大家しています。
賃貸物件には相続以外で“名義変更”と言うのはありません。
こういうと、『大家は敷金礼金が欲しいのでそんなことを言うのだろう。』と思われがちですが、それには理由があります。
まず、敷金の問題です。契約が解除されると大家はお預かりしている敷金を契約書の相手に返金しなければなりません。契約時に『敷金預り証』(たいていは契約書の最後に付けてあるでしょう)を出していますので返金してこれを破棄して頂かなければなりません。
そのため新たに契約する方から新たな敷金をお預かりする必要があるのです。
次に、保証人の問題です。今の契約者を保証されていた方が引き続き次の契約者の方まで保証してくださるとは限りません。『旦那さんだから保証したのであって、奥さんまでは保証できない。』と言われることはあり得ます。まして旦那様の肉親の方ですと離婚した相手の保証まではしてくれないでしょう。
それで、新たに保証人を立てていただく必要が生じます。
以上の様な訳で、新たな契約が必要となるのです。
本当は更に厄介な問題が隠れています。それは『原状回復費用』の負担の問題です。
新たな契約を結んでも居住はそのまま続いているわけですからその時点での原状回復の作業は不可能です。すると、原状回復の作業もしないのに今の契約の解約の際に原状回復の費用の負担分を計算することも出来ません。そのまま『原状回復』なしで契約となります。
次の契約が解約となる時点で、住み続けられている方が今の契約の間の原状回復費用も負担していただけるのか、それとも、今の契約の間の負担分はなしに、新たな契約時点からだけの負担しかしないのか。大問題ですね。いくら念書を入れて頂いても、争いとなるとどう転ぶかわかりません。面倒なことなのです。
そんなわけで、そのまま住み続けても結局交渉次第で安くなるのは礼金と不動産屋さんの仲介手数料くらいなものですからトラブルを避けるためには引越しされてしまった方が清々するかもしれませんね。
お礼
大変詳しい説明を有難うございます。 離婚を前提にしていたため、保証人は私の身内になっています。 元主人の了解は得てますので、そのままにしておいても問題はないのでしょうか。