テラフォーミングと言って、主として火星を想定し、他の惑星を人間が住める環境に変えることが出来るかという研究をしている人たちがいます。テラフォーミングで検索をかければ、情報は見つかるはずです。
色々と議論がされているようですが、現段階では実用化が可能かは不明、実用化したとしても、後になって、どのような問題が出てくるかは分からないし、計画がスタートしてから終了するまでに、どれだけ時間がかかるも分からないという、気の長い話です。
私見ではありますが、現在の技術の常識の範囲内では、太陽系の他の天体を地球化する計画は不可能だと思います。
●地球の大きな特徴として、プレートテクトニクスが存在します。太陽系の固体型惑星や、惑星の衛星のなかでも、地球にしか確認されていない独自の地学的現象です。地球の場合、鉱物となって地面にもぐりこんだ二酸化炭素を、火山活動により大気に戻すことで、温暖化現象を引き起こし、暖かな気候を保つというメカニズムが動いているのですが、これだけは、太陽系のどの天体でも未だに確認されていない現象なのです。(液体の水のある星は、火星以外にも、いくつかあるのですが)
●地球は固体型惑星としては珍しい、磁場を持った惑星です。内部に液体の鉄が存在することで磁場を作り出し、それが太陽風から地表を守っているのです。火星や金星には、この現象が観察されません。水星にはごく弱い磁場が観察されます。果たして人間は、磁場を持たない惑星で宇宙服なしで外を歩き回ることが出来るのか、疑問が残ります。
●金星をターゲットにしてテラフォーミングを行う場合は、やはりこの磁場の無い惑星で人類が生きることが出来るのかという疑問が上がってきます。
●木星の衛星であるエウロパ、土星の衛星であるエンセラダスに、液体の水が存在します。ここまで太陽から遠くなると、おそらく、太陽風の影響も減ってくると思います。
●エウロパをターゲットにした場合、かなり寒い天体なので、強力な温暖化ガスが必要となるでしょう。エウロパは厚い氷の下に、液体の水を持っていると推測されています。氷の中でも活動し二酸化炭素を吐き続けるようなタイプの小型生物を投入するなどのテクニックを使わないと、人間にとって適切な温度まで上昇させることは不可能でしょう。困ったことに、人間の脳は、大気における二酸化炭素の量が劇的に増えると、機能を停止してしまうのです。単なる二酸化炭素だけで十分な温暖化が可能で、そのような大気を人間が受容可能なのか、疑問が残ります。二酸化炭素より強力な温暖化作用をもつメタンなどの有効活用が必要でしょう。
●エンセラダスをターゲットにした場合、エウロパより氷の層が薄く、そこらじゅうで穴が開き、液体の水を噴出しているという点で、エウロパよりも有力な候補になります。問題なのは、エウロパよりさらに太陽から遠い天体が、なぜ液体の水を保持することができるのかという疑問が解消されていないことです。おそらく解答は、エウロパは天体どうしの重力の影響で形が歪み摩擦熱で温めているのに対し、エンセラダスは内部に放射性物質を持っており、それが熱源となっている可能性が高いことでしょう。そうすると、そもそも、内部に強力な放射性物質を持っている天体が、人間にとって適正な環境なのかという問題が出てきます。おそらく、エンセラダスには、地球の常識では死滅してしまうような強力な放射能受容力を持ったタイプの生物が生息していると思います。
お礼
テラフォーミングとは初めて聞きました。実用化はともかくこのような研究を通じて人間と地球の関連が見えてきますね。ありがとうございました。