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「お」列長音表記の小学国語教育での手法・実情を教えてください
お世話になります。普通の父親をやっております者です。 関連カテゴリでも、何度も話題になっている、「お列」長音の表記について、小学校では、通常どのような学年、シチュエーションで教育されているか知りたいと思っております。(関連質問 No.380779、No.280555、No.101414 etc.) 実は、私は、ほとんど日本での小学校教育を経験しておりませんで、そのせいか?それとも、不真面目だったせいか?青年期になってから、「お列長音」に例外表記「通り=とおり」「狼=おおかみ」「氷=こおり」・・・などがあることを知り、かなり驚いた記憶があります。 助詞の「は」「へ」「を」などは、くりかえし教えられた記憶が鮮明なのですが、「お」列長音の表記になると、どう教えられたか?まった思い出せません。 今、子供たちがそういうことに興味をもつ年齢になり、どう教えるのが通常の手法なのか?わからないでいます。 できれば、こうゆう由来があって例外があり、規則はこうだ・・・と明確に教えてやりたいと思うのですが・・・。 現在小学校でどのように教えることになっているか?実情も併せてご教示いただければ幸いです。
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説明不足で申し訳ございませんでした。 小学校一年生の一学期(いわゆる入門期段階)の国語科では、言語事項として、促音 (小さい「っ」)、拗音 (小さい「ゃ・ゅ・ょ」) や助詞の「は・へ・を」等と並んで、長音 (伸ばす音) の発音と表記の基礎的なことを指導することになっています。 長音の指導では、「おばさん」と「おばあさん」、「くき」と「くうき」とでは、発音も書き方も違うことに気づかせ、語や文として読み書きする学習の積み重ねの中で、次第にその規則性に気づき、身に付けていくことが目標とされています。 ただ、こと、オ列の長音に関しては、No.2でも書きましたが、「王様」は「おうさま」なのに、なぜ「大きい」は「おおきい」なのかという疑問を持つ子が居たとしても、すぐに「王」と「大」の漢字を習いますので (いずれも一年生配当漢字)、仮名で書く必要性が薄れ、疑問として持続しないのです。これが、助詞の「は・へ・を」の場合ですと、誤った書き方をすれば日常の言語生活に支障を来すことを子供なりに実感しますので、大抵の子は一年生のうちに表記法として定着します。 オ列長音の仮名表記の原則と例外を、知識として取り立てて指導する機会は、現在のところ、小学校・中学校を通じて、無いというのが実状のようです。 このサイトで、「通る」は「とおる」と「とうる」のどちらが正しいのですか? というような質問がなされることが、それを端的に物語っているのではないでしょうか。
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- shino911
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現場教員ではありませんが、No.280555で回答した者です。 オ列長音を「お」と表記する語の原則としては、ninnnnikuさんの回答にある『現代仮名遣い』に記載のとおり、「歴史的仮名遺いでオ列の仮名に「ほ」又は「を」が続くもの」ということなのですが、歴史的仮名遣いが遠くなった現在、この区別は教えるにも学ぶにも困難ですね。 ただ、日常しばしば用いられる言葉は、『現代仮名遣い』に挙げてある22の語例程度を暗記しておけば事足りるものと思われます。この程度の暗記は、旧かなづかい時代の一語一語のかなづかいを覚えた苦労(私は経験してませんが)や、英語のスペリングを暗記する苦労に比べれば、さほど大変なことではないと思います。 助詞の「は・を・へ」に比べて、オ列長音の表記が、子供のみならず大人になっても迷うことが多い理由として、助詞の「は・を・へ」は漢字がないため、必ず仮名で表記し、しかも使用頻度が高い。それに対して、他の多くの言葉は、漢字に隠れて仮名遣いがさほど目立ちません。そのため、「氷 (こおり)」「通る (とおる)」などの語は、一度漢字を覚えてしまえば、仮名で表記する機会がめったにない (したがって仮名遣いを意識しなくなる)、ということが原因ではいかと思うのです。 