエッセイ(”パンダの親指”始めたくさんあります(ほとんど早川書房)。どこに書かれていたかたくさんありすぎてすぐには私は探せないので、興味があったら済みませんが探してください。進化に関するおもしろい話が満載されてますから、進化に興味があったら読んで損は有りません。)に、書かれている話です。ただし私、細かいことはおぼえてませんし、ひょっとすると不正確な事を書いているがあるかもしれませんが勘弁してください。
そのような先祖動物にとって、腕に羽をはやす事は体を素早く温めるということで生存に有利に働いたことでしょう。さてグールドが書いているのですが、その先祖生物にある時突然ダウンサイジングを起こした個体が現れたのじゃないかと言うのです。つまり遺伝的に体の大きさが小さくなった個体が出現したというのですが、これは人間でもよくみられますね。イヌを見てもわかりますが体の大きさは結構簡単に大きくなったり小さくなったりします。
その先祖生物の体の大きさが突然全てそのまま半分に成ったとします。その場合、体積(体重)は8分の1になりますが、羽の面積は4分の1にしか成りません。つまり、そのダウンサイジングを起こした個体にとっては、体重に対して羽が2倍に大きくなった事を意味します(そして、体の全てが正確に半分になるとは限らない、羽の大きさはそれほど小さくならないと言うようなケースだってあり得たでしょう)。そのようなダウンサイジングが起こると一気にそれまで体を温めるしか能の無かった羽が突然空を飛ぶ(まあ、最初は滑空でしょうが)道具に変身できるだろうとグールドは推測しています。
このようなことで納得してもらえますか?