まず、イラク・北朝鮮が核兵器を持ってはいけないのは、核不拡散条約(NPT)上の義務によるものです。両国ともこの条約の締約国です。
イラクは、核兵器以外の大量破壊兵器を持ってはいけない義務は負っていません。しかし、安全保障理事会決議687によってABC兵器及び弾道ミサイルを廃棄するよう求められてはいます。
以上が、「持ってはいけない」ことについての説明です。
条約を脱退したらどうなるか、イラクの大量破壊兵器は持ってもいいのか、という話は、損得の話になります。
持ったりしたら、国際社会を敵にまわして大損をすることになるぞよ、というのが、安保理決議の意味です。
国連憲章第39条は、「安全保障理事会は、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略の存在を決定し、並びに、国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし、又は第41条及び第42条に従っていかなる措置をとるかを決定する。」としていますから、平和に対する脅威であると認められれば、こういった決議やそれに基づく措置もとれるわけですね。
ユーゴスラビアの事例を見てもわかるとおり、国際平和の維持、人権擁護という概念は、既に近代型主権国家の「主権」を変質させつつあります。主権国家が単独で何かをできる、というのは、既に幻想にすぎなくなっています。
お礼
質問に対する大変的確な回答ありがとうございます。 安全保障理事会で持ってはいけない、と決められたので イラクは核を持ってはいけないのですね。 なるほど理解できました。 でも安全保障理事会でそんなこと決められるっていうのは 理不尽では?と思ってしまいます。