“ミサイル迎撃訓練”
沿岸国の意に反して、第十九条2に相当する行為を行った場合、領海内であれば沿岸国の法令により対応することが出来ます。簡単に言えば、拿捕することも出来るでしょうし、状況によっては撃沈することも可能でしょう。しかし、公海であれば国内法にのみ根拠をもつ対応が、直ちに国際的に通用するか否かは別問題です。海上ではないですが、類似の状況が発生したのが、数年前に発生したカムチャッカ半島上空での大韓航空機撃墜事件です(ソ連の国内法に従って撃墜したが、航空関連の条約に違反した行動があった)。
また、上記のような行動を行う国にとって、“国際海洋法条約”に反することそれ自身はあまり意味を持たない(別に罰則があるわけではないので)でしょうが、“条約を破る国”と認識されるのは、当該国にとって政治上大きなデメリットとなる可能性があります。また、仮に同盟国がそのような行為(例えば潜行したまま領海を通過する)を行った場合、対立国にとって、“条約を破る国”であるとの宣伝を行うことができ、沿岸国(やその同盟国)にとって、政治上のデメリットになる可能性もありえます。
“同盟国の軍事行動を間接的に有利”
潜水艦の最大のメリットは隠密性にあります。潜水艦がいるかいないか不明だったり、いるとしてもどこにいるか分からないこと、それ自身が潜水艦もつ戦略的な意義です。従って、それが可能になる状況(12海里を領海としない)は、その周囲で潜水艦を行動させる国にとって大きなメリットとなります。
また、日本のような島国の場合、その全周にわたって軍事力を展開することは防衛上必要な事柄でしょう。現時点で同盟関係にあるアメリカ軍の軍事力の行使を援助できるという意味で12海里を主張しないことで、間接的に日本の防衛に資する効果があると考えられます。
よって、12海里を主張しないことは、メリット或いはデメリットの一方のみが存在するといったものではなく、その時点での国際関係や状況によって変化するものです。従って将来的に12海里を主張する可能性も残っています。
お礼
詳しいご説明、ありがとうございます。基本的には#1さんとそれに対する私のお礼を受けた上で、その結論とは異なる場合になりうること、或いは上記を詳細に具体的に書いていただいたものと認識しました。大変参考になります。