よって、小学校段階でも、「は・を・へ」はうるさく指導するが、オ列長音表記の方は、教える側に問題意識 (と言うか必要性) として持っていない人が多いため、定着があやふやのまま成長するということになるのでしょう。 オ列長音と並んで問題とされるエ列長音にしても、「時計 (とけい)」「映画 (えいが)」など、 エ列の仮名に「い」を添える方が本則で、「お姉さん (おねえさん) 」が例外であるとマジで思ってらっしゃる現場の先生もいらっしゃるくらいですから。 私見ですが、「う」と「お」の区別を教える際の一方法として、「お」と書くものは、例えば「通る」は「トール」ではなく「ト・オ・ル」と、はっきり二重母音として発音させる、というやり方もあろうかと思います。 また、中学年段階くらいになれば、「お」と書くものは、訓読みに限られ、音読みには出てこないということも教えてよいかと思います なお、長音表記については、小学校一年生の一学期に指導することになっているかと思います。 日々、お子さんたちに直接ご指導に当たっておられる現場の先生方に対して、 失礼に当たる表現、申し訳ございません。何とぞご海容くださいm(__)m
お礼
ご回答、どうもありがとうございます、そして、お呼びだてしてしまったようなカタチになりまして、恐縮です。 >「氷 (こおり)」「通る (とおる)」などの語は、 >一度漢字を覚えてしまえば、仮名で表記する機会が >めったにない (したがって仮名遣いを意識しなくなる)、 >ということが原因ではいかと思うのです 適切なご指摘、ありがとうございます。その「とおり」なのだろうと推量いたします。 私が少年時代、迷ったのが「そのとおり」と「似たものどうし」がどうして片や「oお」で他方「oう」なのか?ということでした。このあたりも小学生には暗記させるしかないところが、ちょっと悲しいです。音読み・訓読みもこのあたりになるとかなり難しいですし・・・。 >長音表記については、小学校一年生の一学期に指導する >ことになっているかと思います。 これは、「お列例外」も同時に1年生の時にすべて指導されるわけではないですよね?、予想なんですけど、「通」「氷」などの漢字を学習したときのルビとして教育されるような気がするのですが・・・?? 丁寧な書き込み、どうもありがとうございました。
- ninnnniku
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「オオ」の表記について、まず由来と例外表記の理由から説明いたします。 この問題は、戦後に国語審議会が決定した「現代かなづかい」に端を発します。昭和21年11月16日の内閣告示第三十三号により、「オオ」と発音することばの表記は「おう」と制定されました。これらは、旧仮名遣いでは「あう」「わう」「あふ」「はう」と表記されていたものです。例外表記「おお」についても何らかの言及がなされているのですが・・・参照したサイトが文字化けを起こしていたため、引用することができません。無念。 また、制定から40年、昭和61年7月1日の内閣告示第一号により、現代仮名遣いの規則が改められます。現在使われている表記法はこの告示に基づいています。(全文が載ったサイトを参考URLに挙げておきますので、ぜひお目通しください) 以下、本文から抜粋して引用します。(一部レイアウト等に手を加えてあります) 第1 語を書き表すのに、現代語の音韻に従って、次の仮名を用いる。 5 長音 (5)オ列の長音 オ列の仮名に「う」を添える。 例 おとうさん とうだい(灯台) わこうど(若人) おうむ かおう(買) あそぼう(遊) おはよう(早) おうぎ(扇) ほうる(抛*) とう(塔) よいでしょう はっぴょう(発表) きょう(今日) ちょうちょう(蝶*々) 第2 特定の語については、表記の慣習を尊重して、次のように書く。 6 次のような語は、オ列の仮名に「お」を添えて書く。 例 おおかみ おおせ(仰) おおやけ(公) こおり(氷・郡) こおろぎ ほお(頬*・朴△) ほおずき ほのお(炎) とお(十) いきどおる(憤) おおう(覆) こおる(凍) しおおせる とおる(通) とどこおる(滞) もよおす(催) いとおしい おおい(多) おおきい(大) とおい(遠) おおむね おおよそ これらは、歴史的仮名遺いでオ列の仮名に「ほ」又は「を」が続くものであって、オ列の長音として発音されるか、オ・オ、コ・オのように発音されるかにかかわらず、オ列の仮名に「お」を添えて書くものである。 さて、この仮名遣いを学校でどう扱うかという問題ですが、前出の告示の前書きにこんなことが書いてあります。 2 この仮名遺いは、法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の 社会生活において、現代の国語を書き表すための仮名遣いのよりどころを示すものである。 3 この仮名遣いは、科学、技術、芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない。 解釈に困るところではありますが、学校教育の現場では2のほうが適用されるのではないでしょうか。 以上をまとめますと、「オオ」の表記には「おう」を用い、例外として「おお」と表記するものに関しては個別に覚える、という方法を取るよりなさそうです。旧仮名遣いは学校では教えてもらえませんし、古典に触れるのは中学校に上がってからになりますので。 最後に誤解のないように申しておきますが、私は現場の人間ではありませんので実情については何も申し上げることはできません。現役の教諭にお任せいたします。
お礼
長文で、詳しく的確な内容のお答え、ありがとうございます。 理学を生業とする人間から見ましても、学問としてみた日本語は、非常に正しく研究されて、深い理解とコモンセンスが得られたもののように思っておりましたし、また、確かにそうだと今でも信じておりますが、こと低学年レベルのかな表記には、「エアポケット」のように矛盾があり、教育を困難にている問題があるを知りました。 それを学ぶ小学生も可哀そうですが、まあ、例外を覚えていくプロセスも、学問の一つでしょう・・・。しかしそれを真摯に考えて悩む一部の教師の方はお気の毒ですね。(問題すら認識してない方も多いのではないか?という危惧もありますが) そして、リンクご紹介ありがとうございました。‘御上’の文章とは思えない、易しくて詳しい内容で、歴史的過程まで認識できる、とてもよくわかる文章でした。正直、いままで拝見したどの御説明よりも理解が進みました。 今回はどうもありがとうございました。 なお、現場教員の方のご意見が、ひょっとすると頂けるのではないか?ということを期待して、しばらく閉めるのは待とうと思います。 よろしくお願いいたします。
お礼
再度のご回答、お手間をかけまして、いたみいります。 > 小学校一年生の一学期・・・国語科では、言語事項として、・・・ >長音 (伸ばす音) の発音と表記の基礎的なことを指導することに・・・ ありがとうございます。現状がとてもよくわかりました。 > すぐに「王」と「大」の漢字を習いますので ・・・ >仮名で書く必要性が薄れ、疑問として持続しないのです なるほど、大人になってしまった者の感覚としては、 かな表記 → 漢字の存在 という教育の時間差は、かなり長かったような気がするのですが、実は、あっという間だったのですね!、それでは確かに教育の機会がないと思います。 ちなみに、私は、「かな」以外に文字があることを知った時の衝撃を、今、数十年ぶりに思い出しました。 「せっかく(表音文字として万能である)かなを記憶し終わったのに、なんで‘無駄な’漢字なんてものが存在するのか?」 不満でしかたありませんでした(笑)。 >例外を、知識として取り立てて指導する機会は、現在のところ、 >小学校・中学校を通じて、無いというのが実状のようです。 これが、とても知りたい(確認したい?)ことでございました。 ありがとうございます。 「教育されない事柄を知る」ことは、教育に素人の親にとっても、「教育される事項を知る」こと以上に大切なことのように思えます。 「とおり」「おおかみ」「いきどおり」など、何割かの確率で、かな表記する可能性のある文字列を、「お→う」と表記された時の「無教養」な感覚と、かってそうだった私への「憐情」が相まって、どうしても「単なる誤字とは異なる居心地の悪さ」を感じておりました。 今回、ご回答いただきまして、その「無教養さ」がシステム上、「しかたない事」であることを知り、残りの人生を、「必要以上の不満感」と一緒に過ごす心配がなくなりました。 どうも、ありがとうございました。